敷金には返金期限があるの?退去時に損をしないポイントとは

アパートやマンションなどの賃貸契約にて支払う「敷金」は、退去時に返還されることとなりますが、決められた返金期限はあるのでしょうか?

この記事では、そうした疑問にお答えしつつ、退去時に損をしないポイントまでお話ししていきます。

すでに賃貸物件にお住いの方や、これから部屋探しをはじめる方は、ぜひ最後まで目を通してみてください。

「敷金」と「礼金」の違い!初期費用の内訳は?

賃貸物件を探していると、「敷金」「礼金」というワードをよく見かけます。

どちらも、家賃一ヶ月~二ヶ月分に設定されていることが多いですよね。

両者の違いがよく分からないという方は、ここでしっかりと学んでおきましょう。

〈敷金と礼金の違い〉

●敷金…原状回復費用として前もって預けておくもので、返金されることが前提

敷金は、契約終了後に返ってくることが前提となっています。

退去時の原状回復にかかるお金を差し引いた分が返金されます。

●礼金…大家さんへのお礼金として支払うもので、返金されることはない

礼金は、大家さんに感謝の気持ちを込めて支払うお金となります。

近年の入居者不足によって、礼金なしの賃貸物件も増えてきました。

敷金と礼金にはこのような違いがありましたが、「初期費用」はほかにも存在します。

〈敷金、礼金以外の初期費用〉

○前家賃

入居月の家賃(目安は一ヶ月分)を前払いすることを指します。

○仲介手数料

賃貸物件を紹介した不動産会社に支払うお金です。

家賃の一ヶ月分+消費税を支払うのが一般的と言われています。

○火災保険料

火災や日常の事故に備えて、損害保険に加入することが求められます。

補損害保険会社に支払うお金で、目安は15,000円~20,000円前後になります。

○保証料

家賃保証会社を利用する際に支払うお金です。

○引越し費用

引越しにかかるお金で、荷物量や移動距離、時期によって金額に差が出ます。

それでは次項で、敷金の返金期限についてお話ししましょう。

敷金の返金期限はいつ?

敷金は返還されることが前提となっていますが、その返金期限は決められているのでしょうか?

実のところ、敷金の返金期限は統一されておらず、期限に関する法律もないと言われています。

しかしながら、賃貸借契約書には「退去後〇ヶ月以内に返金する」と記載されていることがほとんどです。

そのため、「決められた返金期限は設けられていないが、各物件によって返金期限の目安は示されている」という認識でいいでしょう。

だいたいは、退去後の一ヶ月~二ヶ月以内に返還するという内容になっています。

もし賃貸借契約書に敷金の返金期限目安が記載されてなかった場合でも、二ヶ月以内に返還されるのが適当です。

いつまでたっても返還されないようでしたら、アクションを起こしてみましょう。

これについては、次項でお話しします。

敷金が返金期限内に返ってこなかったら!

記載してある返金期限内に敷金が返ってこなかった場合、まずは不動産会社や大家さんに連絡をとってみてください。

なにかの手違いで返還されていない可能性もあるからです。

ここでスムーズに解決できればいいのですが、それでも敷金が返ってこないときには、敷金返還を請求することもできます。

物件退去後の借主には、「敷金返還請求権」という権利が発生します。

具体的な対処法は、以下の通りになります。

●敷金返還請求書を送付する

話し合いに応じてくれないようでしたら、敷金返還請求の内容証明郵便を送付することからはじめます。

費用は2,000円程度となります。

●少額訴訟を起こす

上記の方法でも解決しなかった場合、少額訴訟を起こすこともできます。

少額訴訟の対象となるのは、請求金額が60万円以下の場合です。

収入印紙代は請求金額に応じて異なり、1,000円~6,000円程度となっています。

今回こちらでご紹介したのは、あくまでも相手側が悪質だったときの対処法です。

いきなり敷金返還請求書を送付するのではなく、交渉からはじめてみましょう。

敷金を多く返してもらうコツ!原状回復とは

前項までは、敷金の返金期限についてお話ししました。

誰もが「なるべく多く敷金を返してもらいたい!」と思うはずですので、そのコツについてご紹介していきます。

はじめに、敷金返還額の決め手となる「原状回復」を掘り下げてみましょう。

原状回復と言っても、入居時そのままの状態を求められているわけではなく、経年変化や生活上で磨耗するものにおいては借主負担となりません。

しかしながら、借主の故意や過失によって、破損・故障が認められる場合には、その分の修理費が請求されてしまいます。

〈借主側の負担とならない例〉

・ハウスクリーニング
・水回りの消毒
・家具設置によるカーペットや床などの凹み
・冷蔵庫などの家電による電気焼け
・クロス(壁紙)や畳の日焼けによる変色
・壁の画鋲跡 など

〈借主側の負担となる例〉

・飲み物をこぼしたときに発生したシミやカビ
・結露を放置したことによるシミやカビ
・水回りのシミやカビ
・キッチンの油汚れ
・子どもの落書き
・ペットによってできたキズ など

このように、不注意や手入れ不足が認められると、借主側負担と判断されてしまうことがあります。

そのため、日頃から「部屋をきれいに使う」という意識をもつことが大切なのです。

原状回復について、より詳しく知りたい方は、国土交通省がネット上で公開している「ガイドライン」をご覧ください。

敷金で損をしないためにできること

原状回復について理解が深まったところで、敷金をより多く返金してもらうためのポイントを見ていきましょう。

入居時には、まず部屋のチェックからしていきましょう。

気になるキズや汚れがあったら、その場で写真を撮っておくのがおすすめです。

退去時のトラブルを防ぐためにも大事な作業となります。

〈入居時の確認ポイント〉

・玄関(チャイム、郵便受けなど)
・キッチン(換気扇、コンロ、水道、排水口など)
・トイレ(換気扇、便器、ペーパーホルダー、タオルホルダーなど)
・部屋(窓、扉、床、天井、壁、照明、エアコンなど)

そのほか、浴室やバルコニーもチェックしておきましょう。

そして、契約期限が終了し、退去するときには立ち会いを行なうことになります。

立ち合いで原状回復費用が決められるので、印象をよくするためにも掃除はしておいてください。

特に、キッチンや浴室、トイレなどの水回りがきれいになっていると有利だと言われています。

返金期限トラブル回避!?敷金礼金なしの物件ってどうなの?

ここまで、敷金の返金期限についてや、敷金を多く返還してもらうためのポイントなどをご紹介してきましたが、部屋を探していて「敷金礼金なし」という物件にたどりついた方もいらっしゃるはずです。

なかなか借り手が見つからない物件や、少し築年数の古い物件などは、こういった条件で貸し出す場合もあるのです。

礼金だけでなく敷金まで必要のない賃貸物件は、以下のような方から人気を得ています。

・初期費用を少しでも抑えたい人
・短期間しか住まない人
・敷金トラブルを避けたい人

初期費用が大幅に減るということで、お得な物件とされがちですが、退去時には状態に見合った修復費用が請求されます。

入居時に敷金を払っていないので、もちろん修復費用は「全額用意することになる」ということだけは覚えておきましょう。

敷金には法律で決められた返金期限はない

賃貸物件を借りるときには、必ず賃貸借契約書の内容を確認しておきましょう。

どこかに敷金の返金期限が記載されているはずです。

法律で定められた返金期限はありませんが、目安はだいたい一ヶ月~二ヶ月以内となっています。

また、敷金をより多く返還してもらうためには、いくつかのポイントがありました。

原状回復についての知識を深めつつ、退去時まで部屋をきれいに保っていきましょう。