道路には公道と私道があることをご存知でしょうか。
これから土地を買って家を建てようという方や建売住宅の購入を考えている方にとっては、敷地に面した道路が公道であるか私道であるか調べることがとても大切です。
どうして大切なのか、調べた結果公道ならどうなのか、私道であればどうなのかを今回は詳しくご説明いたします。
土地や家の購入をお考えの方の参考になれば幸いです。
私道と公道の違いと調べる方法
日本全国くまなく走っている道路には公道と私道があります。
公道とは文字通り公の道路で、国や都道府県、市区町村が管理しています。
日本の道路はほとんどが公道です。
一方、私道とは個人や企業が所有している土地のうち、道路として使用している区域をいいます。
道路が公道か私道かを調べる最も簡単な方法は、道路の幅に注目することです。
4m以上あれば公道といっていいでしょう。
日本の道路は原則、幅が4m以上あるものをいうからです。
きちんと調べるなら市役所の道路管理課へ行くといいでしょう。
道路管理課以外の名称で呼ばれているところもあるので、受付で「公道か私道かを調べるところを探している」といえば、担当の窓口につないでくれます。
そこの課が持っている地図の公道に当たる部分には「道路番号」といって番号が付されています。
調べたい道路に道路番号がついていたら公道、ついていなければ私道と考えられるというわけです。
私道か公道か調べるには法務局で公図を取得
道路が私道か公道か調べるには市役所に行く方法と、もうひとつ、法務局に行って公図を取得する方法があります。
公図とは土地の位置や区画を記した地図のことで、私有地であれば地番がついており、登記簿をみれば誰の所有する土地であるのかがわかります。
この公図をみると、ただ単に「道」とだけ書かれていればその道路は公道ですが、私道であれば所有者がいるので地番がついているというわけです。
市役所で確認するのと公図で確認するのと、両方で調べるのが確実な方法ですね。
特に、敷地の前にある道路や敷地の脇を通っている道路など、敷地に接している道路を調べるには、法務局に行って地番を調べたうえで登記簿をとり、所有者を調べて「公」か「私」か判断するのが正確です。
これから土地を買って家を建てようという方や建売住宅を買おうとしている方は、敷地に接した道路が私道か公道か、不動産業者に訊ねてみるといいでしょう。
購入を考えている土地に面した道路が公道か私道か調べる理由
これから土地を買って家を建てようという方は、土地に面した道路について調べる必要があります。
なぜなら家を建てるには、家の敷地に接した道路が建築基準法上の道路であり、なおかつ2m以上接していなければならない、という決まりがあるからです。
建築基準法上の道路にはいろいろな種類があり複雑なのですが、最もわかりやすいのが公道で幅が4m以上あるものです。
ですから、購入を考えている土地が2m以上公道に接していれば問題ありません。
しかし私道である場合には注意が必要です。
私道には建築基準法上の道路とそうでないものとがあり、後者に接している土地には家が建てられないからです。
建築基準法上の道路に該当しないものはそもそも道路とはいえず、見かけは道路であっても単なる「通路」でしかありません。
ただし、昭和25年の施行時にはすでに家が建ち並んでいたとしたら、4m未満であったとしても建築基準法上の道路に該当します。
このように素人にはわかりづらいことなので、土地購入の前に、土地に面した道路が公道か私道か不動産業者に訊ね、私道であるなら建築基準法上の道路に該当しているかどうか、家が建てられるかどうかをきちんと確認しておきましょう。
住宅の敷地に面した道路が私道である場合
これから建売住宅を買おうという方も、住宅の敷地に面した道路が公道か私道かを調べることが大切です。
その道路が公道なら問題ありませんが、私道の場合は注意が必要だからです。
私道であることが多いのは、
①道路の先が行き止まりである
②その道路の左右と正面に建売住宅が並んでいる
場合です。
道路を囲むようにコの字型に住宅が並んでいるとき、その道路は私道であることが多いのです。
これはもともと大きな一つの敷地であったところを開発して、いくつかの土地付き分譲住宅として売り出される場合に多いケースです。
