木造と鉄骨造を組み合わせた混構造ではどのような家が建つ?

住宅を建てる際には、木造、鉄骨造、鉄筋コンクリート造など様々な構造があります。

その中でも、ここでは木造と鉄骨造の特徴をご紹介します。

また近年では建築技術が上がり、その木造と鉄骨造を組み合わせた混構造で家を建てることもできるようになっています。

その際には、どういったメリットとデメリットがあるのか、例も併せてご紹介していきます。

木造の特徴

日本における住宅の主流は木造で、半数以上を占めています。

その木造住宅とは、どのような特徴をもつのでしょうか。

木造とは、柱や梁、壁といった住宅の構造体に木材を使用したもののことを言います。

主な特徴としては、まず断熱性と吸湿性が挙げられます。

この特徴が、夏は外の熱を遮断し、冬は家の中の暖かい空気を逃がさず快適な温度を保ってくれます。

また、湿度が高いと水分を木が吸収してくれるため、コンクリートや鉄に比べると湿度調整がしやすく結露の悩みも少なくて済みます。

その他の木造の特徴として、柱や梁で家を支える構造体のため、間取りなどを設計する際の自由度の高さ、リフォームのしやすさなども挙げられます。

長年住むうちに居住人数が変わって間取り変更が必要となったり、家を修繕しなくてはならなくなった場合、木造住宅は対応しやすいと言えます。

ただ木造は鉄骨造ほど柱と柱の間を広く取ることができないため、広々としたLDKにしたくても、柱が出てしまうことがあります。

そして、木造は使用する材料で違いは出てくるものの、鉄骨造や鉄筋コンクリート造に比べると材料費が安いため、建築費用が安く済むことが多いという特徴もあります。

反対に、木造のマイナス部分として考えられる特徴は、耐久性の低さとシロアリなど害虫の被害にあいやすい点が挙げられます。

そのため、長く木造住宅に住むためには定期的な点検やメンテナンスが必要となります。

シロアリなどの被害は、混構造にすることによってある程度軽減することができます。

その点は、後ほどご紹介します。

鉄骨造とは

続いて、鉄骨造の特徴を見ていきます。

鉄骨造とは、建物の構造部分に鉄骨を使用するもののことを言います。

鉄骨造の中には、厚さが6mm以上の鉄骨を使用する重量鉄骨造と6mm未満の鉄骨を使用する軽量鉄骨造があります。

重量鉄骨造は高層ビルや高層マンションなど、軽量鉄造は一戸建てや規模の小さいマンションやアパート、店舗などに使われます。

柱や梁を木材ではなく鉄骨を使用するのが鉄骨造ですが、木材に比べると鉄骨は強度が高く、木造よりも柱と柱の間隔を広くすることができます。

そのため柱の数が少なくて済み、広々とした空間を作ることができるようになります。

鉄骨造も木造と同様、柱や梁で家を支えているため、間取りの自由度が高く、リフォームもしやすいと言えます。

また、鉄骨造は揺れを大きく感じることがあるものの、地震には強く耐震性があることも特徴の一つです。

更に鉄骨造は木造に比べると耐久性が高いことも挙げられます。

鉄骨造のマイナス部分と言える特徴は、まず錆に弱いという点があります。

表面に傷が付いてしまうと、そこから錆が広がり強度が低くなっていってしまうため、定期的な点検が必要です。

耐火性においては、鉄骨は燃えないため木造より高いように思えますが、鉄は熱に弱く熱で強度が著しく低くなってしまうため、木造とさほど変わりはありません。

もう一つの特徴としては、断熱性や吸湿性が低いため、夏は暑く冬は寒くなってしまうという点も挙げられます。

そのため、光熱費が高くなってしまうことが考えられますが、鉄骨造も混構造を取り入れることによって光熱費を抑えることが可能になります。

その混構造とはどのようなものなのでしょうか。

混構造とはどのような構造?

