敷金無しの物件を除いて、マンションやアパートあるいは事務所・店舗を解約して退去すると、入居時に預けていた敷金が返金されます。
新しい物件への引っ越しなどで、いろいろと出費がかさむ時に、預けていたお金がいつ頃、いくら返ってくるのかは気になるところです。
そんな敷金の返金について、基本的な流れとおおよそのスケジュールについてご説明します。
敷金の精算業務は退去した後になる
敷金の精算は、退去後に行われます。
敷金は預けた金額が、そのまま返金されるケースも中にはありますが、大半は原状回復の費用を差し引いて返金されているのではないでしょうか。
転勤や就職などで引っ越しが決まったら、まずは物件の大家さんか管理会社に解約通知書を提出することになります。
解約の通知は契約書を確認すると記載されていますが、一ヶ月前の予告になっている場合が多く見受けられます。
解約通知書は管理会社や大家さんの所定の書式をもらって書くことになりますが、引っ越し日を記載する欄が設けてあるものが多いです。
その理由は、引っ越し日に荷物を搬出して何もなくなった状態で、管理会社の担当者が来て原状回復の立ち合いを行うためです。
引っ越し日が未定の場合は、いつ頃になりそうかだけ書いておき、確定したら伝えるのが良いでしょう。
原状回復の立ち合いは管理会社の担当者だけではなく、リフォーム会社の社員も同席することがあります。
最近では通常の使用で特に問題なく退去する場合は、入居者の負担は「クリーニング代のみ」というケースが一般的です。
クリーニング代のみの負担になれば、その場で請求額がわかります。
他に滞納している家賃がなく、水道料や電気代も別請求でしたら精算後の返金額が判明します。
返金される敷金の額が確定するのはいつ頃になるのか
前述しましたように、原状回復の費用負担がクリーニング代のみでしたら返金される額はすぐにわかりますが、他に費用負担が必要な場合があります。
入居中に誤って壁に大きな穴をあけてしまったり、食品をこぼすなどしてカーペットを著しく汚してしまったりした場合は原状回復の費用を請求されます。
通常は、リフォーム会社から修理の見積もりが提出され、内容や金額に入居者が了解すれば、そこで金額が確定となります。
この場合、すぐにリフォーム会社から見積もりが出れば良いのですが、繁忙期で作成までに時間がかかるケースも良くあります。
また、見積書が郵送でのやりとりになれば、数日の時間的ロスも生じます。
入居者がもう少し安くしてほしいと、値引き交渉すれば更に時間がかかります。
双方が内容と金額に了解して精算額が固まれば、そこでようやく精算額も算出できるようになります。
思ったより見積もり金額が高い、といった理由から退去後一ヶ月以上経っても精算額がきまらないといったケースも珍しくありません。
返金される敷金の額がいつ頃確定するは、部屋ごとの状況に左右されます。
実際に返金されるのはいつ頃になるのか
精算額が固まると、管理会社あるいは大家さんから入居者が指定した口座への返金がなされます。
大半の解約通知書には、精算後の敷金の返還先口座を記載する欄が設けてあり、そこへ振り込みが行われます。
いつ頃に返金されるかは契約書に記載されているのですが、具体的に「二ヶ月以内に」「三ヶ月後」と明記されているものもあります。
一方で、精算すべき残額がなくなったら「速やかに」と記述がある契約書もあります。
「速やかに」という場合、末日など管理会社が毎月決まった日に他の費用を支払う時に併せて支払うケースが多いです。
もちろん、翌日や二日後くらいに振り込んでくれる管理会社もあります。
返金は契約書に則って行われますが、原状回復の費用負担がなかなか決まらないなど、精算額がはっきりしなければ当然ながら延びてしまいます。
また、言うまでもありませんが、何ヶ月分かの家賃未払いがあり、原状回復の費用と未払い家賃を差し引いて残額がなくなる時は返金されません。
預かっている敷金だけでは足りず、逆に不足額を請求されることもあります。
いつ頃返金されるのかを確認するには
精算すべき額が決まって入居者が指定した口座に敷金残額の返金がなされる段階になると、管理会社から敷金の精算明細が送られてきます。
預かり敷金がいくらで、クリーニング代など精算項目がいくらといった内容の明細です。
精算の明細書を出さない管理会社や大家さんがいないとも限りませんが、できればお願いして簡単でも構わないので発行してもらうのが良いでしょう。
単なる口頭でのやりとりは避けて書面に残しておきたいものです。
精算の明細書には返金期日が記載されていることが大半です。
明細書にはっきりした期日が書かれておらず、契約書にも「二ヶ月以内」といった具体的な記載がない時は直接尋ねての確認となります。
精算の明細書が発行されず、精算額を口頭のみで済ませる管理会社や大家さんの場合も、いつ頃に返金されるのかは確認しておくのがよろしいでしょう。
返金されたら金額が間違いないかをすぐに確認すること
返金の期日になったら予定されていた金額が振り込まれているか、すぐに確認しましょう。
単に振り込みがあったか、だけではなく、精算の明細書に書かれていた額と照らし合わせて間違いがないか、を確認します。
足りない場合は、管理会社あるいは大家さんに連絡して、いつ頃に不足分が振り込まれるかを聞いてください。
二ヶ月、三ヶ月あるいはもっと時間が経ってから金額が違うのに気付くのは避けたいところです。
時間が経つと、管理会社あるいは大家さんのほうでも確認作業など対応に時間がかかります。
また、お部屋の敷金だけではなく駐車場敷金や、事務所・店舗などでは看板使用に関する敷金の返金がなされているかも確認が必要です。
実際に、何年もたってから「駐車場敷金が返金されていなかったようだ」といった連絡が入り、貸主と借主間でトラブルに発展したケースもあります。
いつまでたっても敷金が返金されない時はどうしたらよいのか
敷金の返金が予定の期日までになされない時があります。
このような場合はすぐに連絡をとってください。
返金は管理会社からではなく、大家さんが直接支払いをする物件もありますが、管理会社が窓口となっているならばまずは管理会社でも結構です。
うっかりして大家さんが振り込みを忘れてしまうこともありえますが、何らかの事情で振り込みができないこともあります。
物件の修繕にお金が必要で、返金するだけの資金がないかもしれません。
なお、連絡をとる場合は、いつ頃返金になるかを必ず聞いてください。
返金の日を確認して約束した日に振り込みがあれば良いのですが、ない場合は引き続き連絡をとりましょう。
督促するのに気が引ける方もいらっしゃるかもしれませんが、退去して一年以上も返金されないままでいるケースも中にはあります。
時間が経つとますます返金されない可能性が高くなります。
敷金が比較的多い物件であれば、額も大きくなりますので泣き寝入りできません。
どうしても事態が動かない時は、各地の国民生活センターや宅建業の監督官庁である国土交通省に相談してください。
確実に返金してもらうためにも、やはり早めに返金の確認は必要です。
敷金の返金時期は契約書と状況によって変わる
敷金の返金は、基本的には契約書に記載されたスケジュールに基づいて行われます。
ただし、借りていた部屋の原状回復の程度や返金する側の事情でスケジュールは左右されます。
原状回復で揉めたり、いつまでたっても返金されないとったトラブルも発生していますが、もちろんスムーズに事が進んで早く返金されるのが理想的です。
退去後も管理会社や大家さんと密に連絡をとり、しっかりと推移を見守っていきましょう。