礼金が高い理由は?礼金相場・メリット・初期費用を知ろう

礼金は、「貸してくれてありがとうございます」という気持ちで手渡していた謝礼金が由来だった、と言われています。

今は、賃貸物件を探している時点で「礼金あり」という情報が分かるため、物件を借りる条件のようにとらえられていることが多いでしょう。

物件を探していると、礼金が高いという理由で、候補からはずさなくてはいけないこともあるかもしれません。

今回は、なぜ礼金があるのか、相場はどのくらいなのか、貸主との交渉で安くしてもらうことはできるのか、ということについてお伝えします。

礼金とは?高い物件がある理由は

入居する際に、初期費用として支払うお金の一つに礼金があります。

最初に一度だけ支払えば、後でまた請求されることはありませんが、敷金とはちがって、退去する際に清算されて返金されることはありません。

また、礼金の金額にはバラつきがありますし、ゼロにしている物件もあります。

最近では、礼金がない物件は全体で50%を超えるため、礼金を2ヶ月分程度設定している物件を見ると、「高い」と感じるようになる方もいるでしょう。

礼金には、前述したように謝礼の意味合いや、退去した後の空室期間分の補償、家賃の前払い、原状回復などの意味合いがあると思われます。

しかし、礼金ゼロというのが選ばれやすい条件の一つとなっている現在では、礼金が高い理由というのは、その分、他の条件に恵まれている物件だと考えることができます。

つまり、高くても借りたいと思える、条件のよい物件だということです。

住みやすい環境、交通の利便性、学校に近い学生向け物件など、入居希望者が引く手あまたのところは、値段を下げる必要がないと考えられるでしょう。

礼金が高い理由は人気の物件だから?物件の条件をよく確認してみよう

礼金が高い理由の一つとして、「条件がよくて人気の物件」ということを挙げました。

今はそこまで特別なことでもありませんが、礼金がある物件が多かったころは、礼金ゼロというと物件に何か問題があるのではないかと、慎重に調べていた方もいたのではないでしょうか。

家賃や敷金、礼金などが低い場合は、物件のその他の条件をよく確認し、内覧の際にもじっくりと観察して、デメリットを把握してから借りたほうがいいですよね。

たとえば、日当たりが悪い、築年数が古い、浴室やトイレが共同などのことが理由で、家賃を低く設定していることがあります。

また、火葬場やゴミ処理場の近くであったり、騒音問題が多いなどの理由で住みにくい場所にあると、空室になりがちなので家賃を低くしていることもあるでしょう。

礼金ゼロということが、そういったデメリットと必ずしも結び付くわけではありませんが、念のため事前に確認をしておくことをおすすめします。

「礼金が高い」貸主側の理由!借りるときは礼金に縛られすぎない

礼金について、管理会社や大家さんなど貸主側の理由としては、「入居審査をすることができる」ということが挙げられます。

礼金を高い状態で維持することによって、ある程度の経済力がある入居者と契約することができるため、家賃を滞納される心配がありません。

また、入居期間が短いことを見据えたうえで、家賃を安くするかわりに礼金を高くするケースもあります。

ただ、貸主側からすると利益になる礼金ですが、初期費用を抑えたい方は、できれば礼金が低いかゼロのところを選びたいと思うでしょう。

礼金ゼロの物件を候補として考えるポイントは、先ほど述べた通り、物件の詳細を把握しておくことです。

礼金が高いか低いか、ということよりも、物件の場所や部屋の状態などをよく確認し、ストレスを感じずに住むことができるか調べてみてください。

礼金があって人気の物件でも、自分にとってはそれほど大きなメリットがない場合もあるでしょう。

「駅に近い」とあっても、自転車で移動することが多い方にとっては魅力を感じないでしょうし、「コンビニが近い」というのも、節約しようと考えている方には、むしろデメリットになるかもしれません。

礼金があるないにとらわれず、自分のライフスタイルに合った物件を選んでください。

その礼金は本当に高い?地域によって異なる相場

礼金がある物件の、メリットになる理由についてご説明してきましたが、実際にはそれほど高い金額ではなかったということもあるかもしれません。

礼金ゼロの物件を候補に入れていると、礼金があるだけでも「高い」と考えてしまいそうですが、礼金の相場はいくらなのでしょうか。

礼金は地域によってもバラつきがありますが、家賃の1ヶ月~2ヶ月分が多いようです。

北海道においては礼金はなく、東北地方も礼金ゼロとしている物件が多いのですが、首都圏や東海地方などは2ヶ月~3ヶ月分の礼金を設定しているケースがあります。

加えて、近畿地方や中国地方、九州地方にも礼金はないところが多いですが、敷金(もしくは補償金)を3ヶ月~4ヶ月分、多いと6ヶ月分くらいに設定していることもあります。

