アパートやマンションなどの賃貸物件へ入居の際、敷金なしという物件以外は敷金の支払いをしていますよね。
敷金は、部屋を退去するときに行う原状回復にかかる費用を、入居時に事前に支払うという名目のものです。
ですから、退去時には原状回復にかかった費用が差し引かれた金額が戻ってきます。
しかし、その敷金が精算されるのは具体的にいつなのでしょうか。
ここでは、賃貸物件退去時の疑問を解決していきます。
賃貸物件退去の際の注意点!いつ連絡するかで損するかも!?
アパートやマンションなどの賃貸物件を退去することが決まったら、大家さんや管理会社に事前に連絡をしなくてはなりません。
この「事前に」というのは、具体的にいつぐらいのことなのでしょうか。
一般的な賃貸借契約では、「解約する月の前月末までに通達が必要」などと決められています。
ですから、大家さんや管理会社への連絡が遅れ、退去したい月に連絡を行うと、家賃一ヶ月分を支払うことになりますので注意が必要です。
また、大家さんや管理会社へ連絡する際は、できるだけ書面で伝えるようにしましょう。
電話連絡が手っ取り早いのですが、「そんな話は聞いていない」といったトラブルに発展する恐れがあるためです。
さらに、月途中で退去したい場合の家賃ですが、日割り計算してもらえないこともあります。
実は、退去時の家賃の日割り計算については地域で対応が異なります。
引っ越しの際はただでさえお金がかかりますから、日割り計算してもらえるかどうか管理会社などに聞いてみるようにしましょう。
退去日が決定したら、その後には退去立ち会いが行われ、その結果で敷金の精算額が決定します。
次の項では、退去立ち会いについてお話をしていきます。
敷金の精算額がいくらなのかは退去立ち会いの結果次第
退去日が決定したら、大家さんや管理会社とともに退去立ち会いが行われます。
このとき、部屋にある家具・家電、その他荷物など、すべてが搬出された状態で行います。
退去立ち会いとは、物件の中を見て貸主・借主が修繕しなくてはならない箇所を双方で確認するというものです。
床などに傷が見つかることも多いですが、その傷が自分の入居前からあったものなのか、それとも自分でつけてしまったのか、この立ち会いではっきりさせる必要があります。
もしも、自分でつけた傷ではない場合は、立ち会いの場でしっかりと主張するようにしましょう。
この修繕箇所の費用がどれぐらいかかるかによって、のちに受け取る敷金の精算額が変わります。
そして、すべてのチェックが終わったらそこで鍵を返却するという流れになります。
もしも、合鍵を作っていた場合はそれも一緒にお渡しするようにしましょう。
ここで疑問ですが、いつぐらいに敷金の精算金が受け取れるのでしょうか。
また、修繕費用はだいたいいくらぐらいかかるのでしょうか。
次の項より順を追ってみてまいりましょう。
敷金精算額はどれぐらい?
賃貸物件では、「原状回復」が基本の考え方となっています。
原状回復とは、経年劣化のもの以外の故意・過失によって傷や汚れをつけてしまった部分を元通りにするということです。
ですから、万が一自分でつけてしまった傷などがある場合は、その部分の修繕が必要になります。
敷金精算の考え方としては、「経年劣化による修繕は貸主負担、故意・過失によって傷や汚れをつけてしまった部分は借主負担、ハウスクリーニングの特約が契約上ある場合はその費用を差し引く」ということになります。
ただし、ここで案外知られていないことが「入居年数が長いほど借主負担額は減る」というものです。
どんな部屋でも、いつまでも新築のままではありません。
時間の経過とともに、壁紙をはじめ、給湯器などの設備類もその価値は減っていきます。
ですから、貸主負担の考え方として「経年劣化」だけではなく「減価償却」の観点からも考える必要があるのです。
修繕費用っていくらかかるの?
退去立ち会いのもと、修繕箇所についてお互い納得したとしても、実際に修繕費用にいくらぐらいかかるかわからないものですよね。
そこで、借主の故意・過失でクロス貼り替えが必要になったケースを例にしてご説明いたします。
借主の故意・過失でクロスが貼り替えになったとしても、クロスはいつまでも新品ではなく経年劣化しますから、その分減価償却されます。
ですから、退去時点で残るクロスの価値の部分のみの修繕費用が借主負担となると考えられます。
例えば、居住年数が3年、クロス貼り替えの費用が40,000円とします。
ちなみに、クロスの耐用年数は6年となっています。
クロス貼り替えの修繕費用の借主負担額の計算式は以下の通りです。
修繕費用×(1-(居住年数)÷(クロスの耐用年数))=借主負担額
居住年数とクロスの耐用年数は「月数」で計算します。
これに数字を当てはめると、
40,000円×(1-36÷72)=20,000円
つまり、20,000円が借主負担となるのです。
この場合、敷金から20,000円が引かれて精算されることになります。
いつまでも新築・新品ではない!設備等の耐用年数はどれぐらい?
最終的な敷金の精算受け取り金額は、物件の設備の耐用年数によっても変わってきます。
ただし、設備の中には耐用年数を考慮しないものもあります。
そこで、設備の耐用年数についてまとめてみました。
・カーペット、クッションフロア:6年
・衛生設備、ガス設備、給排水設備:15年
・電気設備:蓄電池電源設備に関しては6年、その他は15年
・畳:耐用年数は考慮しない
・フローリング:耐用年数は考慮しない
・襖:耐用年数は考慮しない
・柱:耐用年数は考慮しない
また、それぞれの設備を修繕する際は、地域によって費用の相場が異なります。
修繕費用に疑問を持たれた場合は、お住まいの地域の相場について調べてみるようにしましょう。
最終的な精算額が判明したら、敷金の精算金が受け取れます。
その敷金の精算金はいつぐらいに受け取れるのでしょうか。
敷金の精算金はいつ受け取れる?
それでは、経年劣化や減価償却分を除いて、借主の故意・過失による修繕費用とハウスクリーニング特約がある場合の費用を差し引いた敷金の精算金はいつ受け取れるのでしょうか。
実は、それぞれの賃貸借契約書の内容で敷金の精算金が受け取れる時期が異なるのです。
「敷金の精算金はいついつまでに支払うべき」と法律で定められているわけではありません。
ですから、それぞれの賃貸借契約書で時期が違うのです。
一般的には、
・退去から一ヶ月以内に精算し、返金
・退去から一ヶ月以内に精算金額を通知、二ヶ月以内に返金
というケースが多いです。
しかし、賃貸借契約書に敷金の精算時期について明記がない場合があります。
このケースだと「いつまでも敷金は返ってこないのではないか」と心配になりますが、敷金はあくまでも「預り金」ですから修繕費用でマイナスにならない限り返金されるべきものです。
賃貸借契約書に明記されていなくても、基本的には約一ヶ月~二ヶ月以内に返金されるのが目安として考えてくださいね。
敷金の精算金受け取りは退去後一ヶ月~二ヶ月以内!
ここでは、賃貸物件を退去する際の疑問について解説してきました。
退去することが決まったら、すみやかに大家さんや管理会社に報告が必要になります。
場合によっては、余計に一ヶ月分の家賃の支払いを求められることがあるので注意しましょう。
また、退去時立ち会いが行われ敷金の精算が済んだら、賃貸借契約書の内容でも異なりますが、だいたい一ヶ月~二ヶ月以内に精算金を受け取ることができます。
もしも、賃貸借契約書にその旨の記載がなくても、敷金の精算金は受け取るべきものですから心配しないようにしてくださいね。