賃貸マンションやアパートあるいは事務所・店舗では、毎月定められた期日までに家賃を支払います。
主な支払い方法については、銀行振り込みの他には口座振替による自動引き落としがあります。
口座に残高が不足していなければ、引き落としがなされますが、はたしていつの分が引き落としされているのかがわからない時はどうすればよいのでしょうか。
いつの分の家賃かを確認するのは契約書で
口座振替で引き落としされる家賃は、特別な場合を除いて毎月同じ額になっています。
物件によっては管理会社が水道料金や電気料金を家賃に併せて請求します。
水道光熱費を定額にしている場合もありますが、基本的には各お部屋で使った分を請求しますので水道光熱費は後払いになります。
すると、家賃も後払いだと思ってしまう方もいらっしゃるかもしれません。
毎月支払う家賃がいつの分なのかは、契約書で確認してください。
契約書を見れば、当月に翌月分を支払うのか、当月に当月分を支払うのかが記載されています。
あまり最近ではありませんが、家賃のうちで管理費だけが後払いになっている場合もあります。
管理会社や大家さんに聞いても構いませんが、契約内容に不明点があれば、まずは契約書で確認するのが基本です。
家賃のほとんどが前払いになっている
賃貸マンションやアパートあるいは事務所・店舗の家賃は「前払い」になっている場合がほとんどです。
引き落としされた家賃がいつの分かを知りたくて、契約書で確認したら「前払い」になっていたというケースが多数だと思います。
たとえば、10月に引き落としされた家賃は11月分です。
家賃は民法614条の規定では、後払いとなっていますが、必ずしも民法に従わねばならないわけではありません。
貸主と借主の間で締結される賃貸借契約書で前払いと記載されていれば、民法の条文より賃貸借契約書が優先されます。
なぜ前払いが主流になったかは諸説あるようですが、家賃未払いのリスクを負う貸主にはメリットがあります。
貸主である大家さんにとっては、前もって翌月分の家賃が回収できます。
仮に後払いだとすると、突然、借主がいなくなったら家賃が回収できませんが、前払いであれば、最悪でもその月の家賃は既に徴収済みになっています。
賃貸借契約は、貸主と借主の間の信頼関係が基本になりますが、予期せぬ事態も起こりえるのです。
借主にとっても家賃が前払いであれば、翌月のお部屋の利用権を前月に手にできるという形にもなります。
さまざまな理由から双方にメリットのある現在の形になったのではないでしょうか。
引き落としされた家賃がいつの分かの明細は出ないところが多い
「引き落としするのがいつの分なのか」と「引き落とし額がいくらなのか」が記載された明細が毎月発行されるケースは一部を除いてあまりありません。
電気料金や水道料金は金額が変動するので、引き落とし前に明細が配布されるのが一般的ですが、家賃は定額なので基本的には発行されません。
ただし、引き落としの初回は明細が発行されるケースが多いようです。
口座振替は依頼書が出されてから引き落とし開始までに一ヶ月前後の時間がかかります。
お客様に対して、何月から引き落としが始まるのかを知らせてくれます。
また、いつの分から引き落としするのかを確認してもらう意味もあります。
賃貸物件に10月途中から入居した時、初期費用として10月日割り分に加えて11月分を支払う場合があります。
そのようなケースでは11月に12月分家賃から引き落とし、となれば問題ないわけです。
11月分が再び請求されて二重支払いになっていないか、逆に12月分が抜けてしまって1月分からになっていないかなどが確認できます。
なお、家賃が契約期間中に改定されることも珍しくありませんが、引き落とし額が変更になった場合も明細が発行される場合が多いです。
そのような時は、新しい契約書あるいは、改定の覚書で交わした通りに変更されているかを確認しましょう。
家賃の口座振替は毎月決められた日に引き落としがかかる
家賃の自動引き落としは毎月決められた日に口座からお金が引き落としされます。
