賃貸マンションやアパートに月の途中から入居した時、その月の家賃を日割り計算して支払った方が多いと思います。
貸事務所や店舗の場合も、フリーレントがない場合は契約開始日から月末までの家賃を支払います。
賃貸物件の家賃は入居した時と同様に、月の途中に退去する時も日割り計算をしてもらえるのでしょうか。
あるいは、日割り計算なしで一ヶ月分の家賃が必要になるのでしょうか。
退去時には家賃の日割り計算を行わない場合もある
賃貸物件を解約して月の途中に退去する場合、家賃の日割り計算を行わない物件もあります。
ご自分の借りているマンションやアパートがどうなのかは、契約書を見ればわかります。
契約書には賃料や管理費に関する条文があり、通常は日割りについても記載があります。
恐らく、「一ヶ月に満たない期間の賃料(管理費)は日割りした額とする」のような文言があると思います。
しかし、「契約終了月は日割り計算は行わないものとする」と続いていれば、退去する月の家賃は一ヶ月分を支払うことになります。
契約書通りだと、たとえば、3月1日や3月2日に退去する場合でも一ヶ月分の家賃が必要になります。
これは契約なので仕方がありません。
でも、どうしても引っ越し日が動かせず、一日や数日だけなのに一ヶ月分の家賃がもったいないと思う場合は、管理会社や大家さんに相談してみてください。
一日や数日だけなら大目にみてくれるかもしれません。
特に長くお部屋を借りてくれていた入居者には便宜を図ってくれる可能性があります。
家賃の日割り計算はどのようにして行うのか
退去時に家賃を日割り計算する物件も、もちろんあります。
家賃の日割り計算は物件によって異なります。
契約書によっては日割り計算の具体的なやり方まで書いてあるものもあります。
3月や7月など31日まである月に退去する場合、そのまま家賃を31で除して一日あたりの単価を出し、退去するまでの日数を乗じて日割り計算する契約書もあります。
一方で、一ヶ月を30日と定めて日割り計算する契約書も見受けられます。
この方法だと28日もしくは29日までしかない2月に退去するか、31日まである月に退去するかで若干の損得が発生します。
日数の少ない2月に退去する場合は、少しばかり一日当たりの単価が安くなるので得をしますね。
また、算出された日割り家賃の一円単位あるいは十円単位を切り捨てたり、四捨五入するなど細かい部分にまで言及している契約書もあります。
ご自分で計算する場合は、勝手に計算するのではなく、契約書の計算方法に則って計算し、疑問点が出てきた時は必ず管理会社や大家さんに確認してください。
家賃の半日割りという日割り計算もある
まだあまり一般的ではないかもしれませんが、日割りでも「半日割り」という契約があります。
これは退去する日までの家賃を日割り計算する契約ではありません。
月の途中に退去する場合、1日から15日までの期間に退去するならば家賃は半額を支払い、16日から末日までの期間に退去するなら一ヶ月分を支払うというものです。
一ヶ月を前半と後半に分けて前半に退去するなら、家賃は半分にするいう契約です。
もしも、契約内容を知らずに退去する日を決めてしまうと後悔することになる可能性もあります。
15日と16日が休みで、どちらにするかで迷った場合、一日違いで日割り家賃の額が大きく違ってきます。
何も知らずに16日でスケジュールを組んでしまうと、一ヶ月分の家賃が必要になります。
他にも、「前の週に引っ越しておけば良かった」という結果にもなりかねません。
やはり、退去が決まったら契約書を開いて契約内容を確認の上、事を進めるのがベストな対応ですね。
家賃の日割り計算について契約書に記載がない場合
通常は契約書に家賃の日割り計算に関する記述があります。
しかし、なかには日割り計算に触れていない契約書もないわけではありません。
そんな時は、退去時に家賃を日割り計算してくれるのかを管理会社や大家さんに確認してください。
何も取り決めがない状況で、日割り計算なしに一ヶ月分の家賃が必要と言われたら、一ヶ月分の家賃が必要な根拠を聞いてください。
特に理由なく日割り計算することなしに、一ヶ月分の家賃を請求された場合は契約書に記載がない旨を伝えてください。
契約書に取り決めがないならば、基本的には相談によって日割りするかどうかを決めることになると思います。
もしも、相談に応じることなく一方的に一ヶ月分の家賃を要求される時は、地域の消費者センターや宅建業の監督官庁である国土交通省に相談してみるのも良いかもしれません。
日割りした残りの家賃の多くは退去精算の時に返還される
家賃は前払いになっている契約が多く、たとえば、3月分の家賃は2月に支払います。
自動引き落としで既に3月分家賃を支払っており、退去時に家賃を日割り計算してもらう場合、日割りした残りの家賃は退去精算の際に返還されるケースが多いようです。
退去精算は入居した時に預けていた敷金からクリーニング代あるいは原状回復の費用を差し引いて、残りが返されます。
その際に一緒に入居者の指定した口座に振り込まれます。
通常の場合、退去精算は「敷金精算報告書」のような書式で、精算の明細が発行されます。
その明細を受領したら、返金額に日割りした残りの家賃も含まれているかを確認してください。
なお、言うまでもありませんが、「敷金礼金なし」の物件の場合は敷金精算はありません。
精算する敷金がない時は、日割り計算した残りの家賃のみ振り込まれます。
また、敷金礼金なしの物件でクリーニング代や原状回復の費用請求があれば、その費用と残り家賃を相殺するといったことも出てくる可能性があります。
お部屋の汚損破損が激しく、原状回復工事の費用が多くかかって残りの家賃で相殺しきれない時は、もちろん不足分の請求もありえます。
先に退去してしまう選択もある
退去する月は家賃の日割り計算をしない契約になっている場合、いつ退去するかが問題になります。
できれば末日か末日近くに引っ越しのスケジュールを組んで、退去するのが理想ですね。
ただし、仕事や学校の都合などでなかなか調整が難しいのが現実です。
たとえば、月の上旬に引っ越しせざるを得ない時は、前月の末日に退去してしまい、残りの数日をホテル住まいするのも手です。
もちろん、前月末日に引っ越し荷物が新居に送れるかという問題もありますが、それが可能ならば一考の余地があります。
数日のために一ヶ月分まるまる家賃を支払うよりも、安いホテルに数日泊まったほうが負担にならないなら良いかもしれません。
ホテルでも良いのですが、友人や会社の同僚が泊めてくれればもっと負担が少なくなります。
この方法は半日割りの契約でも使えます。
どうしても16日や17日までは、今の場所に滞在していなければならない時、15日前に荷物だけ送って退去してしまうのです。
可能な状況でしたら、ぜひ利用してみてください。
退去時における家賃の日割り計算は物件によって異なる
退去時に家賃を日割り計算するかどうかは、物件によって異なります。
入居時に引き渡し日からの日割り家賃を支払ったからといって、退去時も同様の扱いにはならない契約もあるのです。
退去時も家賃は日割りと思いこんでいる方も少なからずいると思います。
引っ越し日を左右する事項なので、ぜひ契約書を確認していただきたいと思います。