木造住宅の柱を見直そう!構造上の間隔を上手に活かす方法

木造住宅に限らず、家にとって柱は重要な骨組みです。

一定の間隔で柱を建てることで、安定した建物を造ることができますが、この柱があることで、間取りに制約が出てしまうことが多々あります。

通常、柱は目立たないように建てられます。

しかし、あえて柱を見せることで、インテリアとして利用してみてはいかがでしょうか。

今回は、「見せる/魅せる柱」についてお話ししましょう。

昔の木造住宅には「大黒柱」があった

「大黒柱」というと、「一家の主人」または「チームなどの中心人物」という意味を思い浮かべる方が多いかもしれません。

しかし、昔の木造住宅には、本当に大黒柱があったのです。

大黒柱とは木造住宅を建てるときに、家の中心に最初に建てる太い柱のことを指し、その大黒柱を基準にして家の骨組みを造っていきました。

そのため、大黒柱がないと家が建たなかったのです。

大黒柱は、その家を象徴するものとして、太くて立派なものが良いとされています。

欅(けやき)でしたら樹齢100年以上、檜(ひのき)や杉は150年以上のものがよく使われて、金額も数十万円から数百万円まで幅の広いものです。

大黒柱を育てるのにも手間が掛かり、ねじれがなく真っすぐに育つように枝を落とし、周りからの影響がないよう長い歳月を掛けます。

このようにして建てられた大黒柱は、「家の中心にあって、なくてはならないもの」でした。

それが転じて「家の中心=父親、主」「中心人物」などの意味になったのです。

現在では建築技術の向上や建築素材の多様化などにより、大黒柱を建てなくても木造住宅が建てられるようになり、大黒柱を建てる必要がなくなりました。

家を建てるために大黒柱は必要なくなりましたが、柱は必要です。

大黒柱がない分、梁をしっかりしたものにして、一定の間隔で柱を建てる必要があります。

木造住宅の柱はどのくらいの間隔で必要?

では、木造住宅に柱はどのくらいの間隔で建てたら良いのでしょう。

日本には、昔から使われてきた独自の単位があります。

それが、寸(すん)、尺(しゃく)、1丈(じょう)、間(けん)です。

長さはそれぞれ、次のようになります。

・1寸=30.3mm
・1尺=303mm
・1丈=3030mm
・1間=1818mm

100寸=10尺=1丈、6尺=1間ということになります。

木造の建築物では、今でもこの単位が使われているのですが、メートル法との兼ね合いもあり、便宜上3尺=910mmを基本としています。

そして、木造住宅の柱割りの基本間隔が、この910mmなのです。

しかし、910mmごとに柱を建てていては、家中柱だらけになってしまいます。

そこで、梁を太くしっかりしたものにして柱の間隔を広く取ったり、柱の太さを変えたり、壁などと組み合わせて目立たないようにすることで、柱の少ない広々とした空間を造るようにしているのです。

しかし、それでも柱の間隔は2間(3,640mm)が限界と言われていて、それ以上間隔を空けるとなると、建築費がかさんでしまうことになるでしょう。

したがって、1辺が4mを超える部屋には、柱が建つと思ってください。

あえて柱を見せる木造住宅は柱の間隔が重要

前述したように、基本的に1辺が4mを超える木造住宅の部屋には柱が建ちます。

広いリビングや居室などでは、柱を隠す、または目立たなくさせるために、壁や仕切りを作ってしまうことがあります。

しかし、そうするとせっかくの広い空間が区切られてしまいます。

そこで、広いリビングや居室などの柱を、あえて見せてしまいましょう。

通常、壁や仕切りにしてしまうところを、柱だけにしてしまうのです。

柱を4本等間隔に建てれば、広い空間でありながら、四角いスペースが演出できます。

例えば、リビングダイニングに柱で四角いスペースを作ってダイニングテーブルを置けば、柱があることでダイニングスペースとリビングスペースの線引きが自然に作れるでしょう。

