アパートなどの賃貸物件は個人で賃貸借契約を結ぶこともあれば、法人契約されることもありますね。
個人が居住用として賃貸物件を借りる場合は家賃に消費税が課税されることはないですが、法人の場合はどうなのでしょうか。
この記事ではアパートなどの賃貸物件を、法人が契約した場合についてのお話を中心にしていきます。
法人契約とは
アパートなどの賃貸物件に、新生活を送るために入居した方も多くいるかと思います。
この場合は個人で賃貸借契約を結ぶことが多いでしょうが、中には法人契約を結んでいる場合もあるでしょう。
ではこの法人契約が何なのかというと、会社が契約者となって、アパートの賃貸借契約などを結ぶことをいいます。
賃貸物件を法人契約する場合は大きく2通り挙げられます。
まず1つめは、会社が福利厚生として、社員が住むアパートなどの家賃補助をする場合です。
このとき契約するのは会社ですが、住むのはその会社の社員となります。
よく社宅のある会社もありますが、社宅もこの場合と同様といえます。
2つめは、事業のオーナーが自宅兼事務所として借りる場合です。
このとき法人名で賃貸借契約を結べば、法人契約となります。
今まで賃貸物件で生活をしたことがある方でしたらご存知かもしれませんが、居住用としてアパートなどを借りる場合、毎月の家賃に消費税は課税されません。
なぜ課税されないかは次の項でお話しします。
居住用で賃貸物件を借りる場合!なぜ家賃に消費税はかからない?
居住用として賃貸物件を借りる場合、毎月支払う家賃に消費税は課税されません。
なぜ課税されないかというと、平成3年の社会政策の一環として非課税になったからです。
それまでは居住用としての家賃にも消費税は課税されていました。
しかしこの平成3年の政策で、消費の性質になじまないものや社会政策的に配慮するものには非課税とすることになったのです。
その非課税となったもののひとつが、居住用の家賃というわけです。
ただし、居住用として賃貸物件を借りていても貸付期間が1か月未満である等の場合は、家賃に消費税が課税されます。
また、居住用ではなく法人などが事業用としてアパートなどを借りる場合も、毎月の家賃に消費税がかかります。
これについては、次の項でくわしくご説明していきます。
事務所や店舗として借りる場合は家賃に消費税が課税
前の項でも触れたように、法人などが事業用としてアパートなどの賃貸物件を借りる場合は、家賃に消費税がかかります。
事業用とは、例えば事務所として使うためにアパートの一室を借りることなどです。
近年では個人経営のネイルサロンやリラクゼーションサロンなどの店舗も増えていますが、こういった店舗として借りる場合も事業用に含みます。
さらに、商品をしまっておく倉庫として借りている場合も同様です。
以上のような事業用として賃貸物件を借りる場合は、家賃に消費税が課税されます。
こういった事業用では法人契約していることが多いですが、なかには法人が居住用として賃貸物件を借りることもあります。
この場合の家賃の消費税はどうなるのでしょうか。
法人契約でも居住用なら家賃に消費税はかからない?
居住用としてアパートなどを借りる場合は毎月の家賃に消費税がかからず、事業用として借りる場合は家賃に消費税がかかるということは、お伝えしてきたとおりです。
ではもし居住用として、法人がアパートなどを賃貸借契約した場合はどうなのでしょうか。
中には、「法人が契約するのだから、事業用として借りることになるだろう」と思う方もいるでしょう。
しかしここで重要なのは、借りる人というよりも「借りる目的」のほうです。
記事の中でもお話ししましたように、社宅など、社員が生活をするために法人がアパートの賃貸借契約を結ぶ場合は、「社員の居住用」が借りる目的となりますよね。
居住用となれば、法人契約であっても家賃に消費税がかかることはありません。
したがって、家賃に消費税が課されないのは、個人・法人といった借りる人は関係なく、借りる目的が居住用であることが重要といえるでしょう。
これについても国税庁のHPに記載がされていますから、確認してみてください。
自宅兼事務所を法人契約している場合の消費税は?
中には自宅兼事務所として使うために、アパートなどを法人契約することもあるでしょう。
ここまでの話の中では、事務所は事業用となるため家賃に消費税が課税、自宅として使う場合は居住用となるので家賃に消費税はかからないとお伝えしてきました。
では両方を使う目的で、賃貸物件を借りた場合はどうなるでしょうか。
これは自宅として使用している面積と、事務所として使用している面積比で、家賃に消費税が課税されるかが区分されます。
そのため、自宅つまり居住用として使っている分は非課税に、そして事務所(事業用)に使用している分の家賃には消費税が課税されることとなります。
もし自宅として使っている面積比と事務所として使っている面積比が6:4の場合であれば、6割分の家賃には消費税がかからず、4割分の家賃には消費税がかかることになるでしょう。
先ほどもお伝えしたように、重要なのは借りる目的ですので、どのような目的かで家賃に消費税がかかるかが変わることを覚えておきましょう。
家賃以外の項目も消費税が課税されるかが分かれる!
個人であっても法人であっても、居住用として賃貸物件を借りる場合は家賃に消費税はかからず、事業用として借りる場合は家賃に消費税が課税されます。
ここまでは家賃についてお伝えしてきましたが、ほかの項目においても消費税がかかるか、かからないかは異なります。
ここでは家賃以外の項目をみていきましょう。
●管理費
こちらも家賃同様、毎月支払う費用です。
管理費に関しても、居住用として借りる場合は消費税は非課税となります。
●敷金
敷金は預り金として入居時に支払い、何も問題がなければ退去時に返却されます。
こういった原則返却されるお金については、居住用でも事業用でも消費税はかかりません。
●礼金
敷金とは違い、「大家さんへの謝礼」の意味合いがある礼金は、事業用の場合は消費税がかかります。
家賃や管理費同様、居住用の場合は非課税です。
●更新料・更新手数料
更新料は、賃貸借契約を更新する場合に大家さんに支払うお金です。
これも家賃などと同様で、居住用の場合であれば消費税がかかることはありません。
しかし更新手数料の場合は異なります。
名前が似ているので、一見更新料との違いがあるのか分かりにくいですが、更新手数料は不動産会社に支払うお金です。
多くの賃貸物件では大家さんと入居者の間に、不動産会社が仲介をしています。
賃貸借契約の更新の際も、不動産会社がその事務手続きを担うので、その費用として更新手数料を支払うわけです。
この場合は居住用でも事業用でも、消費税の課税対象となります。
ただしこの更新料と更新手数料の有無や金額の相場は、地域によって異なります。
そのため、賃貸借契約書にどのように記載されているか確認しておくと良いでしょう。
消費税の課税は個人か法人かは無関係!賃貸物件を借りる目的が重要
個人で借りる場合でも法人で借りる場合でも、賃貸物件を居住用として借りるのであれば、家賃に消費税が課税されることはありません。
重要なのは、賃貸物件を借りる目的です。
事務所や店舗など事業用としてアパートなどの一室を借りる場合は、家賃に消費税がかかります。
管理費なども同様ですので、事業用として借りる場合はこの点を頭に入れておくようにしましょう。