「地番」と「住居表示」住所には異なる表記の仕方がある!?

「地番」と「住居表示」は、同じものではないことをご存知ですか?

同じものでないとしたら、「地番」と「住居表示」が異なる場合もあるのでしょうか?

そもそも「住居表示」という言葉も、耳馴染みのないものだと思います。

しかし、法務局などで手続きを行う場合には、この「地番」や「住居表示」を求められる場合があります。

そこで今回は、「地番」や「住居表示」など住所についてご紹介しましょう。

「住所」を表すには異なる表記の仕方がある

住所には、「地番」と「住居表示」のふたつの異なる表記の仕方があります。

「地番」は土地を特定するときに使われ、「住居表示」は建物を特定するときに使われます。

もともとは、住居表示というものはなく、土地も建物も地番で表していました。

しかし、昭和37年5月10日に「住居表示に関する法律」が施行されたことで、住居の所在を住居表示によって分かりやすく示すことにしたのです。

地番だけで住所を表していたときは、同じ地番の異なる建物が複数建っていることになっていたり、番号が飛び飛びになっていたりしていました。

このような状態ですと、郵便を配達するにも困りますし、行政サービスを行うにも混乱し、生活に支障が出てしまいます。

そこで、生活に支障が出ないようにと、上記の法律が施行されたのです。

この「住居表示に関する法律」は、住居表示の制度を導入するかしないかは、各自治体に任せるとしています。

つまり、「以前のまま、地番だけで住所を表示しても不便は感じない」という地域では、住居表示を導入せず、従来のままです。

例を見てみますと、東京23区内では新宿区の一部エリア、国立市、日野市、調布市が、政令指定都市では京都が唯一、住居表示制度を導入していません。

住所を表す「地番」と「住居表示」が異なるとどうなる?

地番と住居表示についてお話してきましたが、普段生活している中で、地番や住居表示が異なることで不便を感じることほとんどないでしょう。

この地番や住居表示が重要になってくるのは、不動産を売買したり、相続や贈与などがあった場合です。

つまり、登記上に何らかの変更があった場合に、地番や住居表示が関わってくるのです。

土地の所有者が変わる、家を新しく建てるなどした場合、法務局に変更の申請をすることになります。

ここで、必要になるのが「地番」です。

「住所は普段使っているので分かるけど、地番は分からない」ということになると、登記事項証明書や登記簿謄本などが取得できないのです。

前述したように、住居表示制度を行っていない地域では、当然、地番だけで住所を表すことが多いの、でさほど問題はありません。

しかし、住居表示制度を導入している地域ですと、「自分の土地の地番が分からない」ということが多々あります。

地番と住居表示が異なっていても問題はありませんが、地番が分からないことは問題です。

表記が異なる住所「地番」と「住居表示」

「地番」と「住居表示」は表記が異なるので、一見してすぐに見分けがつきます。

【地番の表記】

地番は、「○○町××番」と表記されます。

・□□市○○町1234番
・□□市○○町1234番1

住居表示を採用していない地域は、地番をそのまま住所として扱う場合が多く、次のような表記になります。

・□□市○○町1234番地
・□□市○○町1234番地1

以前、よく見かけた表記に番地と枝番を「の」で繋げるものがありましたが、現在では「の」を廃止している自治体が多くなっています。

・現在…□□市○○町1234番地1
・旧来…□□市○○町1234番地の1

【住居表示の表記】

住居表示については、先に述べた「住居表示に関する法律」によって定められています。

この制度を採用している地域では、従来の「町名」「字名(あざめい)」「番地」というような住所表記はしません。

町名と字名に、「街区符号」と「住居番号」、あるいは「道路の名称」と「住居番号」で表記されます。

・登記上…□□市○○町1234番
・住居表示採用…□□市○○町一丁目2番3号

地番と異なる住居表示についてもう少し詳しく

住居表示について、もう少し詳しくご説明しましょう。

前述したように、住居表示法が施行される昭和37年以前は、慣習的に地番を使っていました。

しかし、時代とともに町と町との境目が道路と一致していなくなったり、分筆や合筆を繰り返し地番が複雑になったり、以前とは異なることが増えてきたのです。

特に人が多く集まる市街地では、人の出入りが激しく、土地の売買や分筆などが行われることも多いため地番が分かりにくくなり、生活に支障が出るまでになってしまいました。

そこで、市街地で住所をわかりやすく表示する、住居表示制度が導入され、町名と字名に「街区符号」か「道路名称」と「住居番号」で表記することになったのです。

・住居表示実施前…町名/○○町 地番/1234番
・住居表示実施後…町名/○○町一丁目 街区符号(道路名称)/2番 住居番号/3号

何丁目を表すときは、登記上では漢数字ですが、住居表示の場合はアラビア数字を使います。

また、住居表示には、街区符号か道路名称を使いますが、日本では原則とした街区符号が使われています。

街区符号は、街の中心から一定方向に番号を付けていく方法です。

道路方式は「○○通り」など欧米でよくみられる方式で、日本では山形の東根市と北海道の浦河町で使われています。

マンションなどの地番と住所はどうなる?

これまでお話ししてきたように、地番は土地に関するもので、登記上の場所や権利の範囲を表すための番号、住居表示は建物を特定するための番号です。

住居表示は、複雑になってしまった地番を整理し、分かりやすくするために付けられた番号なので、登記上では使いません。

一戸建ての場合は、地番と住居表示が異なることも多くあり、それは問題にならないのですが、マンションのような集合住宅の場合はどうなるのでしょうか。

マンションのような集合住宅は、広い敷地に建てられていて、地権者が複数いる場合が多いので、地番と住居表示が異なっていても、問題はありません。

地番を調べる場合には、公図から取得するのが良いでしょう。

では、住所はどうなのでしょうか。

建物の住所は、住居表示に基づき、街の中心から街区の番号を付け、その後、10mごとに区切って基礎番号を付けます。

そして、建物の玄関が接する基礎番号が、そのまま住居番号となるのですが、マンションのような集合住宅の住所は、この基礎番号や団地などの棟番号に部屋番号を付けることになります。

地番を調べるにはどうしたら良いか?

それでは、地番の調べ方をご紹介しましょう。

【電話】

地番を調べるときに、一番手軽で確実なのが法務局への問い合わせです。

直接行けばより確実ですが、電話でも対応してくれます。

地番が知りたい土地の住所を伝えて、「地番を教えて欲しい」と言えば、無料で教えてくれます。

【ブルーマップ】

通常の地図に公図を重ねたものです。

不動産業界の方は見たことがあると思いますが、高価なので個人で購入するのは大変です。

ブルーマップで確認したい場合は、最寄りの法務局、図書館、市役所などに問い合わせてみましょう。

【公図】

有料ではありますが、公図を取得して地番を調べるという方法もあります。

法務局へ出向くか、インターネットの登記情報提供サービスを利用する方法です。

公図で調べれば、より詳しく、そして正確な地番が分かるでしょう。

以上のような方法で、地番は簡単に調べることができます。

これと異なる方法としては、インターネットの「地番検索サービス」や「WebGIS」もあります。

しかし、地番検索サービスはブルーマップを元にしていますし、WebGISは素人が見るには難しいようです。

「地番」と「住居表示」異なる住所の違いを知ろう

このように「住所」とひと言で言っても、内容の異なる「地番」と「住居表示」のふたつがあります。

登記上、重要なのは地番で、法務局などで調べることができます。

住居表示は、いわゆる通常わたしたちが使っている住所で、生活しやすいように整理された番号です。

登記上の手続きをするときには、この異なるふたつの住所の違いを知ることが大切です。