決められた日は、自分の都合の良いを選べるわけではなく、口座振替を行う会社が定めた日になります。
多く見受けられるのは27日か、その前後です。
たとえば、給料日が末日なので27日は避けて欲しいから、末日に引き落としして欲しいとお願いしても、システム上できないのが実状です。
どうしても27日は厳しいので、末日にしたい場合は口座振替を選択しない方法もあります。
管理会社や大家さんに事情を話してみて許可されれば、末日に指定された口座に振り込みで支払うのも良いと思います。
また、金融機関に毎月足を運ぶのが面倒であれば、銀行の「自動送金サービス」を利用するのも良いでしょう。
手数料はかかりますが、毎月決まった日に指定した口座へ定額を送金してくれるサービスです。
水道光熱費のように毎月金額が変動するものには使えませんが、定額の家賃のみであれば問題ないと思います。
なお、振り込みや自動送金サービスに途中から切り替える場合は「家賃が前払いなのか」や「いつの分から切り替えるか」に注意して未納や二重払いにならないよう気をつけましょう。
残高不足で引き落としができなかった時は
家賃の口座振替日に十分な残高がなく、引き落としができなかった場合はどうなるのでしょうか。
多くの場合は、翌月の振替日に本来の引き落とし分と合わせて未納分も引き落としされます。
ただし、翌月の振替日までに未納分の支払いをする方もいらっしゃるはずですが、その場合は注意が必要です。
たとえば、末日に給料が入ったので振り込みで支払いを行ったら、できれば管理会社や大家さんに連絡を入れてください。
振り込みによって、その月の未納が消されて翌月は通常通り一ヶ月分の請求になりますが、連絡を入れることにより事務作業がスムーズに進みます。
もしも、翌月になってから振り込みをする場合も連絡するのが好ましいです。
振り込みするのは、いつの分かを伝えて口座振替で二か月分を引き落とししないようお願いをします。
ただし、振り込み時期が月の中旬など遅い時期だと口座振替の金額を調整できなくなります。
最悪は一ヶ月分を振り込んだ後に、二ヶ月分の引き落としがかかってしまう事態になります。
口座振替の請求額が変えられるかの確認をしたうえでの振り込みが望ましいです。
もう請求額が変更できない、との回答があったら振り込みを中止して口座振替で二か月分を引き落とししてもらいます。
いつの分が引き落としされているかは退去時に特に注意を
住んでいるマンションやアパートを転勤や就職で引っ越すことになったら、解約通知書を提出します。
契約書によって異なりますが、住宅の場合は一ヶ月前の予告が多いようです。
もしも、3月末日に解約という場合、家賃はいつまで支払えばよいのかを迷ってしまう方もいらっしゃるはずです。
退去する時は、毎月いつの分が引き落としされているのかを特に注意する必要があります。
家賃が前払いでしたら、3月には支払いがありませんね。
2月引き落としの3月分で家賃の支払いが終わりますが、3月の支払いが最後と勘違いされるケースもたまに見受けられます。
解約の連絡を入れた時点で、管理会社や大家さんが口座振替を停止してくれると思います。
しかし、自らが設定した銀行の自動送金サービスで家賃を支払っていたら、自分で停止の手続きをしなければ以後も送金が続くので注意です。
この時も、いつの分まで支払いをしていたかを確認しながら過不足が生じないようにするのが大事です。
いつの分が引き落としになっているか把握しておくことが大事
口座振替は便利で、入居時に設定してしまえば自動的に家賃が引き落としされます。
しかし、いつの分が引き落としになってるのかを把握しておかないと、振り込みに変更する場合や退去する時に迷いが生じてしまいます。
特に退去する時は敷金精算がありますが、家賃の過不足があると計算がややこしくなってしまいます。
最も望ましいのは入居時に初期費用を支払った際に、前払いなのかなど支払い方法をしっかりと把握しておくことです。