木造と鉄骨造の特徴を挙げてきましたが、どちらにもメリットとデメリットがあります。

特徴が異なるので、どちらで家を建てたらよいのか迷う方もいらっしゃることでしょう。

ここでは、どっちにするか迷ったときに知っておきたい「混構造」についてご紹介していきます。

混構造とは、木造、鉄骨造、鉄筋コンクリート造などの中から複数の工法を組み合わせて使うもののことを言います。

それぞれにメリットとデメリットがあるので、お互いの弱点を補強することに期待ができます。

どのように混構造を使用するのか例を挙げると、1階と2階で構造が異なる住宅、体育館のように屋根部分だけ構造が異なるものなどがあります。

また、家を建てようとする土地の形や立地によっては条件が付けられている場合があります。

例えば、擁壁を作らなくてはならないことが定められている崖下などの土地の場合は、木造で家を建てたくても叶わないことがあります。

そういったときに、1階を鉄筋コンクリート造で2階を木造の混構造にするなどといった方法もあります。

構造で迷ってどちらのメリットも生かしたいと思う場合は、混構造も選択肢の一つにしてみてはいかがでしょうか。

木造と鉄骨造の混構造のメリット

ここでは、日本の住宅に多い木造と鉄骨造で混構造にした場合のメリットを見ていきます。

まず、木造と鉄骨造を組み合わせることで、木造の断熱性と吸湿性という特徴と、鉄骨造の間取りを広く取れるという特徴を生かせる住宅を建てることが可能になることが挙げられます。

柱と柱の間の間隔が鉄骨造よりも狭く、柱が出てしまうことがある木造のデメリットと、断熱性と吸湿性に弱い鉄骨造のデメリットを補い合います。

そのため鉄骨造を取り入れていても、夏や冬の光熱費を抑えることができます。

木造も鉄骨造も、間取りの設計の自由度が高いこととリフォームしやすいことという特徴が一致しているため、混構造にしてもその特徴は残せることもメリットです。

また、シロアリの害虫被害という点からもメリットがあります。

シロアリ被害は木造に見られ、基本的に1階から被害が出ます。

2階が木造であっても1階を鉄骨造にすることで、シロアリの被害が出る可能性を少なくすることができます。

以上のように、木造と鉄骨造を組み合わせた混構造にはメリットが多くあります。

木造と鉄骨造の混構造にデメリットはある?

木造と鉄骨造の混構造は、お互いの足りない部分を補うためメリットがたくさんありますが、デメリットもあります。

まず挙げられるデメリットが建築費用です。

木造は比較的建築コストを抑えられますが、混構造になると費用が高くなってしまうことがほとんどです。

続いて、火災保険が高くなってしまう可能性がある点が挙げられます。

一般的に木造住宅は、火災保険料が高く設定されています。

鉄骨造の混構造であっても、木造の割合がどのくらいになるかで火災保険の金額も変わってくるので、確認が必要です。

また、混構造は歴史も浅く施工例があまりありません。

その上、設計や施工が複雑になるため、建築期間が一般の住宅に比べて長くなることがあります。

混構造のデメリットは、主に費用と期間の面であると言えます。

混構造を選択肢に入れる場合には、これらのデメリットとメリットをじっくり検討してみてください。

木造と鉄骨造の混構造の例

施工例がまだ多くはありませんが、木造と鉄骨造の組み合わせ例をご紹介します。

まず木造と鉄骨造の組み合わせで多いのが、1階を鉄骨造、2階を木造にするパターンです。

例えば、1階に鉄骨造の特徴を生かして、広々とした明るいLDKを作ります。

そして2階は心が落ち着く木造にして、木のぬくもりを感じる居室を作るといった、両方のメリットを生かすというものです。

また、1階を重量鉄骨造で構造体を作って強度を高め、ビルトインガレージと物置にする3階建の混構造住宅にするという方法もあります。

1階に収納スペースも設けることにより、2階以上の居住スペースを広く取ることができます。

2階と3階は木造で、2階にLDKをつくります。

木造のため一部に柱がありますが、柱を活用したカウンターキッチンになっていて、圧迫感はありません。

木造の特徴を生かしてリビングの横には和室が設け、3階を居室にします。

3階でも木造であるため、断熱効果と吸湿効果で快適な心地よい居室となります。

以上は混構造の一例ですが、混構造にすることによって、1つの構造ではできない間取りを実現することができるようになります。

1つの構造では難しくてもこんな間取りで家を建ててみたいと思うことがあれば、ぜひ混構造の施工をしている業者に問い合わせてみてください。

木造と鉄骨造の混構造で希望通りの家を!

木造と鉄骨造のそれぞれのメリットとデメリット、更に混構造にした場合のメリットとデメリットを挙げてきました。

木造だけ、鉄骨造だけでは叶わないことが、混構造にすることによって実現できる可能性があります。

手間や技術力が必要な分、費用が高くなったり工期が延びたりすることは仕方がないことかもしれません。

その点も熟考して、後悔のない理想のマイホームを建ててください。