賃貸物件の床にできたへこみ!原状回復をめぐるトラブルとは

賃貸物件に長く住んでいると、生活している中で床を傷つけてしまうことはよくあります。

例えば、模様替えによる家具の移動や、物を落としたことによって床にへこみができてしまうことがあり、退去の際には原状回復をめぐってトラブルになることがあります。

しかし、2017年に成立した民法改正により、賃貸の原状回復の定義が明確化されることになりました。

この記事では、床のへこみや傷など、賃貸に関わる原状回復や敷金について詳しくご説明していきます。

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賃貸の床に生じたへこみや傷のトラブルに終止符が!

先述した通り、賃貸物件に生じた床のへこみを始めとする傷は、退去の際に原状回復をめぐるトラブル発生の原因に繋がります。

例えば、原状回復の負担範囲に納得がいかなかったり、原状回復にかかった費用が高額で、敷金が全く返還されなかったりなど、退去後のトラブルはよく見られていました。

しかし、2017年に成立した「契約や金銭の支払いに関するルールを定めた民法の規定を見直す改正法案」によって、原状回復をめぐるトラブルに終止符が打たれようとしています。

この民法改正は、これまで曖昧だった「敷金」と「原状回復」のルールを明確化するもので、2020年4月1日が施行日となっています。

つまり、賃貸に関わる原状回復や敷金においては、悪質な貸主による不当な請求はできなくなるため、借主にとってはより安心した退去ができるようになります。

では、この民法改正によって、具体的にどのようなことが見直されたのでしょうか。

次項で詳しく見ていきましょう。

賃貸における敷金と原状回復の明文化!民法改正による見直し

まず、この民法改正で具体的に見直されたのは、「敷金」と「原状回復」に対する定義の明確化です。

「敷金」は、賃貸契約する際に担保として貸主に預けるもので、「保証金」とも呼ばれています。

原則として、国土交通省による「原状回復のガイドライン」に基づき、退去時に発生する原状回復費用を敷金から差し引き、残った分は返還することになっていました。

しかしながら、法律による明確な規定はされていませんでした。

そのため、敷金の解釈は曖昧になり、全額を原状回復に回してしまう貸主も存在し、敷金の返還でトラブルになることが多く見られました。

つまり、この民法改正によって、「敷金の返還義務」が法律で明文化されることになるため、借主には必ず敷金が返還されることになります。

また、床のへこみや傷など、これまで法律で明確化されていなかった原状回復の詳しい負担範囲についても、定義が明確化されることになりました。

明確化される原状回復の負担範囲!退去費用の不当な請求も違法に!

賃貸における原状回復の負担範囲については、もともとは国土交通省の「原状回復のガイドライン」によって定義されていました。

具体的には、通常の居住、使い方で発生する不可抗力による消耗は、借主が負担する原状回復の対象とはしていませんでした。

つまり、経年劣化はもちろん、人が生活する上で自然に生じてしまう自然消耗においては、借主の負担にはならず、借主による故意・過失といった、通常の使用では生じえない消耗や傷が、借主の負担対象となるのです。

しかし、この原状回復のガイドラインには法的拘束力がないため、貸主に対して守る義務はありませんでした。

そのため、通常の使用による床のへこみや傷など、自然消耗の部分まで原状回復の負担とする悪質な不動産会社も存在し、敷金の返還どころか、それ以上の高額な退去費用を請求するケースも実際にあったのです。

民法改正が施行されれば、今後はそのような不当な請求はできなくなるでしょう。

では、さらに細かい原状回復の負担範囲について、次項で詳しく見ていきましょう。

床のへこみや傷の原状回復!貸主の負担範囲

賃貸に生じた床のへこみなどの原状回復の負担範囲については、国土交通省の「原状回復のガイドライン」に基づいて、民法改正で見直されています。

では、実際どのような傷やへこみが借主・貸主の負担に振り分けられるのでしょうか。

まずは、貸主の負担範囲について見ていきましょう。

・家具の設置による床のへこみ、跡

・日光による床の変色、色落ち

・電化製品設置による黒ずみ

・画鋲による壁の穴

・エアコンや給湯器などの故障

・自然災害によって生じた傷、破損

以上は一例になりますが、これらは日常生活においては避けられず、通常の使用の範囲内と考えられます。

また、賃貸の付属設備であるエアコンや給湯器は、貸主の管理範囲と言えるので、過失による故障でない限りは借主の負担にはなりません。

そのため、エアコンや給湯器が故障した場合は、貸主への速やかな連絡が望まれます。

床のへこみや傷の原状回復!借主の負担範囲

では次に、賃貸で生活している中で生じた傷やへこみについて、借主が負担する場合を見ていきましょう。

・引っ越しの際にできた床の傷やへこみ

・飲みこぼしなどによるシミ

・手入れ不足によるサビ・カビ汚れ

・キッチンの油汚れ

・ペットのひっかき傷、臭い

・タバコのヤニ、臭い

・エアコンの水漏れ放置による壁の腐食

以上の原状回復は、ほとんどの場合が借主の負担範囲となります。

借主の落ち度による傷やへこみはもちろん、普段のメンテナンス不足によって染み付いた汚れも該当します。

また、部屋に染み付いたペットの尿・タバコの臭いも、借主に対して原状回復の負担義務が発生します。

部屋の臭いは、次の入居者にとっては特に敏感になる部分でもあるため、専門のクリーニングが行われます。

そのため、原状回復にかかる費用も高額になる場合があるので、注意が必要です。

さらに注意したいのが、エアコンの水漏れ放置による壁の腐食です。

前述したように、賃貸の付属設備の故障は、経年劣化であれば貸主の負担範囲になります。

しかし、水漏れがエアコンの故障によるものと知りながら放置した場合、それに伴って生じた壁の腐食は、借主の負担する範囲となるので注意が必要です。

定期的なお手入れで賃貸をきれいに保とう

これまでに、賃貸に生じた傷やへこみについて、原状回復の負担範囲をそれぞれ見てきました。

民法改正で、「敷金、原状回復のルール」「原状回復の負担範囲」について明確化されるため、よりきれいに賃貸を利用することで、しっかりと敷金が返還されることになります。

そのため、普段生活する上では、汚れやすい床や壁のメンテナンスを定期的に行い、できるだけ清潔に保つことが重要になります。

また、入居時・退去時に床のへこみや壁の傷など、各部位ごとの痛み状態などをチェックリスト化しておくこともおすすめです。

チェックリストの作成には時間がかかりますが、貸主とともにしっかり確認することで、原状回復をめぐるトラブルを回避することに繋がります。

加えて、入居時に傷やへこみを発見したら、証拠資料として写真に残しておくのも良いでしょう。

あらかじめ貸主に知らせておくことで、余計な原状回復費用を発生させることなく、トラブル防止として役立てることができます。

修繕の負担範囲を頭に入れておこう

これまでは、賃貸に関わる原状回復や敷金の定義が不明瞭だったため、退去の際に原状回復をめぐったトラブルになることが多くありました。

しかし、民法改正によって、原状回復や敷金の定義、ルール、そして原状回復の負担範囲が明確化されるため、退去時のトラブルは少なくなるでしょう。

今後賃貸で暮らす予定がある方は、この民法改正の内容をしっかりと理解して、自分の負担範囲となることを頭に入れておきましょう。