マイホームを建てるときには「間取り決め」が大切です。
誰もが新しい家で快適に暮らせるように、「できるだけ希望が叶うような間取りにしたい」と考えることでしょう。
しかし、自由に間取りを決められるからこそ、迷ってしまうということもあります。
そこで、建ててしまってから後悔しないように、間取り決めを成功させるポイントを失敗例などを見ながらご紹介していきましょう。
マイホームの間取り決めを成功させるために「現状を知る」
新しいマイホームの間取り決めをするときに、まず最初に行って欲しいのは「現状を知る」ことです。
今住んでいる自宅の「不便に感じること」を挙げてみてください。
毎日の暮らしで慣れてしまっていることもあるので、少し考える期間を設けて、些細なことも見逃さずに家族全員で洗い出しをしましょう。
この洗い出しが、間取り決め成功のカギとなります。
それでは、例を挙げてみましょう。
・家事動線が悪く、家事の効率を下げている
・収納が足りない
・冷暖房が効きにくい
・コンセントが不足している
・採光が悪く、昼間でも暗い箇所がある
・風通しが悪い
・生活音が響きやすい
・ドアや窓の位置が悪く、家具の配置がしにくい
このように、毎日の生活のなかで不便を感じることを家族全員で挙げていくのです。
大人には不便と感じないことも、子どもにとっては不便ということもあるでしょう。
また、若い世代には気にならないことも、親世代には気になるということもあるはずです。
親世代が気になるということは、自分たちが年を重ねていったときに気になってくることだとも言えます。
これから長く住むことになるマイホームですから、このような洗い出しをして、間取り決めを成功させましょう。
マイホームの間取り決め成功のポイントは「優先順位を決める」
自宅で不便に感じることを確認したら、次は「優先順位」を決めましょう。
新しくマイホームを建てるときに、今感じている不便なことを全部解決できれば良いですが、すべて満足行くようにすることは大変難しくなります。
そこで、何を優先させるのか、譲れないことを挙げ、順位をつけておくのです。
そうすることで、優先させたいことを中心に、間取り決めを進めていくことができます。
このときも、家族全員で話し合いながら、優先順位を決めていきましょう。
自分だけでは気付かなかったことを、家族が気付かせてくれるかもしれません。
そこに住む家族が、より快適に暮らすためには何を優先させるべきかよく考えましょう。
できるだけ、家族全員の希望が取り入れられるようにすることで、皆が新しいマイホームに愛着が持てるようになりますし、それが間取り決めの成功と言えます。
マイホームの間取りを成功させるには玄関がポイント
次に、マイホームの間取りを成功させるには、玄関の位置と広さが大切です。
間取り決めをするときに、道路からのアプローチで玄関の位置はほぼ決まります。
そして、自分たちが生活する上で便利なことはもちろん、防犯の面からも考えて、玄関の向きや形を決めていきましょう。
家の顔である玄関の位置が決まれば、動線や優先順位から考えた間取りが決めやすくなります。
その玄関ですが、最近は広い玄関が人気を集めています。
小さい子どもがいる家庭では、ベビーカーごと玄関に入れれば、雨や風、暑さや寒さなどの影響を受けずに済むでしょう。
高齢の方がいる家庭では、靴を履くときのいすを置くこともできますし、車いすが中に入れられれば便利です。
家族が多い場合や、靴のおしゃれを楽しみたい方は、シューズクロークを作っておくと良いでしょう。
また、身だしなみをチェックできる大型の鏡や、傘立て、コート掛けなどを置くスペースが確保されているとより良いですね。
玄関での失敗例は、「靴を収納しきれない」「ベビーカーの置き場に困る」「傘置き場を確保していなかった」など収納に関するものが多いようです。
また、「照明のスイッチがひとつしかないので、玄関を上がらないと照明を点けられない」という失敗例もあります。
昼間の採光も大切ですが、夜、帰宅したときに暗い玄関から上がって照明を点けなくてはならないのは不便です。
自分たちでマイホームの間取りを描いてみる
マイホームの間取りについて優先順位を決めたら、簡単な間取り図を描いてみましょう。
