賃貸暮らしで最もトラブルが起きやすいのが、騒音問題です。
特に木造アパートでは床や壁から音がもれやすく、防音対策が必要となります。
しかし、賃貸住宅では大規模な防音対策は原状回復義務があり、することができません。
音に関するトラブルを避けるためには、どのような防音対策が有効なのでしょうか?
賃貸住宅でもできる防音対策についてご紹介していきますので、参考にしてみてください。
木造アパートでは床の防音対策が必要!?
一軒家に比べてアパートなどの賃貸住宅では、床や壁に防音対策が必要となることが多いと言われています。
これはアパートなどの賃貸住宅は共同住宅であり、周囲に配慮しながら生活をしていかなければならないためです。
さらに、木造は防音性がとても低いのが特徴です。
そのため少しの音であっても床や壁から音が漏れやすくなってしまうのです。
防音性を高めるためには建築費用がかさむため仕方がない部分もあるかもしれませんが、同じ住民と騒音問題でトラブルとなることは避けておきたいでしょう。
だからこそ借主側でより一層気を配らなければなりません。
とは言っても小さな子供がいる家庭など、どんなに気を配っていても音を出さずに生活することは不可能だと言えます。
何より小さな子供に我慢ばかりさせるのも、心苦しいですよね。
そのため床や壁から伝わる音に対し最大限防音対策を施し、トラブルの種を極力減らしておくことをおすすめします。
フローリングの床は音が響きやすい!
騒音には「床衝撃音」と「空気伝播音」との2種類があります。
床衝撃音とは床が振動して響く音のことで、上階の足音や落下音などのことを指します。
共同住宅の1階に住んでいる人は、自身や家族の騒音について床衝撃音は気にする必要はありません。
しかし2階以上に住んでいれば、注意が必要です。
足音をはじめ、洗濯機や掃除機の音はもちろん、ドアを閉める音などが響いている可能性があります。
さらに木造アパートの床は非常に薄く、響きやすいのも特徴です。
特に床がフローリングの場合は音が響きやすくなっているので、しっかりとした防音対策が必要となるでしょう。
近年では木造アパートでも床がフローリングの物件が増えてきましたが、防音のことを考えればフローリングより畳の方が適しています。
これは、畳に含まれる空気が遮音性を高めるためです。
ただし遮音性が高まっているからと言って、畳の部屋の音が階下に響いていないかというとそうでもありません。
フローリングより音の響き方が弱くなりますが、それでもきちんとした防音対策はしておきましょう。
スリッパを履くだけでも防音対策に!?
では、木造の建物ではどのようにして床から響く音を抑えれば良いのでしょうか?
階下には掃除機や洗濯機の音も響いていますが、これは時間帯さえ気を配れば特に大きな問題ではありません。
確かに音はしますが、生活音とも言えるので夜中に洗濯機や掃除機を使用することがない限りトラブルに発展することは少ないでしょう。
逆に木造の賃貸住宅でよくトラブルとなるのが、足音による騒音です。
特に小さい子供がいる家庭では、子供が走り回ったりすることもあるため注意が必要です。
足音を出さないためには静かにゆっくりと歩くことが必要となりますが、小さな子供には簡単にできることでもありません。
そんな時にはスリッパを履かせるだけでも、かなりの防音対策となります。
子供用の可愛いスリッパが売られているので、そちらを活用すると良いでしょう。
また靴下を履くだけでも、多少の効果があります。
ただし靴下を履いているとフローリングでは滑りやすくなるので、滑り止めのついたものを履かせるようにしてください。
床にカーペットを敷くと防音対策になる!
スリッパを履いたり、靴下を履いたからと言っても、木造では床が薄いため全ての音が階下に響かないわけではありません。
さらに小さな子供であれば、スリッパや靴下を嫌がってしまうかもしれません。
そんな時には床に防音カーペットを敷いて、防音対策してみましょう。
厚みが出てしまうという難点もありますが、音を吸収するという意味ではかなり効果的です。
ドアやクローゼットの開閉の妨げにならない範囲で使うだけでもかなりの効果を実感できるでしょう。
子供部屋など騒音が発生しやすい場所には、防音カーペットとジョイントマットの併用がおすすめです。
ジョイントマットは安価でありながら、多少の衝撃音を吸収することが可能です。
フローリングの床に敷くことで硬さを感じにくくすることから、小さい子供がいるご家庭では使用されているところも多いのではないでしょうか。
この上に防音カーペットを敷けば、足音はあまり気にならなくなるのでしょう。
木造アパートでは床だけでなく壁にも防音対策が必要!?
木造アパートなどの場合、気をつけるべき騒音は床衝撃音だけではありません。
話し声やテレビなどの音源が空気で伝わり壁を通り抜けてしまう「空気伝播音」にも気をつける必要があります。
この空気伝播音を少しでも減らすためには、「遮音」と「吸音」がポイントとなります。
音を物体に反射させ透過させないように、窓や扉などから音が漏れないようにしましょう。
窓を閉め気密性を高めることはもちろん、隙間テープなどで扉の隙間を埋めておきます。
扉やドアの開閉は階下に響く床衝撃音となるので、引き戸のレールにろうそくのロウを塗るなどしておくと滑りが良くなり静かに開閉ができるようになります。
合わせて防音対策しておくと良いでしょう。
さらに遮音や吸音効果のあるカーテンも販売されています。
近年では価格帯も種類も増えてきているので、活用するといいでしょう。
また家具の配置でも防音対策が可能です。
隣との壁際に背の高い家具を配置し、音の振動を軽減させれば隣へ響く音を軽減することができます。
家具を動かす時の音は床衝撃音となり階下に響いてしまいますから、家具と床の間に防音マットを敷くなどの防音対策をしておくと良いですよ。
木造以外で音が響きにくいのは?
木造は使用する材料が軽いため、遮音性能が低く、音を通しやすいと言われています。
木材は通気性が良いというメリットの反面、床や壁から音を通しやすくなってしまうのです。
そして賃貸住宅では鉄骨構造のアパートも多く見られます。
建材に鉄材や鋼材を使っているため、木造より防音性が高いのでは?と思っている人も多いのですが、軽量鉄骨の場合には木造とさほど変わりがありません。
全ての軽量鉄骨の建物がそうだとは言い切れませんが、壁を叩いてみて高い音がするようであれば防音性は期待できないと考えておきましょう。
しっかりとした防音対策を施すか、軽量鉄骨造より重量鉄骨造の建物を選びましょう。
防音性能が最も高いのは、鉄筋コンクリートの建物です。
鉄筋コンクリートの建物は何本もの鉄の棒で骨組みを作り、コンクリートを流し込んでいるため壁の密度は木造と比較になりません。
遮音性が高いため、騒音問題は木造住宅に比べると少ないようです。
しかし鉄筋コンクリートの建物といえ、足音などの騒音は直接床を振動させているため響きやすくなっています。
鉄筋コンクリートの場合でも、床の防音対策はしっかりとしておく必要があると考えておきましょう。
木造ではしっかりとした防音対策を!
木造の建物では使っている材料や構造上、音が響くのは避けられません。
しかし何の防音対策も講じずに、床衝撃音や空気伝播音を放置していてはご近所トラブルに発展する可能性があります。
特に小さい子供がいる家庭では音に気を配ることが難しくなるので、しっかりと防音対策をしておきましょう。
床に防音カーペットやマットを敷いたり、スリッパを使用したりできる限りの対策をしてください。