マンションは水漏れ事故に遭いやすい?損害賠償はどうなる?

マンションなどで多い水漏れトラブルは、集合住宅である分厄介な問題です。

誰もが被害者にも加害者にもなり得ますし、場合によっては損害賠償が発生するケースも出てくるからです。

水漏れ事故に遭った場合、もしくは被害を与えてしまった場合、その損害賠償はどうなるのでしょうか。

この記事では、マンションでの水漏れ被害やその賠償、そしてそれをカバーするための保険についてもお話していきます。

マンションで水漏れ事故が!損害賠償の所在はどうなる?

マンションなどの集合住宅では、水漏れ事故が発生すると近隣世帯にまで被害が及ぶケースが多く、その解決には多大な時間と労力を要します。

また、加害者となって損害賠償を求められる場合があり、大きなお金がかかるケースも少なくありません。

ただし、損害賠償が求められる加害者となる立場は、水漏れ発生の状況によって変わってくるので、ケース別の賠償責任について知っておくことが大切です。

そこでまず、マンションの水漏れ事故でポイントとなるのが、水漏れの「発生個所」です。

賠償責任をだれが負うかには、水漏れ原因の発生個所が「専有部分」なのか「共用部分」のどちらなのかが重要です。

「専有部分」とは、区分所有権の目的となる部分で、マンションの「住戸部分」ということになります。

一方、「共用部分」とは、専有に含まれない独立性のない部分で、分かりやすく言うとエレベーターやエントランスなどが挙げられます。

では、この専有部分と共用部分の水漏れについて、次項で詳しく見ていきましょう。

マンションの水漏れ原因が共用部分に!その賠償責任は?

マンションで水漏れ事故が起こった際、その賠償責任の所在は「専有部分」か「共用部分」かによって変わることが分かりました。

では、さらに詳しくケースを分けてご説明していきましょう。

まず、「共用部分」から水漏れが発生する代表的なケースでは、「配管の老朽化」や「排水管の劣化」などが挙げられます。

この場合、水漏れ事故の責任は原則的に管理組合(区分所有者全員)にあるため、被害に遭った場合は比較的賠償を受けやすいと言えます。

また、水漏れが確認できる場所や被害状況は、スマホなどで写真におさめておくことで、その後の賠償のための証拠資料として役立ちます。

なお、損害賠償の方法は、マンションによって変わる場合があるので留意しておきましょう。

マンションの専有部分から水漏れ被害に!自分が加害者の場合

次に、水漏れ発生個所がマンションの専有部分であった場合についてご説明していきましょう。

専有部分の代表的な水漏れケースでは、洗濯機の排水ホースの外れや排水機能の故障、トイレの詰まりなどが挙げられます。

つまり、マンション居住者による人為的な過失が原因になっているため、原則的には落ち度のある居住者に賠償責任が生じることになります。

では、まずは自分の過失によって水漏れを起こしてしまった場合を見てみましょう。

自分の過失によって階下が水漏れ被害に遭った場合、特に賠償が必要であれば速やかな対応が求められます。

賃貸の場合は管理会社や大家さんに立ち会いをお願いし、第三者を介した謝罪・賠償をすることができれば、その後の隣人関係も悪化することはないでしょう。

ただし、管理会社や大家さん任せにしてしまうことは禁物で、問題がよりこじれる場合があります。

万が一、水漏れ事故を起こしたら、加害者として誠意ある謝罪をするようにしてください。

階上の住人が水漏れ加害者だった場合!その対応と賠償

前項に続き、マンションの専有部分で発生した水漏れ事故に関して、自分が被害に遭った際の対応について見ていきましょう。

階上居住者の過失により、運悪く自分の住まいが被害を受けた場合、まずは被害状況をスマホなどで撮影し、明確に整理しておくことが望ましいでしょう。

と言うのも、これは共用部分からの水漏れにも同じことが言えますが、証拠資料となるからです。

ただし、水漏れ被害によってホテルへの宿泊を余儀なくされた場合、その宿泊代を含めた賠償を求めるには難しいと言われています。

なぜなら、水漏れ事故との直接的な因果関係を、加害者側に証明する必要があるからです。

このように、住人同士の賠償交渉にはトラブルが伴いやすく、場合によっては賠償に応じてもらえないことで、トラブルが泥沼化するケースもあります。

水漏れ事故の責任がその住人にあっても、必ずしも確実な賠償を受けられるわけではないということを覚えておきましょう。

火災保険では水漏れ補償も忘れずに!

これまでに、マンションの水漏れ事故における賠償責任についてお話してきました。

水漏れ発生個所が共用部分である場合は、比較的賠償を受けられやすい一方で、階上住人などの専有部分である場合は、満足のいく賠償を受けられないケースもあることが分かりました。

マンションなどの集合住宅では、水漏れ事故はしばしば発生しており、マンション管理組合として、水漏れに対する賠償責任保険の補償の付帯が重視されているものの、加入率は万全とは言えません。

そのため、水漏れ事故の被害者にも加害者にもなり得るマンションでは、できるだけそのような事態をカバーできる「火災保険」に入っておくことが大切です。

火災保険の補償には、具体的には火災、落雷、爆発、水災、盗難、破損、水漏れなどの種類がありますが、必要な補償を選んで組み合わせる場合も、「水漏れ補償」にも忘れないように加入しておきましょう。

水濡れ補償に加入しておくことができれば、被害者、加害者のいずれの立場になった場合でも保険金で対応することができます。

万が一、加害者が賠償に応じてくれない場合も、水濡れ補償があれば安心です。

水漏れ補償はその原因の特定が前提!

前項では、マンションにおける火災保険、水漏れ補償への加入についてお話してきましたが、あらかじめ注意しておきたいこともあります。

それは、水漏れの原因が特定できない場合、保険金を受け取ることができないという点です。

と言うのも、原因が分からず、賠償責任の所在も明らかでなければ、保険会社はその対象となる保険金を支払うことができません。

そのため、水漏れ事故が発生した際は、まずは水漏れ発生個所・原因の速やかな特定が必要になりますが、万が一、原因が特定できない場合は、専門家による原因調査が必要になります。

その際、原因究明の費用をカバーできるのが、火災保険の特約となる「水漏れ原因調査費用補償」です。

例えば、排水管や配管部からの水漏れは、その原因を特定するのが容易ではないため、それに伴う費用も発生します。

そんな時に「水漏れ原因調査費用補償」があれば、費用を気にすることなく原因の特定をすることができます。

気になる方は、ぜひ保険内容を見直してみてください。

水漏れ事故はいつでも起こり得る

マンションの水漏れ事故は、その発生個所によって賠償責任の所在が変わってきます。

水漏れ事故の被害者はもちろん、加害者になる可能性も否定できないため、ケースごとの想定を一度見直しておくと良いでしょう。

また、火災保険の水漏れ補償にも加入しておくことができれば、より安心して不測の事態に備えることができますね。