居住用としてアパートなどの賃貸借契約を結べば、初期費用を支払うことになります。
その初期費用にはいくつか項目があり、礼金や敷金などが挙げられます。
しかし中には、これら2つの違いをあまりよく知らないという方もいるのではないでしょうか。
この記事では礼金と敷金、2つの違いについてお話をし、初期費用として支払う際に消費税がかかるのかどうかについてもご説明します。
居住用としてアパートに入居!はじめに支払う初期費用とは?
大学に進学したり会社に就職したりするとき、実家をはなれ新たな場所で生活を送るために、アパートなどの賃貸物件に入居する方も多いことでしょう。
その際まずは、その物件の貸主(大家さん)と賃貸借契約を結ぶことになります。
賃貸者契約を無事に締結できれば、「あとは入居を待つのみ!」と思うでしょうが、忘れてはいけないのが「初期費用」です。
アパートなどの賃貸物件に入居時には費用がかかり、それを初期費用というのです。
この初期費用にはいくつか項目がありますのでご紹介します。
●礼金
●敷金
●前家賃
●仲介手数料
●火災保険料
●管理費
●鍵交換費用
●保証料
●引越し費用
もし家具や家電を新しく買い揃える場合は、これらの費用も初期費用に該当します。
だいたいトータルで、家賃5~6か月程度であることが初期費用の金額の目安といえそうです。
もし提示された金額が税抜の金額である場合、消費税がかかるものにはその分の金額が加算されますので、アパートに入居するだけでも多くのお金が必要になるといえますね。
礼金と敷金って何が違う?礼金はこういうもの
初期費用の主なものとして挙げられる礼金と敷金ですが、「言葉は聞いたことはあるけれど、明確な違いはよく分からない」という方もいるのではないでしょうか。
ここではまず、礼金についてご説明していきます。
礼金とは、アパートの大家さんに対して、お礼の意味として支払うお金のことをいいます。
まだ現代ほど賃貸の住戸が足りていなかった時代には、部屋を貸してくれた大家さんに対し、「部屋を使わせてくれてありがとう」といった感謝の気持ちとして礼金を支払っていたようなのです。
その風習が現代までずっと残り、今に至るわけです。
支払う礼金の金額は、だいたい家賃1か月程度が一般的ですが、近年では礼金ゼロの物件も増えてきているようです。
また人気の物件の場合は、礼金の金額が家賃2か月、3か月分ということもあるようですので、物件情報などでよく確認しておくことが大切といえるでしょう。
そんな礼金に対して、敷金とはどういうものなのでしょうか。
次の項で敷金についてご説明し、後ほどこれら2つに消費税がかかるのかどうかについてもお話ししていきます。
敷金はどういう費用のこと?礼金との違いは?
礼金についてお話をしましたので、敷金についてもご説明していきましょう。
敷金とは、アパートなどを借りるにあたって、大家さんに対して預ける「担保」のような意味合いの費用といえます。
何らかの理由で家賃を支払えなくなったときは、その敷金から支払われます。
また、退去時の原状回復にかかる修繕費は敷金から差し引かれます。
もし何事もなければ、担保ともいえる敷金ですので、退去時には返金されます。
万が一修繕費がかかっても、敷金の金額以上かからなければ、修繕費を差し引いた残額が返金されます。
ちなみに先ほどお話しした礼金は、お礼として支払うお金ですから、当然のことながら返金はされません。
意味合いも違えば、退去時に返金されるのかどうかも、礼金と敷金は違っていますね。
次の項では、そんな礼金と敷金には消費税がかかるのかどうかについてお話しします。
礼金と敷金って消費税はかかるの?
先ほどまでにお伝えしたとおり、礼金も敷金もそれぞれ家賃1か月程度が目安とされていますから、なかなか高額な初期費用のひとつといえますよね。
そこにさらに消費税が加算されれば、より多くのお金を用意しなければなりません。
ではこの礼金や敷金には消費税はかかるのでしょうか。
アパートを借りる目的としては、多くの場合は居住のためといえるでしょう。
こういった居住用としてアパートなどを借りる場合は、礼金・敷金に消費税はかからないとされています。
これは国税庁のHPでも確認することができますので、気になる方は確認してみると良いでしょう。
それでは、礼金や敷金のほかにも初期費用には項目がありましたが、それらには消費税はかかるのでしょうか。
これについては次の項でお伝えしていきましょう。
礼金・敷金以外の初期費用で消費税がかかる項目はあるの?
礼金や敷金については、居住用としてアパートを借りる場合、消費税はかかりません。
ではほかの初期費用の項目についてはどうなのでしょうか。
ここで消費税について軽くお話ししますと、消費税は基本的に対価を得て行われる取引に発生する税金です。
家賃も事業の対価となるため、消費税が導入された1989年当初は敷金や礼金も課税対象でした。
しかし、1991年に制度が改正され、居住用としてアパートを借りる場合の家賃や敷金、礼金などは、消費税の課税対象から外れました。
同様に
・前家賃
・火災保険料
・管理費
・保証料
なども非課税となります。
しかし、
・仲介手数料
・鍵交換費用
・引越し費用
は課税対象なので覚えておくと良いでしょう。
とはいっても、アパートを借りる場合必ず礼金や前家賃などに消費税がかからないわけではありません。
消費税がかかる場合についてのお話を、次の項でお伝えします。
必ずしも消費税がかからないとは限らない
ここまで礼金・敷金をはじめ、前家賃などにも消費税がかからないことをお伝えしてきました。
しかし、これはあくまで居住用としてアパートを借りた場合にのみいえることです。
アパートを借りる目的は居住用以外にも、事業用として借りる場合もあるでしょう。
事務所として利用したり、ネイルサロンなどの店舗として利用したりすることもあるそうです。
もしこれらのような事務所などの事業用としてアパートの一室を借りる場合は注意が必要です。
事業用が目的の場合、礼金や前家賃などについては消費税がかかってしまうそうなのです。
これは国税庁のHPなどでも掲載されていますので、確認してみると良いでしょう。
敷金はお話ししましたように、担保(預り金)のような役割のお金ですので、事業用であっても消費税はかからないとされています。
ただしはじめから敷金が償却されることが決まっている場合は、消費税の課税対象となるようですので、注意が必要といえるでしょう。
また中には、借りたアパートを自宅兼事務所にしている方もいるかもしれませんね。
その場合の消費税がどうなるかというと、自宅として使っている面積分は非課税、事務所として使っている面積分は課税対象となります。
アパートを借りる目的によって消費税が課税されるかどうか分かれますので、この点も頭に入れておくと良いかもしれませんね。
居住用であれば礼金などには消費税がかからない!
アパートなどの賃貸物件に入居する前には、初期費用を支払うことになるでしょう。
その中には礼金や敷金があり、これら2つの違いについてこの記事でお伝えしてきました。
また、消費税がかかるのかどうかについてもお話しし、居住用の場合であれば礼金などに消費税はかかりません。
万が一事業用としてアパートを借りる場合は、礼金などに消費税がかかりますので、こちらの違いも頭に入れておきましょう。