23種類の地目の読み方は、簡単なものもあれば、難しいものもあります。
原野、井溝などはもちろん、池沼や山林など間違えやすい言葉もありますね。
すべての読み方と簡単な意味をご紹介しますので、ぜひお読みください。
「ばいけい」など、縮めると分かりにくくなる不動産専門用語についてもご紹介します。
地目の原野の読み方・意味は?
地目(ちもく)というのは、登記所の登記官が決めた「土地の用途」のことです。
登記簿での地目と、現況地目がちがうこともありますが、土地の状況を表わすために使われる大切なものです。
宅地、田、畑、山林、雑種地、塩田、原野、用悪水路、境内地、公衆用道路、池沼、公園、牧場、鉱泉地、墓地、水道用地、運河用地、ため池、堤、井溝、保安林、鉄道用地、学校用地の23種類があります。
このうち、原野や井溝などは読み方が分かりにくいかと思います。
原野は「げんや」と読みます。
「はらの」でも「のはら」でも、「げんの」でもありません。
原野というのは、「耕作しているわけではないが、雑草やかん木類の生育する土地」ということです。
また聞きなれない言葉が出てきました。
「かん木」というのは、丈が低めの木のことです。
大木がたくさん生えていたら山林になってしまいます。
つまり、人が手を加えることなく、雑草や低木が生えている土地のことを原野と呼ぶわけです。
以前は農地として使っていた土地が、原野のようになることもあるものですが、地目としては農地のままであることも多いです。
したがって、パッと見ただけでその土地の地目が原野なのか見極めるのは難しいでしょう。
原野の読み方は「げんや」!その他の地目の読み方と意味もご紹介
原野の読み方が「げんや」であることをお伝えしました。
せっかくですから、他の地目についても読み方とあわせてご紹介していきましょう。
●宅地(たくち)
建物が建っている敷地のことです。
その建物がある部分だけではなく、建物を維持するために必要となる土地を指し、庭や池なども含まれます。
また、建物にくっついているのであれば、私的通路やプール、テニスコートなども宅地となります。
●田(た)と畑(はたけ)
田は用水を使って耕作する土地、畑は使わずに耕作する農耕地ということです。
●山林(さんりん)
耕作によらず、竹木が生育している場所のことです。
耕したり肥料をあげたりすると、山林とは言えません。
●雑種地(ざっしゅち)
他の地目には当てはまらない土地を雑種地とします。
駐車場などで使われます。
●塩田(えんでん)
海水を引いて塩を採る土地のことです。
原野以外の地目の読み方と意味
引き続き、原野以外の地目のご紹介をしていきます。
●用悪水路(ようあくすいろ)
「灌漑(かんがい)用または悪水排泄用の水路」ということです。
灌漑というのは、農作物を育てるために必要になる水を水路を引っ張って供給することです。
●境内地(けいだいち)
境内に属する土地のことです。
本殿や本堂、拝殿など、儀式に使われる建物や、参道も含まれます。
●公衆用道路(こうしゅうようどうろ)
一般交通のために使う道路のことで、道路法とは直接的には関係ありません。
●池沼(ちしょう)
読み方は「いけぬま」ではなく「ちしょう」です。
池沼は、灌漑(かんがい)用水ではない水の貯留地を指します。
●公園(こうえん)
公園だけでなく、野外ステージや動物園、展示施設も公園として扱われます。
定義としては「公共の遊楽のために供する土地」です。
●牧場(ぼくじょう)
言葉通り、家畜を放牧する土地を意味します。
●鉱泉地(こうせんち)
温泉を含め、鉱泉が湧き出る土地で、それを維持するために必要な部分も含まれます。
●墓地(ぼち)
規模の大小にかかわらず、遺体又は遺骨を埋葬する土地が墓地になります。
井溝の読み方は難しい!地目の意味を一覧で
●水道用地(すいどうようち)