壁や仕切りにしてしまうと圧迫感が出てしまいますが、柱だけなら開放的な雰囲気は保たれます。

また、部屋の中央に2本の柱をバランス良く建てても、同じような演出ができるでしょう。

このときの柱は、木の種類や形にこだわってセンスの良いものにしてください。

部屋の真ん中に「大黒柱」を建てる

先程、お話ししたのは、部屋の中に柱を等間隔で建てる方法でした。

次にご紹介したいのは、昔の木造住宅のような「大黒柱」を1本建てるというものです。

昔ながらの太くて立派なものではなく、シンプルでデザイン性のある柱を1本だけ部屋の中に建てる方法です。

広い部屋にすると、どうしても中途半端な場所に柱が必要になることがあります。

しかし、部屋の大きさや形によっては、2本、4本などと複数本建てられない場合や、好みによってはできるだけ柱を少なくしたい場合もあるでしょう。

そんなときには、柱を1本だけ見せておくのです。

1本の柱があることで、広い空間を仕切ることができます。

四角い柱であれば、柱が部屋のアクセントになり、広い部屋を引き締めて見せる効果が期待できるでしょう。

また、丸い柱にすれば、やさしく穏やかなイメージにすることができます。

木造住宅の柱だけでなく梁まで見せる

古民家をリノベーションして、再利用している店舗を見かけたことはありませんか。

昔の建物は、柱や梁がしっかりとしていて、そのまま表に出ていることがよくあります。

歴史を感じさせる柱や梁が見えることで、お店の雰囲気づくりに一役買っていますよね。

これと同じように、住宅の中も柱だけでなく、梁も一緒に見せてしまうのです。

等間隔に建てられた柱、しっかりと建物を支える梁など、建物の構造を見ることができます。

また、木造ならではの木目の美しさと木のぬくもりを、目でも楽しむことができます。

純和風に仕上げても良いですし、北欧風の造りにするのも良いでしょう。

木造住宅の良さは、年月が経つにつれて、木に色つやが加わり、それが味になっていくことです。

クロスを張って、均一できれいに仕上げるのも良いですが、木と共に月日の流れを感じるのも一興かもしれません。

リノベーションして等間隔に並んだ柱を楽しむ

ここまで、木造住宅の「見せる/魅せる柱」についてご紹介してきました。

新しく家を建てる予定がないなら、「我が家では魅せる柱なんて楽しめない」と思う方もいるでしょう。

しかし、新築でなくても、リフォームやリノベーションをすることで、魅せる柱を楽しむことができます。

構造上難しい場合もありますが、補強をすることで既存の柱を活かすことができる可能性もあります。

実際にリフォームやリノベーションで、柱を活かしている例を見てみましょう。

壁を外し柱だけにすることで圧迫感がなくなり、向こう側が見えるので開放的な雰囲気も感じさせます。

その表に出ている柱を磨いたり、塗装したりしてきれいにするだけで、開放感のある間仕切りとして部屋のアクセントになります。

また、等間隔で並んでいる柱に、棚板をはめて本棚や飾り棚にしている方もいます。

筋交いも外せないので、同じように間仕切りとして使ったり、棚板をはめて棚として活用している方もいるようです。

壁があった部分を透明なガラスにしている例では、×印の筋交いがかえっておしゃれに見えます。

このように柱を隠すのではなく見せることで、部屋の雰囲気を素敵に変えることができるのです。

等間隔の木造住宅の柱を活かす

建物にとって大事な柱も、ときには間取りやデザインの邪魔になることがあります。

しかし、柱を見せることで、部屋をおしゃれに見せることもできるのです。

等間隔で並べられている柱だからこそ、木造住宅を安定させ、表に出すことで規則性の美しさを感じられます。

今まで隠していた柱を見せることで、よりデザイン性の高い家にすることができるでしょう。