賃貸物件の契約期間は主に二年契約であることが多いですが、さまざまな事情で途中解約をしなくてはならない状況になる場合があります。
しかし、契約期間満了前なのに途中解約はできるものなのでしょうか。
また、その場合は違約金を支払わなくてはならないのでしょうか。
この記事では、賃貸物件の途中解約について解説していきます。
賃貸物件を契約期間途中で解約は可能?違約金は発生する?
アパートやマンションなどの賃貸借契約では、契約期間が決められています。
しかし、さまざまな事情で契約期間の途中で解約せざるを得ないときがありますよね。
例えば、仕事上での転勤や、学生であればキャンパスの移動などです。
この場合、契約期間満了前なのに途中解約は可能なのでしょうか。
結論から申し上げますと可能です。
ただし、「明日引っ越します」などと突然解約を迫るのはNGです。
(賃貸借契約の契約期間途中で解約する場合の退去希望日を伝えるタイミングについては、のちほど詳しくご説明します。)
また、基本的に違約金が発生するケースは少ないです。
しかし、賃貸借契約の内容では違約金が発生してしまう場合があるのです。
賃貸物件に関する違約金となると高額な気がしますが、金額はいくらぐらいになるのでしょうか。
賃貸借契約途中で解約する際の疑問について、順を追ってご説明していきます。
賃貸借契約期間途中で解約する場合の申告のタイミング
賃貸借契約の契約期間の途中で退去しなくてはならなくなった場合は、すみやかに大家さんや不動産会社に申告する必要があります。
まず、この申告のタイミングについては契約書に記載されていることがほとんどですので、確認してみましょう。
ちなみに、多くの物件では退去日の一ヶ月前までと定めていることがほとんどです。
ただし、周辺環境がいいなどの理由でその物件が人気がある場合は退去の二ヶ月前までに申告しなくてはならなかったり、事業用の物件であれば三ヶ月から六ヶ月前である場合もあります。
退去したあとには、大家さんや不動産会社は次の入居者を探さなくてはなりません。
大家さんや不動産会社にとって家賃収入が途絶えるのは大変困ることなので、必ず申告期限までに連絡するようにしましょう。
ここで注意点がひとつあります。
大家さんや不動産会社に連絡をするときは、電話ではなくメールや書面で行うようにしてください。
電話だと、退去申告をしたという証拠が残りません。
ですから、退去申告をしたという記録が残せるという意味で、メールや書面で退去申告を行うようにしましょう。
賃貸借契約期間途中で解約する場合の違約金はいくらぐらい?
さきほども申し上げましたとおり、賃貸借契約期間の途中で解約したとしても基本的に違約金を取られるケースは少ないでしょう。
しかし、契約内容によっては違約金が発生する場合があるのです。
その場合、違約金はいったいいくらぐらいになるのでしょうか。
一般的には家賃の一ヶ月分が違約金の支払い額となるケースが多いようです。
しかし、中には家賃三ヶ月分の違約金が生じたケースもあります。
さらに、違約金の支払いだけではなく、敷金が返還されないこともあります。
家賃一ヶ月分に敷金も返還されないとなると、家賃二ヶ月から三ヶ月分ものお金が必要になるということです。
引っ越しには何かと費用がかかりますから違約金の支払いはできるだけ避けたいものですが、契約書の内容次第です。
心づもりをしておくためにも、退去申告を行う前には契約書の内容をチェックしておきましょう。
賃貸借契約期間途中で解約する場合の家賃の精算方法は?
賃貸借契約期間の途中で解約をする場合、家賃の精算方法はどうなるのでしょうか。
月末に解約するのと月途中で解約するならどちらがいいのか、さらに、家賃一ヶ月分支払うのか日割りになるのかなど、いろいろな疑問が生じますね。
しかし、この件に関しても前述のとおり、契約書の内容で異なります。
中には、月初に退去したとしても家賃一ヶ月分の支払いが必要と定められている契約もあります。
そうなると、月末に退去した方がお得ですよね。
他には、日割り、半月割計算というものがあります。
日割り計算はその言葉通り、退去するまでの日にち分の家賃を支払うという意味です。
半月割計算は、1日から15日までの退去の場合は家賃の半額、16日から月末までの退去の場合は家賃一ヶ月分の支払いが必要になるという意味になります。
ですから、この場合は15日に退去すると家賃の半額なのに、翌日の16日に退去すると家賃一ヶ月分を支払わなくてはならないということになります。
退去時の家賃の計算方法によっていつ退去するのがお得かはそれぞれのケースで異なりますので、契約書の内容をよく確認するようにしましょう。
賃貸借契約期間途中で解約する場合の敷金はどうなる?
賃貸借契約の内容によっては、契約期間の途中に解約する場合違約金が発生してしまう可能性があり、敷金も返還されないケースがあることをご説明しました。
しかし、多くのケースでは途中解約だとしても基本的に敷金は返還されます。
また、契約満了の退去でも途中解約の退去でも、敷金の概念に変わりはありません。
つまり、賃貸借契約には「原状回復」義務がありますので、自分の過失によって傷や汚れをつけてしまった場合は入居時に支払っている敷金からその修繕費用を捻出することになるのです。
敷金の金額の範囲内で修繕が不可能な場合は、足りない分の費用を支払わなくてはなりません。
ちなみに、経年劣化によるクロスの日焼けやフローリングの張り替え費用は借主負担ではなく貸主負担となります。
借主負担となる主なものは、釘などで壁に大きな穴を開けてしまったり、飲みものをこぼしたまま放置して取れなくなってしまった汚れなどです。
賃貸物件はあくまでも人から借りているものですから、これまでもこれからも、大切に使うことを心掛けたいものですね。
貸主都合で賃貸借契約期間途中で解約になる場合も!
ここまでは、借主都合での賃貸借契約期間途中の解約について解説してきました。
最後に、貸主都合で賃貸借契約期間途中で解約になるケースについてご説明します。
物件によっては老朽化がすすみ、安全を確保できない場合があります。
また、何度も支払いをお願いしているにもかかわらず、借主が家賃滞納を数ヶ月間していたり、ペット不可の物件なのに隠れて飼育していたというケースでは貸主によって借主側に解約の申告をする場合があります。
このような貸主都合の解約は正当な事由が必要であり、解約の申告も半年前までと厳しく定められています。
また、借主に非がなく、建物の建て替えなどで退去させられる際は、立ち退き料が貸主側から支払われる場合があります。
よほどの事情がない限り貸主都合での途中解約はないかと思いますが、このようなケースがあることも知識のひとつとして覚えておくといいでしょう。
賃貸借契約期間途中の解約は契約書の内容をよく確認しよう
基本的に、一般的な賃貸物件であれば契約期間の途中でも解約は可能です。
しかし、契約の内容によっては違約金が発生してしまうことがあります。
また、解約の申告にも期限がある場合がほとんどですから、十分に注意するようにしてください。
もしも、賃貸借契約期間の途中で解約を行う際は、賃貸借契約書の内容をしっかりと把握しておくようにしましょう。