「家を建てたい」と考えて、いろいろと調べていくと、地目によっては家を建てることができないということを小耳にはさむかもしれません。
地目は、法務局で登記事項証明書を発行してもらえば知ることができます。
課税地目を知りたいなら固定資産税納税通知書に書かれているでしょう。
では、調べた地目が「宅地」ではなく「原野」だとしたら、そこに家を建てることはできるのでしょうか。
家を建てることが難しい土地というのは、どのような土地のことなのでしょうか。
原野とは?登記された地目と現況が違うこともある
宅地ではない原野に家を建てられるかどうかを見ていく前に、原野というのはどのような地目なのかご紹介します。
原野の定義としては、「耕作をせず、雑草やかん木類の生育する土地」です。
農地には向いていないなどの理由から、雑草や「かん木」が生えるままになっていて、長い間放っておかれている土地を指します。
かん木、というのは背丈が低い木のことです。
成長しきっても高さが3m以下の木で、幹が細く、根元のほうから枝分かれしている木を指します。
高い木がたくさん生えていれば、「山林」ということになります。
また、耕作をしていないという点もポイントです。
地目を理解する時に気を付けておきたいのは、登記上の地目と現況の地目が違う可能性があるということです。
建物が建っていても、登記上の地目は「原野」や「雑種地」のままだったり、登記上の地目が「原野」でも実際には耕作していることがあります。
したがって、前述した原野の定義については、登記をする際に判断するための情報、もしくは現況を調査する際に見分けるための情報だということです。
宅地でなくても家は建てられる(ただし例外も)
さきほど、建物が建っていても登記上の地目が「原野」になっていることもあるとお伝えしたように、登記上の地目も現況も「原野」なら、「宅地」でなくても家を建てることは可能です。
家を建てられない、もしくは建てるのが難しいのは「田」「畑」などの農地です。
農地に家を建てるには農地法による制限があり、農地転用の許可が必要になりますが、区域によっては申請しても認められないことがあります。
そのため、勝手に家を建てることはおすすめしません。
農地法は、農業従事者のために、生産力の増進や地位の安定を目的として定められた法律ですが、土地活用という視点から見ると制限があることに注意しましょう。
また、くわしくは後述しますが、原野と登記されていてもその土地で耕作しているのであれば、農地法の規制が適用される場合があります。
さらに、市街化調整区域や工業専用地域、農振法などもあり、それぞれに該当すると地目にかかわらず家を建てることは難しくなります。
宅地以外でも家を建てられるけど農地には注意!地盤改良も必要?
家を建てることができる土地というのは、「原野」「宅地」「山林」「雑種地」です。
登記上の地目も、現況も、農地以外の用途で使われていることが重要になります。
農地でも、農地転用や農振法の除外などの手続きをすることで建物を建てることができる場合もありますが、専門家への依頼費用などがかかってきますので、時間と手間がかかるでしょう。
また、家を建てるには地盤を強くしなければなりません。
宅地に建てられていた家を建て替えるような場合は、すでに地盤が建物を支持できる状態になっているので問題ありません。
しかし、そうでない場合は地盤を調べ、改良し、固めることが必要かもしれません。
原野なら、雑草やかん木をすべて除去してみると、草木が生えやすい柔らかい地盤があらわれる可能性もあります。
原野に家を建てる!地目変更はしなければいけない?
地目が「原野」と登記されているにもかかわらず、農地法の適用を受けることがあるとお伝えしました。
それは、農地法によって、「農地=耕作の目的に供される土地」と定められているからです。
地目というのは、市役所の担当職員などにより現況調査が行われることで固定資産税に反映されます。
地目変更は、原則として土地の所有者本人(もしくは依頼された専門家)が行うことになっていますので、登記は「原野」のままでも、「農地」とされていることがあるのです。
くわしくは、お住まいの地域の農業委員会事務局へお問い合わせください。
では次に、原野に家を建てた後に「宅地」に地目変更をすべきなのかということを取り上げます。
実は、土地の用途が変わっていても、正しく登記されていないことは多々あります。
しかし、地目変更を行わないのは、厳密には違法行為となります。
登記法164条によると、下記の登記を一ヶ月以内に行わない場合、10万円以下の過料に処すると定められています。
・地目変更登記
・建物表題登記
・減失登記
・土地表題登記
・地積更生登記
ただし、過料というのは罰金とは違い刑罰ではありませんし、お金を支払った事例はないようです。
家を建てるためにローンを組むと、金融機関から「地目変更をお願いします」と言われることもあり、その際には強制的に登記を行うことになるでしょう。
原野から宅地へ!法務局で地目変更の手続き
過料と罰金の大きな違いは、刑罰であるか否かで、過料の場合は前科は付きません。
とはいえ、登記を正しく行わないことで今後、より思い罰が定められる可能性もあります。
きちんと登記はするようにしましょう。
また、農地になっていない原野に家を建てて宅地に地目変更したい場合は、管轄の法務局で手続きを行います。
全国どこの法務局でもいいというわけではないので注意してください。
地目変更の手続きには、以下の書類が必要になります。
・土地の案内図
・登記申請書
・公図の写し
登記には正確性が求められますので、司法書士などの専門家に依頼して行うことがありますが、自分でも行うことができます。
補正がなければ申請後1週間ほどで完了するでしょう。
地目変更登記に必要になる費用は、自分だけで行えば、必要書類を集めるためのお金、交通費などの実費だけで済みます。
しかし、専門家に依頼すれば報酬分の費用が発生します。
土地の現況・登記・都市計画法を確認して土地活用!気を付けたい詐欺の手口
ここまでの要点をまとめますと、以下のようになります。
〇現況でも登記上でも地目が原野なら、家を建てることができる
〇「田」や「畑」などの農地として登記されている場合は、難しい手続きが必要になる(建てられないこともある)
〇「原野」と登記されていても、現況が農地なら手続きが必要になり、家が建てられないこともある
〇原野のように見えても、耕作をやめてから長い年月が経過していても、農地として登記されていれば簡単に家を建てることはできない
〇地目にかかわらず、市街化調整区域・工業専用地域には家を建てられない
〇原野に家を建てたら、「宅地」に地目変更するべきだが、していないケースもある
家を建てようと思ったら、土地の現況と、どのように登記されているのかを調べることが必要です。
市街化調整区域、工業専用地域、農振法についても調べることをおすすめします。
最後に、原野に関する詐欺が増えてきていることにも触れておきます。
「原野商法」という古典的な詐欺の手口がありますが、その被害にあって原野を所有している人を、再び騙す詐欺が発生しています。
原野などの価値の低い土地を、「都市開発が進んでいるから」というような嘘で騙して売りつける詐欺ですが、それ以外の手口もあります。
原野を高値で買い取ると持ち掛けて、「そのためには一度別の土地を買っていただき、それをこちらで買い戻します」「税金対策のためにお金を預かります」と騙すこともあります。
また、「土地を売るためには調査しなければ」と言い、測量すると見せかけてお金を騙し取る手口もあります。
こうした原野商法に注意が必要です。
地目以外にもチェックしておきたいことがある
地目の定義を調べて土地を見ると、「どう見ても原野」と思うような見た目でも、登記は畑になっていることがあります。
また、登記上は原野となっていても耕作をしていて農地法による農地となることもあります。
都市計画法、農振法などで、家を建てられなかったり、地盤に問題があると費用が多くかかるため、家を建てられる土地かどうかは、登記上の地目だけで判断することはできないでしょう。