自分の土地でも建築面積に上限が!建蔽率と容積率の計算方法

  • 2020年1月7日
  • 2019年7月23日
  • 土地

自分が所有している土地には、好きなように建物を建てられると思われている方も多いのではないでしょうか。

しかし、例え自分の土地だとしても、建物の建築面積には上限が定められているのです。

そこで知っておきたいのが「建蔽率」と「容積率」です。

今回は、その建蔽率と容積率について解説していきます。

それぞれの計算方法もご説明しますので、これから住宅を建てるご予定のある方は是非ご参考ください。

自分の土地でも建築面積には上限がある!

案外ご存知ない方も多いかと思いますが、冒頭でご説明しましたように、土地に対しての建物の建築面積には上限があります。

「自分の土地なのに納得できない」と思われる方もいらっしゃるのではないでしょうか。

しかし、建築面積に上限があることには理由があります。

まず、自然災害や火災などによる被害の拡大を防ぐためです。

もしも、土地いっぱいに建物が建てられている密集地で災害が発生したらどうでしょうか。

被害が甚大になる可能性が高くなってしまうとは思いませんか。

また、隣地の方が土地ぎりぎりに建物を建てたらいかがでしょう。

自分の家の日当たりや風通し、隣地からの視線が気になるのではないでしょうか。

災害対策であったり住環境を守るためにも、建築面積に上限があることは仕方のないことと言えますね。

また、定められている建築面積を守ったとしても、建物の階数をいくつもつくるとどうなるでしょうか。

その場合、人口が多くなることでその地域のインフラ処理が容量オーバーで対応できなくなり、住みにくい場所となってしまう可能性も考えられます。

それでは、これらのことに関する、土地面積に対しての建蔽率と容積率について解説していきます。

それぞれの計算式もご説明していきますのでご参考ください。

建蔽率とは?

まずは、建蔽率からご説明していきます。

建蔽率は、所有している土地面積に対しての「建物の割合」のことです。

それぞれの地域ごとに、建蔽率の上限は異なります。

例えば、所有している土地面積を80坪とします。

そして、土地がある地域の建蔽率の上限が50%と仮定しましょう。

その場合、「40坪は建物を建築してもいいものの、あとの40坪は駐車場などとして利用する」ということになります。

ただし、建物以外の40坪分に関しては、必ず何かに使用しなさいと定められているわけではありません。

あくまでも、この場合は「建蔽率が50%だから、土地面積の半分のみしか建物を建築できない」という考え方になります。

また、建蔽率に従って建築面積を守ったとしても、建物を塀ぎりぎりに建てることはできません。

これは民法や建築基準法で定められています。

隣地境界線や道路から50cmないしは1m後退させることとなっていますが、土地が属する地域によって規制内容は異なります。

ご自分の土地の規制内容について詳しくお知りになりたい方は、管轄の市区町村の建築指導課に確認してみてください。

それでは、次項で建蔽率の計算方法をご説明していきます。

土地面積に対する建蔽率の計算方法

土地面積に対する建蔽率の計算方法は以下の通りとなります。

●建築面積÷敷地面積×100=建蔽率(%)

具体的に数字を入れて計算してみましょう。

敷地面積が80坪、建築面積が45坪とします。

そうすると、

45坪÷80坪×100=56.25%

となります。

先ほども申し上げましたように、建蔽率は各地域によって異なります。

もう少し詳しくご説明すると、それぞれの土地がどのような用途地域に属しているかで建蔽率が異なるということなのです。

用途地域は、その地域が商業地域なのか住宅地域なのかなどと、その土地の用途によって定められています。

住宅関連の用途地域は30~80%などと、地域によって割合は大きく異なります。

また、地域によっては定められている建蔽率に10%を追加することができる場合があります。

それは、防火地域に建築されている建物が耐火建築物の場合です。

そのようなケースであれば、もしも建蔽率が40%だとしても建蔽率50%までの建物を建築できるということになります。

さらに、その土地が角地であれば、さらに10%を追加、つまり建蔽率60%の建物を建築できます。

ただし、なにをもって「角地」とするかは、各都道府県または市区町村ごとで異なりますのでご注意ください。

容積率とは?条件によって一定の割合を引いて計算する緩和措置あり

建蔽率は、土地面積に対する建物の割合のことでした。

容積率は、土地面積に対する「延床面積の割合」です。

延床面積とは建物全体の床面積をすべて合計したものです。

ちなみに、玄関、ベランダやバルコニーなどは延床面積には含まれません。

また、ビルトインガレージなどはその面積から一定の割合を引いて計算する緩和措置があることも覚えておくといいでしょう。

先ほども少し触れましたように、人口を制限するという理由で容積率にも上限があります。

容積率に上限がないと仮定して、その地域のインフラ整備がしっかりと整っていないのにもかかわらず、ほとんどの住宅が階数を多くしたらどうなると思われますか。

まず、階数が多いことで住人が増加することが考えられます。

しかし、インフラ整備が整っていないことから下水道などの処理が間に合わず、住環境が悪化してしまう可能性があるのです。

そのようなことを避けるために、容積率に上限が定められているのです。

土地面積に対する容積率の計算方法

それでは、容積率の計算方法をご説明いたします。

●延床面積÷敷地面積×100=容積率(%)

敷地面積が80坪、延床面積が70坪とします。

そうすると、

70坪÷80坪×100=87.5%

となります。

容積率も建蔽率と同様に、用途地域ごとで上限があります。

ただし、容積率は土地の前面道路の幅で数値が変動しますので注意が必要です。

例えば、前面道路が12m未満である場合の容積率は以下の計算式で算出されます。

●前面道路の幅×0.4×100%=容積率

もしも、前面道路が5mの場合、

5m×0.4×100%=200%

となります。

ただし、所有している土地の容積率が例えば300%だとしても、この計算式で算出された容積率がそれよりも低い場合、低い方の容積率が適用されることとされていますのでご注意ください。

ちなみに、角地などで複数の道路と接している場合は、幅が広い方の道路を基準に計算しますのでご参考ください。

建物を建築する際は建蔽率や容積率以外にも制限あり!

この記事では主に、土地面積に対する建蔽率や容積率についてその内容や計算方法についてご説明してきましたが、それら以外にも建物を建築する際には制限があります。

簡単にはなってしまいますが、それぞれ少し触れておきましょう。

●日影規制(ひかげきせい、にちえいきせい)

他の建物に日が当たらないことがないように、建物の高さを規制するものです。

建築基準法で定められています。

●北側斜線制限

北側の隣地に対しての日当たりを遮ることのないように、一定の高さから一定の勾配をつけた範囲内で建築するよう規制するものです。

●絶対高さ制限

低層住宅地で、建物の高さが10mもしくは12mを超えてはならないと規制されているものです。

それぞれの土地がどの用途地域に該当するかなどで、このように一定の制限がかかることがあります。

この件に関しても、自分の土地がどのような制限があるのかを確認しておくといいでしょう。

建蔽率や容積率を守って住宅を建てよう

自分が所有している土地だとしても、自由に建物を建築することはできません。

建蔽率や容積率、日影規制など、さまざまな規定をしっかりと守らなくてはなりません。

ただし、土地が属している地域によってそれぞれ限度は異なりますので、これから住宅を建築されるご予定のある方は、事前に各都道府県もしくは市区町村に確認するようにしましょう。