同じアパートに長年住んでいると、ある日、家賃の値上げをお願いする通知が手元に届くこともあるでしょう。
どれほどの値上げをお願いされるのかはその物件によって様々ですが、毎月の家計に響いてくるため、どのように対応したらいいのか、悩んでしまうという方も多いかもしれません。
そこで今回は、通知が届いたらどうしたらいいのか、なぜ家賃を値上げするのかについてご紹介していきます。
家賃の値上げの通知書が!何で値上げをするの?
多くの方は、「家賃は値段が変わらずにあるもの」と考えてしまいがちです。
確かに、他の日用品などと比較して、そうそう価格が変化するものではありません。
しかし、長年住み続けていると家賃の値上げの通知が届くことがあります。
では、なぜ家賃の値上げが行われるのでしょうか。
その理由は大きく3つ挙げることができます。
順番に見ていきましょう。
①地価の値上げ
アパートなどの賃貸住宅に限らず、建物は「土地」に建てられていますよね。
そんな土地には、土地の価格を示す「地価」が決められています。
これは土地を購入する際には注目することですが、賃貸住宅を契約する際にはあまり意識しないことでしょう。
そんな地価ですが、時折変動し、高くなってしまうことがあります。
すると、固定資産税も値上がりすることになり、それを補うために家賃の値上げを求められることがあります。
②経済事情の変動
物価が上がったなどの理由で、家賃も値上げされることがあります。
③近くの同じような物件よりも家賃が安い
似たような間取りで同じような地域の物件というのは、家賃も同じくらいであることが多いです。
同じような物件よりも大幅に家賃が安い場合に、その差をなくすために家賃の値上げを行うことがあります。
家賃の値上げの通知が来やすい場合とは?
ご説明したような理由から家賃の値上げが行われることが多いですが、実は値上げの通知が来やすい場合というのがあります。
【入居態度】
普段から入居態度があまりよくないと、印象がよくありませんよね。
これは大家さんももちろん感じていることなので、注意しても改善されないような場合、値上げの理由になる可能性があります。
とはいえ、もちろん「入居態度が悪いから」という理由であるとははっきり言われないでしょう。
あくまで先述したような理由で通知されるでしょうし、それも嘘ということはないでしょう。
しかし、理由のひとつ、きっかけになる可能性はあるので、理解しておく必要があります。
【契約更新時】
家賃の値上げの通知が来るタイミングとして最も多いのが契約の更新時です。
これは単純に区切りがいいためです。
契約の途中で突然値上げの通知が来ても、入居者としては「今の金額で契約は済んでいる」と考えますので、受け入れがたいのが普通です。
しかし、更新時であれば、新しく契約し直すわけなので、受け入れてもらいやすいです。
そのため、大家さんとしても値上げしやすいタイミングです。
ただし、入居態度に問題がなく、契約更新前でも、値上げが行われることはあります。
通知が来たからといって、「大家さんに嫌われている」、「追い出されようとしている」などとは決めつけないでください。
家賃の値上げの通知が来たら拒否はできるの?
毎月払っている家賃が「値上げをします」という通知が来たら、家計に重くのしかかってきますので、拒否したくなるところですよね。
家賃の値上げは、貸主・借主双方の同意がないと行うことができないため、借主が拒否すれば値上げはできません。
「部屋を貸してもらっている側だから応じなければならないのでは」と思ってしまいますが、家賃を毎月支払っているのであれば、貸主とは立場は対等です。
そのため、貸主だけの意向で値上げをすることはできないのです。
しかし、いくら値上げを拒否したいからといって、断固として話を聞かないのは得策ではありません。
貸主側としても、当然理由があっての値上げのはずですので、まずは話を聞いてからです。
家賃の値上げを知らせる通知が来たら
先ほどもお話したように、家賃は頻繁に値上げをするものではありません。
そのため、いきなり値上げの通知が届くと、驚いてしまいますし家計にも大きな影響を与えます。
このような通知が来た場合にまず行うことは、アパートを借りるときに交わした「賃貸借契約書」の「賃料」についての確認です。
多くの場合、「貸主・借主が協議し、賃料を改定することができる」といった内容が記載されているでしょう。
このことを確認したのち、なぜ家賃を値上げするのか理由を聞いて協議します。
値上げの理由が適切である場合には、値上げに応じることが多いですが、納得がいかない場合や話がこじれてしまうこともあるかもしれません。
こういった場合には、専門家に間に入ってもらったり、違う物件に引っ越すことも検討する必要が出てくるでしょう。
専門家に依頼する場合には、まずは無料相談を利用して、アドバイスをもらってみるのも1つの方法です。
家賃の値上げを拒否したい!そんなときはどうしたら?
ご説明してきたように、貸主が家賃の値上げを通知してくるには様々な理由が考えられます。
その理由が納得できるものであれば、もちろんそれに応じて家賃を支払うことになります。
しかし、場合によっては「拒否したい!」と考える方も少なからずいるのではないでしょうか。
そういった場合の対処方法としては以下のようなこと取れます。
【書面対応】
基本的に、こういった場合では書面で対応することになります。
手元に届いた通知に返答するような形で対応を行います。
多くの場合、値上げの通知にはそれに同意するための署名・捺印をする箇所がありますが、同意しないときには記名押印はしません。
また、返答内容を記載したらコピーを取っておくなどすると、証拠資料として役立ちます。
【電話】
基本的には「言った・言わない」を防ぐために書面でやり取りを行うのですが、電話で家賃の値上げに同意するよう伝えられることもあります。
その場合、書面でやり取りしたい旨を伝えるようにしましょう。
家賃の値上げに応じないと更新できない?
まれに、契約更新時に家賃の値上げの通知が来て「値上げに応じないと、契約の更新ができない」といったことを伝えられることがあります。
このように言われると不安になってしまいますが、こういったことは認められません。
基本的に貸主が一方的に契約を終了することはできないのです。
借地借家法によると、貸主側から契約を終了させるには次の条件が必要です。
・6ヶ月以上前には申し出ること
・正当事由があること
また、契約書の記載についても、上記に反するような内容は無効とされています。
なお、正当事由とは、アパートの老朽化などによって建物が崩壊する恐れがあり、賃貸住宅として経営を行っていくことが難しい、というような理由のことを言います。
つまり、「家賃の値上げに応じないから」というだけの理由で契約の更新が行えないというのは違法になります。
家賃の値上げの通知が来ても焦らずに
家賃の値上げの通知が来たら、「どうしたらいいの?」と焦ってしまうこともあるでしょう。
しかし、まずは落ち着いて、賃貸借契約書やアパートを借りる際の重要事項説明書に目を通してみてください。
内容が難しいため、一度読んだだけでは理解できないこともあるかもしれませんが、焦らず「自分に不利なことは記載していないか」を確認してみましょう。
トラブルを避けるためにも、契約書の内容は把握しておいてください。