家を建てるなら知っておきたい!軽量鉄骨と木造の違い

ハウスメーカーの展示場などでは、外観や室内の間取りなどの目に見えるところに注目しがちです。

しかし実際に家を建てるときに考えるべきことは、耐震性や住み心地の良さではないでしょうか。

建物の構造には木造や鉄骨造など多くの構造があります。

一般の住宅では軽量鉄骨造と木造の2種類が主流になっていますが、一見しただけではその違いは判別しにくいです。

本記事ではこの2種類の構造について取り上げ、お伝えしていきます。

家を建てたい!知るべきは建物構造の種類

建物の構造にはいくつかの種類があります。

すぐに思いつくのは木造建築ですね。

木造とは建物の基本となる構造体(柱、梁、桁、壁など)を木材で造る建築方法を指します。

昔は天然木でできた製材を使用していましたが、現在では集成材、CLT(クロス・ラミネーティッド・ティンバー)などのエンジニアリングウッドと呼ばれる製材が登場し、一般住宅のほか、より大きな木造建築が可能になりました。

次に住宅の建築でよく使われるのが、軽量鉄骨です。

鉄骨と名の付く通り、鋼材を使用した建築製材を使用します。

鉄骨の製材は厚さの違いで名称が変わります。

製材として使う鋼材の厚さが6㎜以下のものを軽量鉄骨と呼ばれ、建築コストが削減できることやレイアウトの自由度、耐震性、耐久性において木造建築よりも勝るともいわれています。

鋼材の厚さが6㎜以上のものを使ったものは重量鉄骨造といい、さらに強い耐久性が期待できます。

このほか耐久性、遮音性の高い鉄筋コンクリート造でつくる建築構造があります。

鉄骨と木造の違い

一般的な住宅の建築には、主に鉄骨と木の2種類の製材が使われます。

それぞれの優れた性質を理解することは、自分の理想とするマイホームづくりに役立たせることができます。

各構造の性質の違いをご紹介していきます。

●木造

まず挙げられるのは、製材の軽さです。

鉄骨造の製材と比べて軽量なので運搬や工期などに良い影響をもたらします。

また、木造建築にすることで木の持つ特性である熱伝導の低さ、調質機能を取り入れることができ、室内環境の良い居心地の良い空間を作り出すことが可能になります。

木材そのものは耐火性が低いのですが表面を耐火素材で覆う、燃えしろ設計をするといった工夫で他の構造にも引けを取らない耐火機能を実現することができます。

●鉄骨

前述のように鉄骨には軽量と重量という2つの種類があります。

どちらも木造と比べて強度が高いため、地震の揺れに対して粘り強く耐えることができ、全壊の危険性が少ない造りであるといえます。

鉄骨(一般住宅では主に軽量鉄骨)を使った工法はプレハブ工法と呼ばれます。

これは工場で製造された部材を現場で組み立てる工法で、大量生産可能な規格化された部材を多く使うので建築にかかるコストが削減できるメリットがあります。

耐火性・耐震性に違いは?安全なのは軽量鉄骨と木造のどちら?