ちなみに、国土交通省の調べによると関東地方では礼金相場は1ヶ月~2ヶ月分で、1ヶ月分が半数以上を占めています。

このように地域によって礼金の金額にバラつきがあることから、まれに違法な上乗せ行為があります。

入居希望者から問い合わせがあった物件を、「もう他の人が入ってしまった」として、礼金が上乗せされた別の物件を紹介する「おとり物件」などの上乗せ行為には、業務停止処分が科せられています。

入居者も、十分注意して物件を見定める必要があると言えるでしょう。

初期費用が高いと大変!礼金以外のお金について

礼金が高い理由や相場について理解したところで、知っておくと物件についての理解が深まる「初期費用」についてご説明します。

物件紹介のページを見ていくと、最初に家賃が分かりやすく書かれていますが、敷金や礼金、仲介手数料や保険料など、下にさりげなく書いてあって分かりにくいことがあります。

家賃の低さだけを見てピックアップしていくと、後でくわしく調べたら初期費用が想像以上に高くなり、もう一度調べ直すことになるかもしれません。

紹介ページに記載されている、それぞれのお金について簡単にご紹介します。

●敷金

近畿地方や西日本では敷金が礼金を兼ねている場合があり、退去時に返還されないこともあります。

しかし法的には、部屋の修繕費用や置いていったものの撤去費用、滞納家賃の清算などの目的で使った場合、余れば返還することになっています。

●前家賃

契約して入居する日が15日以降の場合、翌月分の家賃も請求されることがあります。

●当月家賃

日割り計算をする場合の、入居した日から当月末までの家賃です。

●仲介手数料

不動産会社への報酬の意味で設定されています。

●保証会社への手数料

身元保証会社が、保証人の代行をする場合に必要になる手数料です。

●借家人保険料

借主の過失により火災が起きたり、何かが壊れてしまった場合の保険料です。

●鍵交換代金

退去時に鍵を交換するための費用です。

上記のようなお金があれば、それと家賃をあわせて初期費用を割り出しましょう。

また、駐車料金が別に設定されていたり、2台目から別料金がかかる場合もありますので、見落とさないようにしてください。

賃貸契約にかかるお金!初期費用を正確に計算しよう

初期費用の中で、値下げ交渉を考えている場合に、比較的相談しやすいのが礼金です。

「礼金が高いから、あきらめようかな」と思っていた物件でも、値下げ交渉ができる場合があります。

内見が終わって、申し込みをするタイミングで交渉すると「確実に借りてもらえる」と判断されたことが理由で応じてもらえる可能性は高くなります。

空室状態が続いていたり、ちょうど貸主側が家賃の値下げを考えていた時期だったりすると、貸す側としてもメリットになるからですね。

とは言え、物件を見つけて管理会社に連絡をする段階や、契約書にサインした後での交渉は失礼にあたりますので注意してください。

はじめにお伝えしましたが、礼金は、その名前の通り「お礼」の気持ちをあらわすためのお金です。

時代をさかのぼりますが、戦後や震災やあとに家を失った人があふれ、賃貸物件も足りない状態になって地域がありました。

そこで優先的に部屋を貸してもらい、そのお礼として、大家さんに密かに渡したお金だったと言われています。

また、高度経済成長期に子供が東京に単身で下宿することになり、心配でしかたない親から大家さんに送ったお金だと言われることもあります。

北海道に礼金の習慣がないのは、昔は道内で就職する若者がほとんどで、遠く離れたところに礼金を送る必要がなかったからだという説もあります。

そうしたことを考えると、礼金の交渉にも慎重になる必要があるかもしれません。

礼金が高くてもメリットの多い物件もある

のびのびと快適に暮らすことができて空室状態にはならない物件は、敷金礼金を値下げしたりゼロにしたりしなくても、貸主としては困らないのです。

たとえ「ここは礼金が高いな…」と思っても、案外条件のよい物件なのかもしれません。

値下げ交渉もできる可能性もありますが、基本的に物件紹介に書かれている条件は変えられないものと考えてピックアップしていきましょう。

満足できる物件と巡り合えるように、隅々までチェックしてくださいね。