納戸やサービスルームと言えば、少し狭めの物置というイメージを持っている人は少なくありません。
しかし、部屋の間取り図を見ると、6.5畳の広さがあるのにサービスルームと表記されていることがあれば、4.5畳の広さでも洋室となっている場合もあります。
ここでは居室との違いと、納戸やサービスルームといった表記方法の違い、活用法についてお話します。
サービスルーム・納戸・居室の違いとは?
マンションや戸建の物件情報を見ると、部屋数は同じなのに「2SLDK」「3LDK」「2LDK+N」と、表記のされ方に違いがある場合があります。
物件情報に出てくる間取り表記にある「N」や「S」は納戸やサービスルームを意味しています。
これらの部屋は、建築基準法により、居室とは認められていません。
意外と知られていませんが、居室の定義が存在し、それを満たすためにはさまざまな基準をクリアしなければいけないのです。
基準の一つとして窓の面積があり、部屋の床面積の7分の1以上の大きさの窓が設置されていない部屋は居室と認められず、納戸やサービスルームの扱いになります。
部屋が納戸やサービスルームと表記されるか、居室と表記されるかは、窓の面積による採光や換気の程度により判断されるわけです。
違いはどんな点?サービスルームと納戸
納戸やサービスルーム、居室の違いについて先にお話しましたが、「納戸とサービスルームは何が違うの?」と思う人もいるでしょう。
実は納戸とサービスルームに明確な違いはありません。
居室としては認められていない部屋の呼び名は、納戸やサービスルームだけでなく、フリールーム(F)やウォークインクローゼット(WCL)といった呼び方があります。
これらの呼び名をどう使い分けるかは、法律で決められているわけではありませんが、使い分け方としては、広さによって区別されていることや、物件の雰囲気に合わせて決めたりとさまざまです。
高層階のマンションにおいて、同じ間取りにも関わらず、上層階であれば3LDK、低層階は2SLDKとなっていることがあります。
これは階によって採光の加減が違うために、建築基準法において低層階では居室と認められなかったということなのですが、部屋の作りとしては居室として十分使えるものです。
「サービスルーム」とは海外から来た用語なのですが、一説にはこのように居室と大差ない部屋に「納戸」と呼び名を付けると、普通の部屋として使うのに抵抗があるため、敢えて「サービスルーム」とした、という話もあります。
昔のイメージとは違いが!近年の納戸の使い方
納戸と言えば、いらない物や捨てるに捨てられない物が所狭しと詰め込まれ、足の踏み場もない暗い場所などというイメージがありませんか?
サービスルームと言われればなんとなく広々としたイメージも持てるのに、納戸と名が付くだけで昔のイメージが色濃く浮かんでくるものです。
しかしながら近年の納戸は昔とは違い、使用頻度が低い物だけでなく、日常的に使う物がきれいに整頓され、便利に活用されています。
市販の棚をDIYした棚を、収納したい物に合わせて取り入れることで、無駄のない納戸の使い方ができます。
キャスター付き台を用いることで、重い季節家電もかんたんに動かすことができるだけでなく、納戸内の掃除も楽々です。
安価で収納ケースや便利アイテムが手に入り、DIYが身近なものとなった今だからこそ、さまざまなアイデアが取り入れられ、納戸の使い方に広がりが生まれています。
また、収納スペースとしてだけではなく、納戸を書斎として、家事部屋として活用するケースも増えています。
納戸は「物をしまう場所」だけではなく、住んでいる人が「便利に活用する場所」になりつつあるのです。
サービスルームがあるお部屋のメリットとは?
建築基準法において居室とは認められていないサービスルームや納戸は、場合によっては用途が制限されることもあり、損をしているように思う人もいるでしょう。
同じ部屋数であっても「2SLDK」と「3LDK」では、受ける印象に違いがあります。
しかし、サービスルームがあるために得られるメリットもあるのです。
最大のメリットは、価格にあります。
サービスルーム付きの物件は、同じ床面積、同じ間取りであっても、表記としては通常より1部屋少なく記載されます。
それにより、売り出し価格が安く設定されるケースが多いのです。
分譲マンションや戸建住宅の購入価格は、人生で一番高額な買い物となる人も多いでしょう。
高額な買い物であるからこそ、広さは変わらずに価格が安いのは嬉しいものです。
サービスルームと一口に言っても、さまざまなタイプがあるため一概には言えませんが、検討して納得できる程度の条件で居室と認められないサービスルームであるなら、価格が安いのはメリットと言えるでしょう。
居室との違いを活かしたサービスルームの活用法
居室とは、継続的に使用することが大前提とされており、そのために採光や換気の基準が設けられています。
その基準を満たしていないサービスルームや納戸は、居室とは違い、使用する上で不便なのではないかと考えるのは自然なことです。
しかし、特徴を活かした使い方をすれば一見不便に見えるサービスルームや納戸も便利なものになります。
サービスルームには、窓がない場合やあってもサイズが小さい窓しか付いてないことが多いです。
窓がないことで収納スペースとして利用する場合、直射日光が当たることがなく、家具や衣類が日に焼けてしまうことがありません。
また、音が漏れやすい開口部が少ないことから、音の出る作業をする仕事部屋や簡易的なシアタールームとして活用するのに適しています。
同じ理由で外からの音も入って来にくいので、静かに読書や仕事をする書斎としてや集中して没頭できる趣味の部屋としても使いやすいでしょう。
サービスルームを活用するときの注意点
ここまでお話してきたように、納戸やサービスルームは、家族構成や暮らし方に応じてさまざまな使い方ができます。
しかし、居室として認められた部屋とは違い、通常当たり前のように部屋にあるものが、ない場合があります。
・エアコン設置用のダクトやコンセント
・テレビアンテナの配線
・コンセント
・天井照明を取り付けるための配線やシーリング
物件によっては、例えサービスルームであっても設置されていることもあります。
購入を検討している物件にサービスルームが付いている場合は、何があって何がないのか、きちんと確認してください。
もちろんこういった設備が整っていなくても、工夫次第で解決できる問題もあります。
「書斎として使おうと思っていたのにエアコンが取り付けられない」というときには、小さくても取り付け可能な窓があれば、窓用エアコンを取り付けることができます。
「コンセントがなくて困る」というときには、廊下や近くの部屋から延長コードで引き込むという方法もあるのです。
注意点を確認した上で、解決策を模索したり、使用用途を見直して、サービスルームを活用してください。
納戸やサービスルームを上手に活用しよう!
納戸やサービスルームと居室の違いは、基準を満たしているかいないかで判断され、納戸とサービスルームは、呼び名は違えど明確な違いはありません。
不便な面がある場合もありますが、特性を活かしたり、解決策を考えることで、納戸やサービスルームは便利なスペースとなります。
あなたの住まいをより快適にするために、活用してください。