日本は地震大国と言われています。
地震により、壁が崩れ、天井が落ち、家が倒壊してしまう映像を見たことがある方も多いでしょう。
地震が起きたとき、天井が落ちてきたら怖いですよね。
通常、天井の構造は、仕上げ材で覆われていることが多いので、どのようになっているのかわかりません。
今回は天井下地の組み方を知り、よりしっかりとした家造りの参考にしていただければと思います。
天井下地の組み方は人命に関わる!?
2011年3月に起きた東日本大震災では、多くの天井に関する被害がありました。
なかでも、吊り天井そのものの落下も多く、広い地域で天井落下による被害者が出てしまったのです。
この教訓を受け、日本建築学会が「特別調査委員会」を設置し、天井やそれに付随する照明器具の落下防止のガイドラインを作成しました。
大型の公共施設などには、このように細かい規制が行われていますが、一般の住宅ではどのようになっているのでしょうか。
建築基準法で決められた基準はありますが、残念ながら地震対策に特化しているとは言えないようです。
2011年以降、「地震に強い住宅」の需要が増えました。
「地震に強い住宅」には、地震に耐えられるよう壁や柱を強くした「耐震住宅」、地震の揺れに耐える構造の「免震住宅」、地震の揺れを吸収する「制震住宅」の3つがあります。
しかし、一般住宅の天井については、目立った対策はされていません。
それでは、一般住宅の天井下地の組み方がどのようになされているのか、見ていきましょう。
一般的な「吊り天井」の下地の組み方について
「吊り天井」とは、木造在来軸組工法(もくぞうじくぐみこうほう)の一般的な住宅などで使われる天井のことです。
木造在来軸組工法とは、日本で古くから行われてきた伝統工法をより簡略にし、発展させたもので、「在来工法」と言われます。
この工法は、フレームをはめ込んで造るツーバイフォー工法のようなキットハウス、木造枠組壁構法(もくぞうわくぐみかべこうほう)と違い、柱や梁などの軸組で建物を支える組み方です。
吊り天井の下地を組む手順としては、まず吊り天井を施工し、壁を仕上げ、最後に床を張ります。
この手順で行うと壁や床を傷つけにくいからです。
天井の下地は、まず、梁から「吊木(つりぎ)」で「野縁受け(のぶちうけ)」を吊ります。
ちなみに吊り天井の名前の由来になっているのが、この吊木です。
このとき、吊木と野縁受けが、クロスするようにして吊っていきます。
野縁受けが吊り終わったら、「野縁」を梁の下に来るようにして固定し、この野縁に石膏ボードを打ち付ければ、天井下地が出来上がります。
最後に仕上げ材としてクロスなどを張れば、天井の完成です。
天井下地の組み方と石膏ボードの取り付け
前述した天井下地の組み方をもう少し詳しく見ていきましょう。
ご紹介した野縁と野縁受けがクロスするような組み方の基準は、まず、野縁受けを910mm未満の間隔で取り付けます。
次に野縁を、910mmの半分、455mm未満の間隔で取り付けます。
天井に張る石膏ボードのサイズは、通常910mm×1820mmを使用するため、野縁の間隔は石膏ボードに合わせた間隔になるのです。
しっかり吊られた野縁に石膏ボードをビスで留めていきます。
石膏ボードは切断がしやすく、安価なため、天井や壁によく使われていますが、力が加わるともろいので、石膏ボードの上に人が直接乗ると、簡単に割れてしまいます。
この石膏ボードですが、無機質で炭素を含んでいないことから、燃えません。
そのため、防火対策としては優秀な素材です。
また、石膏には水分が含まれているので、火災が起きたときには水蒸気が発生し、奥にある野縁に熱が伝わるのを防ぐことになります。
野縁に熱が伝わらず、柱や梁が燃えることを防ぐことから、石膏ボードは防火素材として法律でも認められています。
天井下地の組み方「LGS」とは?
これまで、木造建築の天井下地の組み方についてご紹介してきました。
次にご紹介するのは、LGSです。
LGSとはライトゲージスチール=軽量鉄骨のことで、軽鉄(けいてつ)や軽天(けいてん)と呼ばれることもあります。
LGSは厚みが0.5mmと薄く、とても軽いので施工しやすいと言われています。
そのため、これまではマンションやビル、店舗などの壁や天井ででよく使われていました。
今では、木造一戸建ての一般住宅以外ほとんどの建物で、このLGSが使われるようになっています。
最近では軽くて施工しやすいことに加え、火や湿気に強いことから、広く普及し、一般住宅でも使われるようになりました。
木造は乾燥や経年劣化で、素材そのものが反ったり、割れてしまうなど、変化してしまうという欠点があります。
しかし、LGSはそういった変化がほとんどないので、下地に使っても、仕上げ材にヒビが入るなどのトラブルがありません。
LGSの天井下地の組み方
それでは、LGSの天井下地の組み方を見てみましょう。
基本的には、吊り天井と同じような組み方になります。
マンションやビルなどの場合は、コンクリートの天井にあるアンカーに吊りボルトを入れて、吊り金具を取り付けます。
そこにLGSでできた野縁を吊って行き、石膏ボードを固定して天井下地が出来上がります。
天井がコンクリートでない場合には、LGS専用の天井下地材を使います。
このとき基本的には、シングル野縁は19形(25×19×0.5mm)、石膏ボードを取り付けるダブル野縁も同じく19形(50×19×0.5mm)を使い、野縁受けハンガーは厚さ2.0mm以上のものを用います。
野縁受けも19形(38×12×1.2mm)のものを使い、野縁受けハンガーを取り付けて、厚さ0.6mm以上の専用クリップで留めて行きます。
このとき、クリップについているツメが交互になるようにし、ツメは確実に野縁受けの溝に入るように折り曲げるのですが、これができていないと、地震や経年によって天井が落ちてくる可能性があります。
そして、木造の野縁の標準サイズが、1寸×1寸3分(30×40mm)や、1寸2分×1寸3分(36×40mm)ですから、LGSで作るとかなりスペースに差が出ることになります。
天井下地「LGS」のメリットデメリット
このように、天井下地の組み方には、木造とLGSを使う方法があります。
それでは、最後にLGSの天井下地のメリットデメリットをまとめて見てみましょう。
【LGSのメリット】
・LGSは反りや曲がりなど、素材の変化が少なく安定している
・建築素材を専用金具で組み合わせて作って行くので施工しやすい
・とても軽いので搬入や施工が楽
・白アリの被害を受けにくい
・耐火、耐湿素材なので、キッチンや水廻りにも使いやすい
・スペースに余裕ができるので、天井裏に配線が通しやすい
・施工が早いので、木造ほど工事費が掛からない
【LGSのデメリット】
・木材のように素材を削る、重ねるなどの現場での調整がしにくい
・LGSをカットするには、専用の機械で行わなければならない
・LGS専用の職人が必要
・LGSをカットするときに火花が出るので、現場での調整は火の管理が必要
・下地がコンクリートなど正確な素材であれば上手くはまるが、下地がガタガタするような古い木造だと施工精度が下がる可能性がある
天井下地の組み方には木造とLGSのふたつがある
これまで、一般の住宅の天井下地の組み方は木造の吊り天井が主流でした。
しかし、マンションやビルなどに使われていたLGSが普及したことにより、一般住宅でも木造ではなく、LGSが使われることが多くなりました。
LGSは、木造よりも素材の変化が少なく施工しやすいので、工期も短くて済みます。
また、耐火、耐湿素材であるLGSの天井下地は、今後ますます利用されることでしょう。