毎日忙しく生活していると、うっかり家賃の支払いを忘れてしまうことがあるかもしれません。
しかし、毎月支払うべき家賃をうっかり延滞してしまうと、延滞日数分の遅延利息の支払いが生じる場合があります。
この記事では、家賃等を延滞してしまった場合や、その際に支払う遅延利息についてお話ししていきます。
家賃の支払いを延滞したらどうなる?
賃貸借契約をもって物件を借りていますので、家賃の支払いは当然のことです。
それでは、もしも家賃の支払いを延滞してしまうといったいどうなるのでしょうか。
まず、管理会社や貸主の大家さんから直接電話で連絡がくるケースが多いようです。
家賃延滞が一度ならば話しは別ですが、何度も延滞するようなことがあれば、支払い期日までに家賃を支払うと約束する文書にサインすることに応じる必要が出てくる可能性もあります。
連絡がきたにもかかわらず家賃の支払いを行わない場合は、「◯日以内に家賃を支払ってください」という督促文書が内容証明郵便で届きます。
その内容証明郵便には、「支払わない場合は契約解除となります」という文言が入っていることと思います。
これにも応じない場合は、賃貸借契約時に設定した連帯保証人へ同様の内容の督促文書が届くことになります。
基本的に、数日程度でも家賃の支払いが遅れることは契約違反ともなりますので、貸主側にもいい印象を与えることはありません。
さらに、数日程度うっかり支払いを忘れてしまったのと、数年家賃の支払いが滞ることは全然意味が違います。
また、「遅延利息さえ支払えばいいだろう」という考えはもってのほかです。
ですから、家賃の支払いは延滞することなく期日通りに支払いましょう。
家賃を延滞せざるを得ない場合はどうする?
「病気で入院してしまった」「転職したため、来月まで給与が振り込まれない」などの理由から、どうしても家賃を期日までに支払えず延滞してしまう場合もあるかもしれません。
そのような場合はどうしたらいいのでしょうか。
まず、できるかぎり家賃払い込みの期日前までに、管理会社や貸主である大家さんに連絡をしましょう。
その際は、期日までに支払いができない理由に加え、いつまでに支払うという具体的な日程も伝えるようにします。
特別な事情があるといっても、事前に管理会社や大家さんに連絡していないことで悪い印象を与えてしまう可能性が高いからです。
貸主側から考えると、期日までに入金がないことは損害です。
先ほども申し上げましたように、「遅延利息さえ支払えばいいだろう」という甘い考えは持たないようにしましょう。
また、家賃の支払いを延滞することで新しく賃貸物件の契約がしにくくなる事態にもなりかねません。
次項でご説明いたします。
家賃を延滞すると賃貸物件が借りにくくなる!?
昨今では、家賃保証会社を利用している賃貸借契約が増えてきています。
もしも、過去に家賃を延滞してしまったという事実がある場合、希望の賃貸物件を契約できない可能性があるのです。
家賃保証会社の中には、借主の信用情報を共有している場合があります。
信用情報とは、日本国内にある信用情報機関で管理されている、各種返済に関しての個人情報のことです。
家賃の延滞歴やクレジットカードやカードローンの返済状況、自己破産などの項目が管理されています。
(ただし、現金支払いや口座振替などの延滞に関しての情報は含まれておりません。)
そのため、過去に家賃を延滞していると、入居者審査が通らないことがあるのです。
ちなみに、信用情報は5年間は登録されると言われています。
ですから、これから引っ越しの予定がある方は特に、家賃はしっかりと決められた期日通りに支払う必要があるといえるでしょう。
いずれにせよ、家賃に限らずとも支払いに期日があるものはそれをしっかりと守ることが大切なのです。
次項からは、家賃延滞したことに対する遅延利息についてご説明していきます。
家賃に対する遅延利息(遅延損害金)の意味すること
賃貸物件の賃貸借契約が成立すると、毎月家賃や共益費などを決められた期日までに支払う必要があります。
期日までに支払わなければ、貸主側に損害を被らせてしまうことになるのです。
そのため、その損害を賠償するという意味合いで遅延利息(遅延損害金)の支払いの必要性が出てきます。
賃貸借契約書によっては、家賃を延滞した場合のケースについて定めがないことがあります。
しかし、家賃を延滞することは賃貸借契約の不履行とされます。
そのため、賃貸借契約書に定めがなくても遅延利息を支払わなくてはなりません。
それでは実際に、遅延利息はどれぐらいの金額となるのでしょうか。
まず、賃貸借契約書に遅延利息について定めがない場合からご説明いたしましょう。
家賃支払い遅れによる遅延利息の金額はどれぐらい?
前述しましたように、家賃等の支払いが遅れてしまった場合は賃貸借契約書に遅延利息の定めがなくても遅延利息の支払いの必要性があります。
賃貸借契約書に遅延利息の定めがない場合の金額は、年率5%の法定利率で計算されることとされています。
これは、民法第404条で定められています。
反対に、賃貸借契約書に遅延利息の定めがある場合は、その定め通りに従って計算された金額を支払うことになります。
ただし、年率14.6%が上限となっておりますので、それ以上の遅延利息を支払うことはありません。
こちらは、消費者契約法第9条で定められています。
それでは、遅延利息の計算方法をご説明いたします。
●家賃×利率×延滞日数÷365日(もしくは366日)=遅延利息
わかりやすく、例をあげてみてまいりましょう。
家賃が60,000円で、30日延滞してしまったとしましょう。
利率は5%とし、年間日数は365日とします。
それを、上記の計算式に当てはめると、60,000×5%×30÷365=およそ247円となります。
家賃の支払いに時効はある?遅延利息には消費税はかかるもの?
あまり好ましい事態ではありませんが、何らかの事情で家賃を支払えない状況が続くことを想定してみましょう。
その場合、実は家賃の債権に対して時効が設けられているのです。
それはずばり5年です。
5年経過すると、家賃の債権は消滅することになっているのです。
そのため、遅延利息の時効も同様に5年とされています。
ただし、この件に関して、借主自身が時効を主張する必要があります(時効の援用)。
時効の援用はつまり、支払うべきものを支払わないということになります。
また、5年間借主が家賃を支払わない状況を貸主側がただ黙って待っているということもなく、場合によっては賃貸借契約の解除となることもあります。
また、「遅延利息に消費税がかかるのか」という疑問をお持ちの方もいるでしょう。
結論から申し上げると、消費税はかかりません。
遅延利息は、あくまでも延滞した分の利息として支払うものになります。
利息に関する取引については非課税とされているので、遅延利息も非課税の扱いとなるのです。
家賃は決められた期日までに必ず支払おう
言わずもがな、家賃は賃貸借契約で定められている期日までに支払う必要があります。
ただし、致し方ない事情で期日までに家賃を支払えないこともあるかもしれません。
その場合は、すみやかに管理会社や貸主である大家さんに相談することをおすすめします。
また、家賃を延滞してしまった場合は、賃貸借契約で定められている利率のとおり遅延利息を支払う必要もあります。
いずれにせよ、管理会社や大家さんとの関係を悪化させることにもなりかねませんから、家賃は必ず決められた期日までに支払うようにしましょう。