アパートなどの賃貸物件に入居することになると、まず初期費用の高さに驚く方もいるかと思います。
敷金や礼金をはじめ、多くの費用がかかります。
しかし、居住用としてアパートなどを借りる場合は、初期費用のいくつかには消費税がかからないといわれています。
消費税が非課税となるもののひとつに礼金がありますが、なぜ非課税とされているのでしょうか。
この記事で解説していきます。
賃貸物件を借りる際の初期費用
アパートなどの賃貸物件を借りる際、気になることのひとつに「初期費用」が挙げられるのはないでしょうか。
初期費用とは、アパートなどの賃貸契約時の手続きにかかる費用です。
どのような費用があるかというと以下のようなものが挙げられます。
・敷金
・礼金
・前家賃
・仲介手数料
・火災保険料
・鍵交換費用
・家賃保証会社利用料
敷金や礼金は各家賃1か月分が目安とされ、前家賃も1か月分とされています。
仲介手数料は不動産会社によって違いますが、だいたい家賃0.5か月~1ヶ月分が目安です。
その他諸々の費用も合わせると、初期費用のトータルはだいたい家賃5ヶ月分程度なことが多いようです。
そして、これに消費税を加えることになりますから、賃貸物件に入居するだけでも多額の費用がかかることになるのがおわかりいただけるでしょう。
しかし、賃貸物件を居住用として借りるのかどうかで、消費税が非課税となる項目があります。
居住用として借りる場合!非課税になるのはなぜ?
消費税は基本的に、対価を得て行う取引に発生するものですが、アパートなどの賃貸物件を居住用として借りる場合、消費税がかからない初期費用の項目があります。
住宅の貸付は、国税庁のHPに記載されているとおり非課税とされているので、居住用としてアパートを使用する場合の家賃などは非課税です。
ただし、貸付け期間が1か月未満の場合、住宅の貸付けから除外されます。
つまり、居住用としてアパートを借りるとしても、貸付期間が1か月未満であれば消費税はかかってしまうことになります。
また、駐車場代が家賃に含まれている場合は非課税ですが、住宅とは別に駐車場を借りる場合は課税対象になります。
鍵交換費用は課税対象です。
貸主と借主の間に入り、物件の仲介をした不動産会社に支払う仲介手数料には消費税がかかります。
これら課税対象のものについては後ほど詳しくご説明します。
初期費用の中で、消費税が非課税となる項目のひとつに、「礼金」が挙げられます。
ではこの礼金とは、どのような費用なのでしょうか。
次の項でお伝えします。
消費税の非課税対象のひとつ!「礼金」とは
先程お伝えしたとおり、居住用としてアパートなどの賃貸物件を借りるときは消費税がかからないものがあり、礼金もそれに当てはまります。
礼金は「お礼として支払うお金」のことをいいます。
まだ近年ほど住戸がなかった時代には、部屋を貸してくれる貸主に対して「住まわせてくれてありがとうございます」といった感謝の気持ちを込めて、礼金を支払っていたそうです。
これが慣習として残り、賃貸物件み入居する際の初期費用のひとつに含まれています。
ほかにも諸説あるようですが、貸主に対しての感謝の気持ちということは同じといえるでしょう。
礼金は家賃の1か月分を支払うことが多いですが、居住用として借りる場合は礼金に消費税はかかりません。
では、居住以外の目的で借りる場合、礼金に消費税はかかるのでしょうか。
それについては次項でご説明します。
居住用として借りない場合!礼金に消費税は課税される?
居住用以外の用途として挙げられるのは、店舗や事務所などとして使用する事業用です。
先ほどお伝えしたとおり、消費税は対価を得て行う取引に発生するものです。
礼金は賃貸契約満了を迎えたときに返還されることはないので、支払った礼金は権利設定の対価と見なされます。
そのため、本来は消費税がかかります。
居住用物件を借りる場合、礼金には消費税はかからないとお伝えしましたが、日本に消費税が導入された当初は、居住用物件の家賃も課税対象でした。
「家賃」には、毎月支払う家賃だけでなく敷金や保証金、礼金も含まれるので、これらにも課税されていました。
しかしその後、社会政策の一環として居住用の家賃は非課税になりました。
ここまでは初期費用の中の礼金をメインにお話ししてきましたが、礼金以外にも居住用として賃貸物件を借りる際、消費税がかからない項目があります。
それについては次の項でご紹介しましょう。
礼金以外も!居住用として借りる場合に非課税となるもの
先ほどまでは礼金についてのお話をしてきましたが、居住用として借りる場合、礼金以外にも消費税がかからない初期費用の項目がありますので、ここでご紹介します。
・敷金
・前家賃
・火災保険料
・家賃保証会社利用料
初期費用だけでなく、住んでからも消費税がかからない項目がありますのでご紹介しましょう。
まず、家賃です。
家賃は賃貸物件を退去するまで毎月支払い続けますが、居住用として使用し続ければ消費税はかかりません。
また家賃同様、毎月支払う「管理費・共益費」においても消費税は非課税です。
さらに、1戸あたり1台分の駐車場が割り当てられていて、家賃とは別に「駐車場利用料」を支払っていない場合は、駐車場利用にかかる消費税も非課税となります。
ただし、敷金と火災保険料以外の項目は、礼金同様、事業用として賃貸物件を借りる場合、消費税の課税対象となります。
居住用などの用途に関係なく消費税がかかるものはある?
礼金などは、賃貸物件を借りる目的が居住用か事業用かで、消費税がかかるかどうかが分かれます。
しかし項目によっては、居住用であっても事業用であっても、消費税が課税されるものもあります。
初期費用の中で該当するのは「仲介手数料」と「鍵交換費用」です。
まず仲介手数料とは、賃貸契約を締結するときに、貸主と借主の間に入り、契約などの仲介業務を担う不動産会社に支払う手数料のことをいいます。
仲介手数料は不動産会社が仲介業務を行ったことによる対価となりますから、消費税の課税対象となるのです。
また、鍵交換費用においても、鍵交換を行う業者に支払うお金となりますので、こちらも対価と見なされますね。
これらのほかには、ハウスクリーニング代も消費税の課税対象となるでしょう。
そして注意したいのが「駐車場使用料」です。
家賃に駐車場も含まれている場合は消費税は非課税となりますが、家賃とは別に駐車場使用料を支払わなくてはいけない場合は、消費税がかかってしまうのです。
このように、居住用か事業用かなどの用途に関係なく消費税がかかるものもあります。
それらはひとつひとつが比較的高額といえますから、少しでも初期費用を抑えたい場合は、それらがかからない物件を選ぶのも手といえるかもしれません。
アパートなどのお部屋選びをする際は、ここでお話ししたことも参考にしてみてはいかがでしょうか。
どの項目に消費税が課税されるかを把握しお部屋選びに活かそう
アパートなどの賃貸物件に入居することになれば、初期費用がかかってくるでしょう。
初期費用の中でもいくつか項目があり、賃貸物件を居住用として使うかどうかで、消費税が課税されたり非課税になったりするものもあります。
この記事では礼金をはじめ、いくつかの項目についてお話をしてきました。
これらを頭に入れておき、賃貸物件を選ぶ際の参考になれば幸いです。