自分たちがそこで暮らすことを想定しながら、間取り決めをするのです。
家族で「あーでもない、こーでもない」と、わいわい話しながら決めて行くのは、とても楽しい作業になることでしょう。
この簡単な間取り図を描くことで、具体的な生活が見え、特に家事動線、生活動線が分かってきます。
失敗例を見てみましょう。
・買い物をして帰ったときに、玄関からキッチンまでが遠く運びにくい
・洗濯機は一階、干す場所は二階にしてしまい、洗濯物を干すのも取り込むのも重労働になってしまった
・洗面所が一階にしかないので、朝の身支度に一階と二階を何度も行き来するのが大変
・掃除機をかけるときに、コンセントがない場所があって不便
・キッチンは使いやすいが、ダイニングテーブルまで料理を運びにくい
・パントリーを作ったのだが、キッチンからの位置や扉の開閉がしにくく、使いづらい
このように実際に思い描いていたものと違ってしまうことがあります
しかし、簡単な間取り図を描くことで、「どのようにしたら動きやすいか」「洗面所やトイレはひとつで良いか」「どこにコンセントが必要か」など、細かいところまで気が付くようになります。
間取り決めを成功させるには、この作業は外せません。
「それ本当に必要?」マイホームのおしゃれな間取りのデメリット
マイホームを建てるときには、おしゃれな空間や凝ったデザインに憧れる方もいるでしょう。
例えば、床の一部に高低差をつけ、仕切りがなく、空間を広く見せる効果がある「スキップフロア」は、見た目も素敵ですし、狭い空間を有効に使えます。
しかし、仕切りがないため冷暖房の効率が悪く、さらに段差があることで、子どもや高齢者には危険な場所になってしまうこともあります。
また、「天窓」は採光ができ、おしゃれな空間を演出してくれますが、掃除がしにくく、場所によってはカビが発生しやすいということがあります。
ほかにも、玄関やリビングに「吹き抜け」があると明るくて、開放感があって素敵ですよね。
しかし、吹き抜けがあると、冷暖房が効きにくく、昼間は明るいですが、夜は照明の加減によっては暗くなってしまいます。
照明器具の掃除や交換にも手間が掛かるでしょう。
そして、吹き抜けがあることで音が響きやすくなり、リビングでの話し声やテレビの音が気になってしまうことがあります。
また、リビングの「らせん階段」も吹き抜けと同じことが言えます。
一見素敵に見える間取りでも、このようなデメリットがあります。
間取り決めを成功させるには、デメリットに目を向けることが大切です。
マイホームの間取りを成功させるには「これから先」も考える
マイホームを建てるということは、この先何十年もそこに住み続けるということです。
子どもたちは成長し、自分たちは年を取っていくので、当然生活スタイルは変わっていきます。
そこで、自分たちが年を取ったときのことも考えて、間取り決めを成功させましょう。
先述の「スキップフロア」は、自分が高齢者になったときでも便利に使えるとは限りません。
また、二階建てのマイホームも高齢になると、階段の上り下りが大変なので、二階はほとんど使わなくなると聞きます。
子ども世代が住む予定があるなら、二階建てのままでも良いですが、夫婦二人だけでしたら、広い間取りを持て余してしまうことになります。
そのため、減築を想定して、最小限のリフォームで済むように設計したり、最初から先々のことを見据えた間取りにするのも良いでしょう。
工法によって、リフォームしやすいものとそうでないものがあるので、先々リフォームすることを考える場合には、工法選びから行ってください。
あるいは、広い間取りにしておいて、必要に応じて壁を作ったり、家具で仕切るなどの方法もあります。
いずれも、自分たちの生活スタイルに合わせて考えてみてください。
マイホームの間取り決めを成功させよう
マイホームの間取りについてご紹介してきましたが、いかがでしたか?
間取り決めを成功させるのに大切なのは、家族が満足する間取りを作ることです。
それには、家族全員で今住んでいる自宅の不便さを洗い出し、より良い間取りにするために話し合うことが大切です。
そして、実際に簡単な間取りを描いて、動線を確認してください。
家族で話し合いながら決めた間取りであれば、愛着のある素敵なマイホームになるでしょう。