住宅はそのお宅ごとに、さまざまな形やデザインになっています。
ふと屋根の形を見てみると、三角屋根が多い中に「フラット屋根」も見受けられます。
近年人気のフラットな屋根について、この記事でくわしくご紹介していきましょう。
また、木造住宅はフラット屋根に向いてないと言われていますが、その理由についても探っていきましょう。
フラット屋根とはどんなもの?
新築する際、どのような外観にしようかイメージを決めてから、住宅メーカーを探す方は多くいらっしゃるでしょう。
家にも流行りがありますから、他の木造、鉄骨造の新築のお宅を参考にする方も少なくありません。
近年、「陸屋根」の住宅をよく見かけるようになりました。
陸屋根とは別名「フラット屋根」のことを言い、屋根が三角ではなく、平らな状態になっていることを指します。
フラット屋根の見た目の特徴として、クールでスタイリッシュなイメージがあります。
つまり、シンプルでオフィスのような無機質な印象が人気の理由のようです。
屋根がフラットになっていることで、家全体がキューブを積み重ねたような形になり、お洒落な雰囲気を出すことができるのです。
プラスして、窓の形でアクセントを加え、個性を出すお宅も増えています。
フラット屋根を得意とする住宅メーカーには「へーベルハウス」や「セキスイハイム」があり、実例も多いこの2社は、ノウハウもたくさん持っていることでしょう。
続いて、フラット屋根のメリットをご紹介します。
フラット屋根のメリットとは
これから新築する方は、木造・鉄骨造に関係なく、屋根の形にもこだわりたい方が多いでしょう。
そこで、ここではフラット屋根のメリットをご紹介していきます。
●屋上が利用できる
屋根をフラットにすることで、屋上という空間ができあがります。
まわりを柵などで囲えばプライベートな空間ができあがり、家庭菜園やプールなどを楽しむことができます。
日光浴やバーベキューなどを楽しむことも可能でしょう。
●太陽光パネルの設置に適している
屋根をフラットにすると、太陽光パネルに直射日光がよく当たり、三角屋根よりも30%発電能力が上がると言われています。
これを年間単位で計算すると、売電の数値の方が高くなり、プラスになったという声も耳にします。
太陽光パネルをのせることを検討しているお宅は、フラット屋根にすることをおすすめします。
●メンテナンスがしやすい
屋根に何か異常が起きた時に、点検を行いますよね。
また、太陽光パネルをのせていれば、定期点検は必ず行います。
その際、フラット屋根だと足場を必要とすることもないため、メンテナンスがしやすいと好評です。
フラット屋根のデメリットとは
前項ではフラット屋根のメリットをたくさんご紹介しました。
では、デメリットはどのような点なのでしょうか。
以下でまとめてご紹介しましょう。
●2階が暑い
フラット屋根のお宅の方にお話を聞くと、「夏は2階が暑い」と口にします。
これは、天井裏に空間がないことが大きな原因となります。
三角屋根の場合、2階の天井と外気との間に十分な広さの屋根裏があり、そこに「空気の層」ができています。
この空気の層が、屋根を通して部屋に入ろうとする熱を遮断する働きをしてくれるのです。
フラット屋根のお宅は、天井に断熱をしっかり行っていても、天井から熱が部屋に伝わりやすいので、気温が上昇しやすいのです。
●防水のメンテナンスが必要
木造でも鉄骨造でも、どんな形状の屋根であっても、定期的なメンテナンスは必要となります。
フラット屋根は三角屋根と違い、紫外線や雨を全体で受け止めています。
そのため、ほかの屋根よりも劣化が早く、防水のメンテナンスが必要となることが多いです。
メンテナンスを怠ると、雨漏りが発生することへ繋がるでしょう。
万が一、排水管にゴミが詰まっていた場合、雨水が外へ抜けていかなくなります。
その結果、屋根の劣化を早めてしまうでしょう。
木造住宅がフラット屋根に向かないのは防水問題
ここからは、木造住宅がフラット屋根に向かない理由についてお伝えしていきましょう。
まず1つ目の理由ですが、「防水問題」によるものです。
先ほど、フラット屋根のデメリットで防水メンテナンスが必要になるとお話ししましたが、木造住宅の場合、より深刻な問題となります。
雨水がうまく抜けきらなかった場合、水が溜まったままの状態となりますよね。
木造住宅はもちろん木でできていますから、そのままの状態が続くと、木が腐ってしまう可能性があるのです。
また、木造住宅は地震で揺れやすい傾向があります。
この揺れによって、屋根の防水シートが破れてしまうことが考えられます。
そのため、木造住宅でフラット屋根を希望するお宅は、やや屋根に傾斜を設けるなどして、完全にフラットな状態にしないようにすると良いでしょう。
フラット屋根の木造住宅は積雪に耐えられない?
木造住宅がフラット屋根に向かない2つ目の理由は「積雪」によるものです。
一般的な木造住宅は、積雪があっても何も問題はありません。
しかし、屋根がフラットだった場合は、積雪の際に問題が出てくるのです。
その理由は、三角屋根のように傾斜がある場合、雪が降っても滑って地面に落ちることとなりますが、フラット屋根の場合は、雪がそのまま屋根に積もり続けます。
積もった雪はかなり重さがあるため、木造住宅の躯体に大きく影響が出る可能性が高いのです。
ただ、フラット屋根は雪下ろしの作業はしやすいため、雪が降ったら一定時間ごとに雪下ろしをすることをおすすめします。
以上の理由から、木造住宅でフラット屋根をあまり見かけないことが分かりましたね。
木造住宅に向いている屋根とは
木造住宅でフラット屋根にすることは可能です。
しかし、木造住宅には木造に向いた屋根を選んだ方が、後々のメンテナンスは楽になります。
以下で、木造に向いた一般的な屋根をご紹介しましょう。
●切妻屋根(きりづまやね)
1枚の板を半分に折ったような形状の屋根で、日本で1番多く目にする屋根です。
構造が単純なため価格が安く、また和風・洋風どちらにもよく合います。
雨漏りはしにくいですが、太陽光パネルの発電は屋根の向いている方角によって効率に影響が出ます。
●寄棟屋根(よせむねやね)
4枚の板を寄せ合うように支えあう形状の屋根です。
切妻屋根と同じくらい人気が高く、耐久性の高さから台風の多い地域でよく目にします。
和風・洋風どちらのお宅にもよく合います。
●片流れ屋根(かたながれやね)
近年よく見かけるようになった屋根で、1枚の板がななめに傾いた形状をしています。
住宅密集地などで採用されることが多く、建物をシャープでお洒落な印象にすることができます。
構造が単純なので価格は安く、屋根裏部屋を有効利用できるという理由から人気が高まってきています。
フラット屋根はお洒落だが木造住宅には向かない
フラット屋根はスタイリッシュでお洒落なイメージのため、近年人気の高い屋根です。
屋上スペースが活用できる、太陽光パネルに適している、メンテナンスがしやすいなど、たくさんのメリットがあります。
ただし、フラット屋根にしようと計画している方は、夏場は2階が暑くなる、防水メンテナンスが定期的に必要になることを、しっかり頭に入れておきましょう。
また、木造住宅の新築を予定している方は、フラット屋根にすると防水や積雪の際に問題が起こりやすくなります。
木造住宅は木造に合った屋根を選ぶことで、後々のメンテナンスは楽になるでしょう。