マンションの水回りトラブルを回避!排水管の構造を知ろう

マンションは階下の部屋や隣の部屋が近い分、水回りのトラブルが起こると、被害が拡大しやすい傾向があります。

そのため、水まわりのトラブルを防ぐために、マンションの排水管の構造がどうなっているのか、あらかじめ知っておくことが重要です。

そこで今回は、マンションの排水管について、構造や詰まりの原因などについて、くわしくお話ししていきましょう。

種類により通る排水管が違う!マンションにおける排水の排出構造

まず、マンションの排水を排出する構造についてお話ししていきましょう。

私たちが使用した水は、排水として、排水管を伝って下水道へと流れることとなります。

この時、排水の種類によって、排出の仕方が異なります。

排水は、キッチン・洗面所・浴槽などからの「雑排水(ざっぱいすい)」、トイレからの「汚水(おすい)」、ベランダや屋上から流れてくる「雨水(うすい)」の3つに分けることができます。

雨水のように、自然界で発生する排水に関しては、専用の排水管を使って排出されることとなります。

また、雑排水と汚水に関しては、マンションによって排出の仕方が異なります。

マンションの排水管には「合流式」と「分流式」があり、雑排水と汚水をまとめて排出する排水管を合流式と呼びます。

一方の雑排水と汚水を別の排水管でそれぞれ排出する方法が分流式です。

なお、これとは別に、排水トラブルの多いキッチンの排水管だけを別に設置するマンションも存在します。

これらの排水はすべて、敷地排水管を通って、下水道へと流れつくことになります。

マンション敷地内に浄化槽がある場合は、そこを経由してから排水路へと流れることとなります。

排水管の構造に重要!排水トラップとは?

ここでは、マンションの排水管の構造に欠かせない、「排水トラップ」について見ていきましょう。

排水トラップとは、排水管の途中に必ずついているもので、下水からの悪臭や、害虫の部屋への侵入を防ぐ重要な部分になります。

洗面台やキッチンのシンクの排水管を正面から見ると、くるっとまわった形になっているのが確認できるはずです。

その部分が排水トラップで、まわっている部分には水が溜まっています。

この溜まった水を「封水」と呼び、経路に水で蓋をして塞いでくれているのです。

排水トラップは、キッチンや浴槽などの場所により形が異なります。

洗面所には、Sの形をした「Sトラップ」や、Pの形をした「Pトラップ」、浴槽やキッチンなどは「椀トラップ」や「ドラムトラップ」を採用するのが一般的です。

洗面所のSトラップの場合、排水は下へ向かって排出される構造となりますが、Pトラップに関しては排水は横の壁方向へ向かって排出されます。

これはマンションの部屋によって異なるようです。

いずれの排水トラップも、長期間家を空ける際は、封水切れにならないように注意が必要です。

通気設備はマンションの排水管の構造に欠かせない!

マンション内での排水は、排水管を伝って下水へと流れていく構造となりますが、排水管には「通気設備」も欠かせない重要な部分です。

この時の通気設備とは「通気管」のことを指し、排水管の上部に設置されているものになります。

通気管があることで、排水管の内部の気圧をコントロールして、排水が排出される流れをスムーズにすることができます。

イメージとしては、水の入ったストローの上部を、指で塞ぐと、水は下へと流れ出ませんよね。

ここで指を離すと、空気が抜け、水は一気に下に流れ落ちます。

このように、配管内の空気を通気管で開放することで、排水が排出される流れをスムーズにすることができるのです。

マンションの通気管は、「伸頂通気方式」および「特殊継手システム」が採用されています。

伸頂通気方式とは、排水管の大きさを特に変えずにそのまま上に延長して伸ばしたものです。

この部分から、配管内に溜まった空気を排出することができるのです。

また、特殊継手システムという継手を排水管に取り付けることで、よりスムーズに排水の排出を行うことができます。

排水管にダメージ!行ってはいけないこと

マンションの排水管の構造には、排水トラップや通気設備が欠かせないということがわかりました。

ここでは、排水管を長く使うため、普段の生活で注意すべきことをまとめました。

●排水管に油を流さない

キッチンの排水管を詰まらせる原因の中で、最も多いと言われているのが排水管に油を流す行為です。

キッチンのシンクに油を直接流す人はいないでしょうが、フライパンや食器に付着した油汚れも、配管にこびりついて固まってしまいます。

油はなるべくふき取ってから、シンクで洗うように心掛けてください。

●トイレでティッシュペーパーを使わない

トイレットペーパーが不足したからといって、トイレでティッシュペーパーを使い、それを流すことは避けましょう。

トイレットペーパーは水に溶けやすいですが、ティッシュペーパーは水に強い造りをしているので、排水管が詰まる原因となります。

●髪の毛を排水管に流さない

洗面台に落ちた髪の毛を、排水管に流してしまう人もいるでしょう。

しかし、洗面所の排水管のつまりの原因は髪の毛が最も多く、この髪の毛に石鹸カスなどが付着すると、雑菌の繁殖に繋がります。

雑菌は臭いのもとにもなりますので、注意が必要です。

マンションの排水管は定期的に洗浄した方が良いの?

よく、マンションの水回りのトラブルとして、排水管の詰まりがあげられます。

排水管が詰まる原因は先述の油汚れや髪の毛、または食べ物のカスや細かいゴミなどです。

これらは、排水管の構造上すべてを排出することは難しく、蓄積していくことも考えられます。

そのため、これらを取り除くためには、「排水管の洗浄」をすることをおすすめします。

トイレからの汚水に関しては、排水管の口径が太いため、洗浄をする必要はほとんどありません。

しかし、キッチン・洗面所・浴槽などからの雑排水が通る排水管に関しては、1年に1回程度は洗浄した方が良いでしょう。

マンションの排水管は、給水設備などとは異なり、定期的な法的点検は存在しません。

そのため、排水管の詰まりを起こす前に、自分で行動に移すことが大事なのです。

マンションの排水管の洗浄方法

マンション排水管は、構造上、素人が掃除をするのは難しいでしょう。

市販の排水洗浄薬剤を使っても良いですが、詰まりを完全に取り除くのは難しいです。

そこで、確実に配管をきれいにできる専門の業者に依頼しましょう。

実際に、どのように排水管を洗浄していくのか、以下でご紹介していきます。

まず、マンションの排水管の洗浄は、「高圧洗浄ポンプを積んだ特殊車両」が行っていきます。

基本的に、1階から2階、3階へと、下から上へと上がりながら順番に高圧水をあてて汚れを落としていきます。

これには、上流から先に進めていくと、万が一下流で詰まりがあった場合、大変なことになってしまうためです。

また、業者に排水管の洗浄を依頼する上で注意することは、管理会社や近所の住人に、排水管の洗浄する旨を知らせておくことです。

住民と共用の横引き管や縦管も洗浄することとなりますから、忘れずに声を掛けておいてください。

マンションの排水管は定期的に洗浄しよう

マンションにおいて、排水管が詰まりを起こしてしまうことは少なくありません。

その時は、市販の排水洗浄薬剤を使うのも良いですが、専門の業者に排水管洗浄を依頼することをおすすめします。

また、そうならないためにも、排水管の構造をよく知り、油や髪の毛を排水と一緒に排出することを控え、排水管にダメージを与えないように心掛けることが大事です。