老後は賃貸が借りられない?年齢の壁による住居問題とは?

老後になると賃貸住宅が借りられないという話を耳にしたことはありませんか?

高齢者に対する賃貸住宅の貸し渋りは、超高齢化社会の日本において全国的に問題になっており、空き室は増える一方で、老後の住まい確保には陰りが見え始めています。

この記事では、老後の賃貸住宅問題について、その原因から借りられない場合の支援制度など詳しくお話していきます。

家主が貸し渋る?老後は賃貸が借りられないかも?

高齢化社会から「超高齢化社会」に突入している日本では、65歳以上の人口が全人口の21%を超えており、2025年にはおよそ30%に達すると言われています。

この超高齢化社会において、不動産業界の問題になっているのが、「高齢者に対する賃貸住宅の貸し渋り」です。

賃貸住宅といえば、老後よりも比較的若い世代が住むイメージが先行しますが、平成25年の土地統計調査によると、都内における65歳以上の205万世帯のうち、約3割が賃貸住宅で暮らしていることが分かっています。

つまり、老後の高齢者が賃貸住宅で生活することは少なくないというわけです。

しかし、老後の65歳という年齢は、家主にとって「壁」となる敏感な区切りであり、金銭面に問題がなくても賃貸契約が断られるケースは多く見られます。

特に、単身の高齢者の場合、「賃貸が借りられない」という状況が顕著に見られ、老後の住まい探しは簡単にはいかなくなっています。

なぜ老後は賃貸が借りられない?理由①家賃滞納への危惧

総合的な空き室は増えているにも関わらず、なぜ家主は老後の高齢者に対して、賃貸住宅を貸し渋る傾向が見られるのでしょうか?

老後の高齢者が賃貸住宅を借りられないことには、主に2つの理由があります。

まず1つ目は、所得の低さによる家賃滞納への危惧です。

2011年のデータによれば、生活保護世帯の約半数が高齢者世帯であり、さらにその多くが単身であることが分かっています。

老後の高齢者は年金暮らしがほとんどで、貯蓄が十分でない場合は、家賃を滞納するケースも少なくありません。

さらに今後、年金受給の減額によって、年金生活に頼った賃貸の支払いは難しくなると予想されます。

また、家賃滞納に関わる問題には、入居者の認知症による払い忘れもあります。

入居者の認知症が進んでしまえば、長期に渡る厄介な滞納トラブル以外にも、火元の管理に対するリスクも生じてきます。

最悪の場合、火の不始末で火災が起きてしまうような、大損害が発生する事態も否定はできないと言えます。

なぜ老後は賃貸が借りられない?理由②孤独死のリスク

老後の高齢者が賃貸を借りられない2つ目の理由に、孤独死のリスクが挙げられます。

内閣府の高齢社会白書によれば、2013年の東京23区における孤独死は2733件起きており、そのうちの4割が単身であることが分かっています。

つまり、1日におよそ10件の孤独死が全国で起こっていることになります。

家主の約6割が孤独死のリスクに対して敏感になっているのは、このような超高齢化社会の現状が背景にあると言えます。

では、入居者が孤独死で亡くなった場合、家主にはどのような負担が考えられるのでしょうか。

まず、単身の高齢者が孤独死した場合、その性質上発見が遅れることが多く、数日から数週間かかることもあります。

発見が遅れた場合、遺体の腐敗が進んでいると考えられるため、床の張替えや特殊クリーニングなどを負担しなければなりません。

さらに、孤独死で懸念されるのは、「心理的瑕疵(しんりてきかし)」です。

「心理的瑕疵」とは、自殺や殺人、事件などによる目に見えない傷を指し、いわゆる「事故物件」と同義です。

不動産業界において、事故物件の賃貸には事前の告知義務がありますが、孤独死には事件性がないため、解釈によっては必ずしも事故物件としてみなされるわけではありません。

しかし、孤独死の発見は、近隣住民からの異臭の通報によってされることが多いため、たとえ事件性のない「自然死」であったとしても、近隣住民からの噂によって、次の入居者に伝わってしまうことがあります。