木造と軽量鉄骨、2つの製材の特徴が分かったところで、今度は耐火性や耐震性についてみていきましょう。

現在の建築基準は非常に高く、震度7の地震に耐えられる建造物でなければ建てることができません。

ですから、特別に心配しなくても耐震性の高い家を手に入れることが可能です。

そうはいっても、長く家族が住む家ですから、どのような建材が使われていて耐震性能がどれほどのものか知っておくことは大切です。

家の骨組みに使われる素材によって、火や地震に対する耐久性に違いがあります。

火災時に強いのは意外にも木造建築の建物です。

木は火災時に燃えても、木材が炭化した状態で崩れずにしばらくの間耐え、建物の形を保つことができます。

一方の鋼材を使用した鉄骨造の建物では、火災の熱により短い時間で変形してしまうことがあります。

燃焼度540度以上に達すると急激に強度が下がるため、元の建物の状態を保つことができず、突然に倒壊する恐れがあります。

このように熱に弱い鋼材ですが、最近では鋼材に耐火加工が施されたものが使用されることが多くなってきました。

この加工をすることで、耐火機能は飛躍的にあがり、木造以上といっても差し支えないほどになりました。

保険のことも考えよう!木造と軽量鉄骨では値段に違いがでる

構造の違いが影響するのは建物の耐久性だけではありません。

家を新築すると住宅保険に入ることになりますが、この際の火災保険の保険料は、住宅に使われている構造の違いで値段が変わってくるのです。

火災保険の保険料は建物を構造級別という区分で判定します。

【構造級別】

・M構造…マンションなどの集合住宅

・T構造…集合住宅を含まない重量・軽量鉄骨造の建物

・H構造…集合住宅を含まない木造の建物

大まかにこのような区分で建築物が分けられ、保険料を算定します。

M、T、Hの順に保険料が上がっていきます。

耐火建物、準耐火建物に判定されると保険料が安くなります。

マンションなどの集合住宅は、基本的に火災に強い鉄筋コンクリートを使用しますので、耐火性の高い建物と判定されます。

戸建ての場合はT構造と判定されることが多いようです。

しかし、木造であっても工法などによってはH構造ではなくT構造の判定になる場合もありますので、住宅を木造で建てるときには、その点も業者に相談してみましょう。

建築費用はどちらがお得?

マイホームは人生で一番大きな買い物ともいわれますから、その費用の額が大きなことは容易に想像できます。

とはいえ、「家を建てたらそれでおしまい!」というわけにはいきません。

先ほども触れた住宅保険がかかってきますし、家の維持費もあります。

建ててからの費用の事も考えなければなりませんから、家を建てる費用は抑えるに越したことはありません。

建築費用は、建物の構造と工法によって変わります。

木造建築では、日本で最も主流な在来工法とよばれる工法と、ツーバイフォーという北米から取り入れられた工法が使われます。

在来工法は施工性に優れ、間取りの自由度が高く住宅設備の種類が豊富であるため、予算に合わせた計画が立てやすい工法です。

相場が一番安いことも特徴です。

ツーバイフォーは合板を釘で固定していく簡単な工法で、工期が短くてすむことが特徴です。

2×4インチの合板を組み合わせて建てるこの工法は、家全体を面で構成するために平面剛性に優れます。

軽量鉄骨造での建築は、鋼材でできた部材を使って建物を支える工法で、プレハブ工法と呼ばれます。

工場生産された鋼材を使い組み立てることで、精度が高く短期間で安定した品質の家を比較的安価に供給することができます。

その一方で、建てられる家は、鉄骨が規格化されているために限られた範囲内の住宅プランしかなく、建築メーカーと異なる業者によるリフォームなどはできません。

このようにしてみると構造によって使われる工法に違いがでてくること、さらにそれぞれのデメリットもみえ、どちらの構造にも善し悪しがあることがわかります。

軽量鉄骨造?木造?それぞれの住み心地の良さを考える

最後に、住み心地の面から木造と軽量鉄骨造、2つの構造の違いについてみていきましょう。

住み心地とは、家の中にいるときの過ごしやすさのことです。

特に日本のような四季のある気候であれば、湿気の籠らない夏涼しく冬温かい家というのが理想でしょう。

そのような空間に少しでも近づけるためにはどのような方法があるのでしょうか。

木を建材として使う木造は、その吸湿性や通気性において他の素材よりも優れた性質をもっています。

木造建築にすれば、日本の気候に合った家が自然とでき上がっていくでしょう。

住み心地を考えるのであれば、「断然、木造!」との意見にもうなずけます。

しかし、住宅プランの上で木造でなく鉄骨を使う構造を採用することもあるでしょう。

鉄骨造の家は木造と比べ、通気性が悪く断熱性が低いため、そのままでは夏暑く冬寒い不便な家になってしまいます。

このような場合には、理想とする住み心地の良さを目指して空調設備を整える方法をとります。

室内の空調を整えるためには、空気の対流のよい空間作りが必要といえます。

また、どちらの構造にも言えるのが、遮音性の問題です。

こちらは住み心地の部分と、家を建てた周りの住人や環境への影響も考えられますので、グラスウールや吸音材などを使って防音対策も十分にしておくのがよいでしょう。

木造と鉄骨造の違いを知りマイホーム作りへ活かそう

家族のため、将来のためにマイホームを建てると決めてもわからないことだらけです。

専門外ではじめてのことであれば、不安な部分も多いでしょう。

しかし、わからないからといって業者やハウスメーカーに任せきりにすることはおすすめできません。

この記事で読んだことを手始めに少しでも知識を増やし、家族の希望も取り入れて理想の家造りをしましょう。