給水するためにある水源地や、貯水池などがある土地のことです。
●運河用地(うんがようち)
運河とは陸を掘って「人の手で」造った水路のことで、運河法で定められています。
●ため池(ためいけ)
耕地灌漑(かんがい)用の用水貯留池のことです。
多くは人工的に作られたものですが、登記の際には、用途を調査して判断します。
●堤(つつみ)
防水を目的として造った堤防のことです。
河川敷だけでなく、海岸の防潮堤もこの地目になります。
●井溝(せいこう)
原野と同じく、読み方を間違えやすいのですが、「いこう」ではなく「せいこう」です。
簡単に言うと通水路のことで、用悪水路と少し似ています。
灌漑用であれば用悪水路、落とし水や湧き水のためであれば井溝と判断できます。
●保安林(ほあんりん)
森林法に基づいて、農林水産大臣が指定した土地ということで、竹木がなくても保安林となるケースがあります。
土砂の流出防止などのために指定されたり、海岸周辺で防風、砂防のために指定されたりします。
●鉄道用地(てつどうようち)
鉄道の駅や、それに附属する施設のことです。
駅前広場や宿舎、専用の変電施設も含まれます。
●学校用地(がっこうようち)
学校の敷地です。
間違えやすい不動産用語の読み方
ここまでは、地目の読み方と意味についてご紹介してきました。
原野だけでなく、池沼や井溝などの読み方も覚えてみましょう。
次に、不動産用語でよく間違えがちな言葉の読み方や意味をご紹介します。
●売地(うりち)と売家(うりいえ)
ばいち、ばいや、などが思い浮かぶ人もいるかもしれませんので念のため読み方にお伝えします。
売家は「うりや」とも読むようですが、一般的には「うりいえ」です。
●貸家(かしや)と借家(しゃくや)
「かし」と「しゃく」が逆になってしまうことはありませんか?
正しく覚えておきましょう。
●赤道(あかどう)
せきどう、ではありません。
赤道というのは、公図の中で赤く塗られた目立つ部分です。
国有地で、無番地の土地を指します。
その他の言葉では、建物の構造なども読み方が分からなくなるものです。
RC造などの「造」は「ぞう」と読みます。
後はそのまま「あーるしーぞう」と読んで行けばいいのですが、「鉄筋コンクリート造」という言葉が頭に浮かぶといいですね。
縮めると意味が分からない?!不動産用語あれこれ
地目の原野、井溝など、口で言われても、漢字で書くときに迷ってしまうような言葉が多いですよね。
不動産用語や建築用語には、さりげなく言われても何のことだか分からないような言葉がたくさんあります。
例えば、「ばいけい」「じゅうせつ」。
それぞれ、売買契約と重要事項説明書の略です。
漢字の読み方は難しくはありませんが、パッと口で言われると頭の中にハテナマークが浮かぶかもしれません。
また、建築確認申請書は建確(けんかく)と呼ばれたりします。
言葉を知らないと「剣客?」と思い浮かべてしまいますが、建物の新築や改築で行われる建築確認に必要な書類のことを意味します。
他にも、検査済証は「けんずみ」、金銭消費貸借契約は「きんしょうけいやく」などと言われます。
検査済証とは、工事完了後の検査のことで、金銭消費貸借契約は金融機関からお金を借りる契約のことです。
こうした、長くて難しい専門用語の縮め方を知っておくと面白いですね。
読み方を覚えて不動産についての知識を深めよう!
原野の読み方は「げんや」、井溝は「せいこう」、池沼は「ちしょう」です。
聞きなれない言葉はなかなか覚えにくいと思いますが、正しく読めるようになるといいですね。
不動産についての専門的な知識を学ぶと、何気なく見過ごしていた土地に興味がわいたり、流れるニュースを理解しやすくなったりします。
土地家屋調査士などの職業に就くためには、学ぶべきことは多いですが、仕事が後世に残り人の役に立てるので、やりがいを感じる仕事だと思います。