皆さんは、家の増築をした際にも、登記が必要になるということをご存知でしょうか?
知らずにいたという人も多いのではないでしょうか。
また、「やり方によっては、増築しても登記が不要なケースがある」という噂も聞きますが、それが本当なのか気になるところですよね。
今回は、家の増築で必要になる登記について、詳しくお伝えしていきます。
「家を増築したい」と考えている人は、ぜひ読んでみてください。
家を増築したら基本は「建物表題変更登記」が必要!
今回は、家の増築後に必要となる登記や、それが不要になるケースにはどのようなものがあるのかをお伝えしていきます。
まずは、一般的な増築をした場合の登記手続きを見ていきましょう。
例えば、「自分が今住んでいる家が手狭になり、その増築をした」場合、家の登記はどうするべきなのでしょうか。
通常、法律に従っていれば、家を建てたときに、家の登記がされているはずです。
そして、登記されているということは、「家の情報が登記簿に書かれている」ということです。
そのため、もしもその内容に変更があった場合には、変更の申請をしなければなりません。
これを、「建物表題変更登記」と言います。
通常、家の所有者が、変更から1年以内に建物表題変更登記の申請を行わなければなりません。
登記簿には、所在地や家屋番号だけでなく、家の構造や床面積も明記されているので、それらに変更があった際には、変更の手続きをすることが法律によって定められているのです。
そしてこれは、家を増築した時以外にも適用されます。
例えば、
・家の一部分を取り壊した
・車庫や物置を建てた
といった場合にも、この「建物表題変更登記」が必要になるのです。
家の増築で行う変更登記に必要な書類
では、家の増築で必要とされる建物表題変更登記をするには、どんな書類が必要なのでしょうか。
ここでは、それを確認しておきましょう。
建物表題変更登記に必要な書類は、
・建物表題変更登記の申請書
・所有権証明書
・図面
・委任状
などです。
そして、所有権証明書には、
・建築確認通知書
・検査済証
・工事完了引渡証明書
などがあります。
また、建物表題変更登記をする際に必要となる図面は、
・建物平面図
・各階平面図
などです。
しかし、実際の登記の変更手続きで何を用意すべきかは、増築の仕方によって異なります。
例えば、委任状は、状況によっては不要なこともあるでしょう。
そのため、建物表題変更登記をする際には、土地家屋調査士などの専門家に相談し、よく確認することが重要です。
家の増築ではどんな流れで建物表題変更登記をするの?
次に、家の増築で必要となる建物表題変更登記の流れをお伝えしましょう。
以下のような流れで行われます。
1.法務局の閲覧調査
2.建物の現地調査
3.登記申請書類や図面の作成
4.建物表題変更登記の申請
このことからも分かるように、家の増築をした場合には、現地調査で増築部分の大きさを調べる必要があります。
そうなると、やはり土地家屋調査士などに依頼するのが一般的です。
費用を節約するために自分で調査する人であれば、こうした費用は不要ですが、大抵の人は専門家に依頼するので、その費用が10万円程度はかかります。
もちろん、増築した部分の大きさにもよるので一概には言えませんが、建物表題変更登記をする際には、「新築時と同じくらいの登記費用がかかる」と考えておいたほうが良いでしょう。
家を増築しても登記が不要なケースもある!
しかし、家の増築をしても、「建物表題変更登記が不要」というケースもあります。
それが、10m²未満の小さな範囲で、家を増築した場合です。
この場合は、防火地域などに指定されていない限り、建物表題変更登記は行なう必要がありません。
そのため、表題変更登記をする際にかかる費用を抑えるという目的で、登記が不要な範囲内に抑えて家を増築する人がいるのも事実です。
そして、登記が不要ということは、「建築確認申請も不要」ということになります。
しかし、登記や建築確認申請が不要でも、家の耐震基準などは、現在の法律(建築基準法)に合わせておかなければなりません。
それに合っていない建物は、法律違反をしていることになるからです。
しかし、業者の中には、「確認が不要だから、法律に少しくらい違反しても分からない」と考え、耐震基準を満たさない増築をする場合があります。
そのため、心配なようなら、専門家に調査を依頼し、耐震性があるかどうかを調べてもらうのがおすすめです。
元々登記がされていない場合は建物表題変更登記は不要!
また、登記が元々されていない家を増築する場合も、建物表題変更登記は不要となります。
なぜなら、建物表題変更登記をするためには、家の登記がされていることが大前提だからです。
しかし、登記自体がされていない家も、実際には存在します。
そういった家は「未登記建物」なので、表題変更の登記をしたくてもできません。
つまり、変更登記のやりようがないので、「建物表題変更登記は不要」ということになっているのです。
とはいえ、「登記がされていないから、増築分の変更登記をしなくて良い」と喜んでもいられません。
家の登記は、それが誰のものなのかを示す、重要なものです。
きちんと登記がされているかどうかが、家の価値にも関係してきます。
そのため、本来してあるべき家の登記がされていないと、その家が誰のものかを証明するときに問題が出てきます。
しかし、未登記の家を表題登記するには、かなりの時間と労力がかかります。
登記自体は、所有者であれば行うことができますが、家の所有権を証明する様々な書類を用意しないといけないからです。
例えば、
・納税証明書
・火災保険の保険証
などの書類が必要ですが、他には、家を建てたときに受け取った書類も含まれます。
しかし、建てたときの書類が手元にないこともあるでしょう。
その場合には、専門家に実地調査を依頼して慎重に登記することになるので、1ヶ月近く時間がかかり、費用も10万円はかかります。
それでも、建物表題変更登記が必要な規模の増築工事をしたときに、家の登記がされていないことが分かったら、そのままにせずに表題登記をすることをおすすめします。
増築分も含めて、自分の家であることをきちんと登記しておいたほうが良いでしょう。
変更の登記は不要でも固定資産税には増築分も反映される!
ここまで、家を増築した際に必要となる建物表題変更登記がどんなものかということを、お伝えしてきました。
増築したら基本的には建物表題変更登記が必要ですが、10m²未満の増築の場合にはその登記が不要だということも分かりましたね。
しかし、建物表題変更登記が不要なケースについては、ひとつ注意しなければならないことがあります。
それが、税金の徴収です。
建物にかかる税金と言えば「固定資産税」ですが、これは増築した分の登記をしていなくても、しっかり課税されます。
なぜなら、固定資産税は自治体にとって大事な税収だからです。
そのため、登記の有無は関係なく、役所の税務課が一軒一軒見て回り、課税するのです。
つい、「増築した分の登記がなければ、その分の固定資産税はかからないのではないか」と自分に都合良く考えてしまいがちですが、家を増築すれば、その分の税金は支払わなければなりません。
増築する際には、登記の有無と固定資産税は別ということを、しっかり心得ておきましょう。
家の増築をするなら、登記や税金について知っておこう!
今回は、家の増築後に行う登記についてお伝えしました。
増築すれば基本は登記が必要ですが、場合によっては不要となるケースもあります。
しかし、登記や確認申請が不要だからと言って、建築基準法に違反して良いというわけではありません。
また、増築分の固定資産税も、きちんと支払う必要があります。
家の増築をする際には、登記だけでなく、そうしたことも念頭に置いておきましょう。