そうなると、次の入居者は家主に対し、損害賠償を求めるケースもあるため、あらかじめ孤独死の告知をする必要が出てきます。

以上のように、孤独死は結果的に事故物件となりえ、家主にとってはリスクヘッジとして高齢者を敬遠することが多くなっているのです。

高齢者でも安心な「サービス付き高齢者向け住宅」

これまでに、老後の高齢者が賃貸住宅を借りられない理由について、詳しくご説明してきました。

では次に、高齢者が利用できる高齢者用賃貸物件についてお話していきます。

最近では、大手不動産会社の賃貸情報に、「サービス付き高齢者向け住宅」に関する特集が組まれていることが多くなりました。

「サービス付き高齢者向け住宅」とは、民間企業によって運営されるバリアフリー構造の高齢者施設で、一般的に「サ高住」や「サ付き」と略されます。

サ高住は、「高齢住まい法」のもと、年齢を理由に入居を拒否されることがないため、確実な住居の確保が望めます。

特徴としては、高齢者が自立して暮らせるサービスを提供しており、基本的に介護が必要ではない、比較的元気な高齢者(もしくは軽度の要介護高齢者)に向けた施設です。

つまり、老人ホームのような要介護度の高い高齢者の受け入れは前提としていないため、介護サービスの代わりに自由度の高い生活を送ることができるのです。

また、国は現代の超高齢化社会を考慮して、サ高住の住宅整備事業には費用補助制度の実施も行っています。

バリアフリーとスタッフ常駐で安心な暮らしができる!

サ高住は、通常の賃貸住宅を借りられない老後の高齢者にとっては嬉しい施設です。

その理由として、まず1つ目は前述した「バリアフリー構造」が挙げられます。

と言うのも、通常の賃貸住宅ではバリアフリーが対応していないことが多く、単身の高齢者にとっては住みにくい部分もあります。

しかし、サ高住は完全なバリアフリー構造の賃貸住宅であるため、段差につまづいて転倒するなど、事故のリスクを大幅に減らすことができます。

また、洗面台や手すりの高さも配慮されているので、高齢者には生活しやすい環境と言えます。

そして、2つ目の理由としては、「スタッフの常駐」です。

サ高住では、「安否確認」と「生活相談」の2つのサービスが義務付けられているため、日中の間は介護士や看護師のスタッフが常駐しているところも多いです。

そのため、夜間を除いては、万が一何か起こっても対応できる環境が整っています。

スタッフが常駐していない場合でも、外部の在宅サービスを利用することで、より安心した体制を整えることができます。

以上のように、サ高住のサービスは比較的自立している高齢者にとって、快適で安心した暮らしを提供する施設と言えます。

サ高住の入居条件は?それぞれの施設で確認を

サ高住における大きなメリットは、老後の高齢者であることを理由に、賃貸住宅を借りられないケースがないことです。

しかしながら、サ高住なら誰でも入居できるというわけではなく、60歳以上の高齢者、もしくは60歳未満の要介護者が入居対象になっています。

入居が可能な介護レベルは、軽度の要介護者までであることが多く、施設によっては「自立した生活ができる」「認知症を患っていない」など、条件が異なる場合があります。

また、入居する上では、連帯保証人・身元引受人が必要となります。

しかし、連帯保証人がいない場合は、「家賃債務保証制度」を利用する方法があります。

「家賃債務保証制度」とは、高齢者の住生活の向上を図る「高齢住宅財団」において、入居に際した家賃債務を保証し、連帯保証人の役割を担う制度です。

なお、身元引受人がいない場合は、各施設にて相談するのが良いでしょう。

ニーズに合わせた施設を探して、それぞれの入居条件をよく確認してみてください。

65歳以上は難しい年齢

高齢者が賃貸住宅を借りるには、様々なリスクが懸念されます。

そのため、どうしても貸し渋る家主が多いことを知っておきましょう。

しかし最近では、高齢者に向けたサ高住が増えており、快適で安心した老後の住まい確保が望めます。

自分の状況に合わせて、より適した賃貸住宅を選んでくださいね。