マンションの維持管理には管理費用が必要!滞納時の対応は?

マンションの維持管理トラブルでしばしば見られるのが、「管理費の滞納」です。

マンションの維持管理に必要な費用は、マンションを購入した居住者の月々の支払いによって賄われていますが、万が一、一部の住戸が支払いを滞納してしまえば、不足してしまう懸念があります。

この記事では、マンションの管理費の滞納が起こった際の対応について、詳しくお話していきます。

マンション管理費の滞納はトラブルに!管理費維持管理に欠かせない

集合住宅であるマンションでは、共有スペースを含めた建物の適切な維持管理が不可欠ですが、これらの費用をカバーしているのがマンションを購入した居住者です。

マンションの居住者は、こういった管理費をマンションの居住者が組織する運営団体(管理組合)に収めることで、マンションの維持管理に努めています。

具体的に言うと、マンションには管理費だけでなく、以下のような修繕積立金という修繕費用もかかってきます。

・管理費:共有スペース(廊下、エレベーター、ゴミ置き場)などの日常管理、設備の維持、管理員人件費など

・修繕積立金:共有部分に対する大規模な修繕のための費用

しかし、仮に一部の住戸で長期的な管理費の滞納があれば、居住者間に不公平が生じることはもちろん、マンションの維持管理が十分に行えなくなる可能性もあります。

ところが、このような管理費の滞納は珍しいことではなく、実に3割以上の管理組合が滞納トラブルに直面してる現状が確認されています。

マンションで管理費の滞納が!管理組合の対応は?

では、マンションにおける管理費の滞納が起こった際、管理組合はどのような対応をすれば良いのでしょうか。

通常、マンションの管理費などの回収は、管理業務を委託されている管理会社が行っています。

まずは、万が一滞納があった際にいち早く把握できるように、管理会社から報告される月々の滞納状況をしっかりチェックしておくことが前提とされます。

これは、滞納がズルズルと長期化するのを防ぐため、つまり早期回収に努めるための重要なポイントです。

もしも滞納があった場合は、第一段階として、管理会社から滞納者に対して督促を行います。

その際、管理会社に任せきりにするのではなく、督促の具体的な実施状況についてもよく確認するようにしましょう。

また、一般的に滞納者へ対する督促は、「書面による督促状」や「電話・訪問による督促」によって行われますが、6か月を経過しても解決の目途が立たない場合は、さらに管理組合がアプローチをする流れになります。

次項で詳しく見ていきましょう。

管理会社の督促で応じない場合の管理組合によるアプローチ

マンションの管理費滞納者に対し、管理会社による督促でも解決できない場合は、管理組合を代表した理事会が督促を行う段階に入ります。

理事会とは、管理組合の業務を遂行していく組織で、マンション居住者の代表として位置づけられます。

同じマンション居住者である役員から督促される形になるので、これまで督促を行っていた外部の管理会社とは立場が異なります。

これは、「同じマンションの居住者に迷惑をかけている」という心理的に身近な罪悪感を滞納者が持つことにつながり、管理費の滞納トラブルをより早く解決できる効果が望めるわけです。

また、督促の方法は前項と同様ですが、電話や書面による督促でも解決しない場合は、理事会の役員で訪問をすることになるでしょう。

顔を直接合わせて面談することで、滞納者の状況を確実に把握することができ、今後の支払いについてもしっかり話し合うきっかけになります。

また、一人よりも複数人で訪問することで、より滞納者への支払いを後押しする効果が期待できます。

マンションの管理費滞納が解決しない!法的処置による解決

マンションの管理費滞納者の中には、理事会による督促にも応じない厄介なケースがあります。

そのように滞納が長期化する場合は、最終的な手段となる法的措置も検討しなければなりません。

管理費滞納の法的手続きには、「支払督促」と「少額訴訟」が最も用いられており、費用や手軽さから見てもおすすめされています。

●支払督促:簡易裁判所から滞納者に対し支払いを請求する制度

・訴額上限がない
・書類が簡易
・申立費用が安い
・比較的短期間で解決が望める

・滞納者からの異議が認められれば効力を失う
・通常訴訟へ移行する可能性がある

●少額訴訟:簡易裁判所を介し少額の債権を回収する制度

・書類が簡易
・申立費用が安い
・審議が一日で結審する

・訴額上限が60万円
・裁判所への理事長の出頭が必要
・年10回まで

以上のように、両者にはそれぞれ違いがあるため、あらかじめよく把握しておく必要があります。

いずれも簡易裁判所が管轄になり、弁護士や司法書士に依頼しなくても手続きができるのでおすすめです。

滞納者への最終手段「強制執行」とは

マンションの管理費滞納について、前項では「支払督促」と「少額訴訟」を取り上げてきました。

この2つの法的措置は、これまで支払いに応じなかった滞納者に非常に効果的で、これによって解決されるケースは多く見られます。

しかしながら、これらの法的措置で確定判決が出ていながら、頑なに支払いに応じない滞納者も中にはいます。

そのような場合は、最終的な手段として強制執行手続きをすることができます。

強制執行では、滞納者の財産の差し押さえが行われ、例えば給料債権や銀行預金、自動車などが対象になります。

さらには、滞納者が住むマンション住居自体も強制執行の対象となり、「競売」によって滞納分を回収する方法もあります。

競売は、区分所有者の共同生活に反する滞納者への法的手段で、滞納者のマンション所有権を競売にかけることができる法律です。

つまり、滞納者のマンション所有権をはく奪することで、区分所有者の共同生活を維持する目的があります。

競売についても最終的な手段として用いられるため、あらかじめ弁護士や司法書士に相談しながら検討していきましょう。

管理費滞納への対処は早期に!時効の問題

これまでに、マンションの管理費滞納者への対処方法について、詳しくご説明してきました。

最後に、管理費滞納を催促していく上で関わる「時効」についてお話していきます。

刑事事件などでときたま耳にする時効は、滞納などのお金に関わるトラブルにおいても存在し、管理費の時効は5年とされています。

つまり、支払い期間から5年が経過してしまうと、5年を超えた部分は消滅時効の主張をされる場合があるのです。

そのため、管理組合や理事会は5年という時効を踏まえた上で、滞納の回収に臨んでいく必要があります。

こういった時効を含めて考えてみると、ポイントはやはり「早期回収」に努めることで、滞納トラブルを長期化させないことが重要になります。

管理会社からの滞納状況をいち早く把握し、滞納トラブルの防止に努めていきましょう。

滞納の早期回収に向けて

マンションの管理費滞納は珍しいことではなく、およそ3割の管理組合が直面している問題です。

また、滞納は長期化すればするほど滞納額が高額になるため、滞納者の返済も難しくなります。

できるだけ早期に解決ができるように、管理組合は早め早めのアプローチを心がけていきましょう。