前述したように建築物は、その敷地が建築基準法上の道路に2m以上接していないと建てられません。
そこでまず私道を作り、その私道を道路として指定してもらうことで家を建てるのです。
こうした道路を「位置指定道路」と呼びます。
具体的には、
・道路幅が4m以上ある
・原則として通り抜けられる
・勝手に道路の上に何かを作ったり、人に貸したり、道路をなくしたりできない
という性質があります。
実はこういうタイプの私道は、住んでみると近隣とのトラブルが起きがちです。
そのため私道は公道に比べリスクがあるといえるでしょう。
私道負担で増えるトラブル
道を囲むようにコの字型に建売住宅が並んでいるとき、その道路は公道ではなく私道であることが多いと述べました。
こういったタイプの建売住宅が売りに出されるときは「私道負担付分譲住宅」として売られることが多く、この「私道負担」がトラブルになりやすいのです。
私道負担とは、建築基準法上の道路に2m以上接していなければならないという決まりを守るため、土地の一部を私道として提供することをいい、この分譲住宅を購入する人が負わなくてはなりません。
といっても実際に自分の庭を差し出すというようなことではなく、道路はみんなの共有物といった概念になります。
ただ、「自分の敷地の一部をみんなの道路として差し出さなくてはならない」という気分になる人もなかにはいるようです。
例えば、
・自分が差し出している土地によその車が停められている
・大きな荷物が置いてある
・隣の家の子どものおもちゃが投げ出されたままになっている
などといったトラブルになりやすいのです。
また私道だけに面した物件と、私道と公道両方に面した物件とがあります。
こうした場合の私道負担もケースバイケースで、一律ではありません。
さらに将来建て替えをするとなったとき、その分譲地の人全員に承認を得なくてはなりません。
こうしたことから建売住宅の購入をお考えの方は、敷地に面している道路が公道か私道か確認し、私道であるなら私道負担はどうなっているのか、しっかりと調べることが大切です。
私道に伴う様々なトラブル
購入を考えている土地や建売住宅の敷地に面した道路が公道であるか私道であるか、調べることが大切だと述べました。
なぜならその道路が私道である場合、公道に比べてデメリットが多く、トラブルにつながりやすいからです。
そのトラブルの多くが所有の概念に伴い生じています。
私道=私有地、という考えから駐車場代わりに使ったり、植栽を張り出させたりと、まるで自分の庭のように扱うと近隣とのトラブルになりがちです。
私道とはいえ建築基準法上の道路であるなら、公共物としての性質が強くなります。
みんなが通る道であると思えば勘違いは起きなくなるのですが、現実はなかなか難しいようです。
こうした所有の感情から起きるトラブルの他にも、地震などの影響により、道路のメンテナンスが必要になる際起こるトラブルもあります。
まず、修繕の工事を行うには、私道負担している人全員の承諾が不可欠です。
そのうえ道路の補修だけにとどまらず、水道管やガス管の補修を伴うことがあるため、メンテナンス費用がかさみます。
その費用の負担を全員に求められると、払いたくない人との間でトラブルが起きがちです。
さらに負担の金額についても、一律であるか差があるか、どちらにしても不満を抱く人がいるでしょう。
このように私道にはネガティブな要素が付きまとうためか、公道に面した土地より不動産評価が低く、将来家や土地を売る際、不利になるようです。
こうしたことから土地や住宅を購入する際は、接している道路が私道か公道かを調べ、もし私道であるならリスクを考慮し、よく検討する、あるいは断念することも選択肢の一つに入れておいていいかもしれません。
土地や家の購入の際は接した道路について調べることが大切
これから土地を買って家を建てようという方、あるいは建売住宅の購入を考えている方、いずれも敷地に接した道路について、よく調べておくことが大切です。
私道である場合、トラブルに発展することがあるため、そのリスクを承知の上で購入を検討しましょう。
疑問点があるなら早めに不動産業者に訊ね、しっかり納得してから購入するようにしてくださいね。