宅地として地目認定されている土地は、月極駐車場や時間貸し駐車場にすることで、「雑種地」になります。
地目変更が必要ですが、農地法には関係しないので土地家屋調査士だけに依頼でき、ご自身でも手続きをすることができます。
まずは雑種地について簡単にご説明し、駐車場経営のメリットやデメリット、基本情報などをご紹介していきます。
駐車場の地目は雑種地?宅地?
宅地を駐車場にしたい場合には、地目変更が必要になるケースについて知っておく必要があります。
地目は、土地の用途によって分けられた区分なので、基本的には用途と合った状態にしておかなければなりません。
冒頭でも述べた通り、駐車場として活用する場合、地目は原則として「雑種地」になります。
しかし、これに当てはまらないケースもあります。
それは、ご自宅に併設している駐車場や、店舗に併設している駐車場です。
自家用車を置くご自宅の駐車スペースや、店舗のお客さま用の駐車場については、わざわざそこだけを雑種地とするのではなく、宅地のままで問題ありません。
雑種地は、22種類ある地目のうち、どれにも当てはまらない場合に使われる地目です。
雑草などが生い茂っていれば原野、家が建っていれば宅地、田んぼとして活用される土地なら田、というふうに当てはめていき、いずれにも該当しない土地が雑種地ということです。
宅地から雑種地へ!地目変更手続きは自分でできる?
駐車場にすることで、地目を宅地から雑種地に変更するためには手続きが必要です。
地目は正しい状態に認定されていることが求められているので、用途の変更があれば、1ヶ月以内に手続きを行うことになります。
手続きは管轄法務局で行うことができ、専門的な知識が必要にはなりますが、調査しながらご自身で行うこともできます。
書類作成や調査などを依頼したいのであれば、土地家屋調査士に相談することができます。
補正などがなく、スムーズに進めば1~2週間で完了するでしょう。
ご自身で行えば、書類取得費用や交通費などのお金は必要になり、手間と時間はかかりますが、土地家屋調査士に依頼した場合と比べると安く済ませることができます。
今はインターネットから多くの情報を得ることができますし、登記申請ソフトという便利なツールもあるので、一人で手続きを行う方もめずらしくありません。
駐車場経営のメリット!
ここからは、土地を駐車場として活用する際に、知っておくと役立つことをお伝えしていきます。
まずは、駐車場として活用するメリットを考えていきます。
●安定した収入が見込める
立地によって状況が異なることは言うまでもありませんが、駅に近い場所や都心部などで時間貸し駐車場を経営すれば、安定した収入源になると言えるでしょう。
地方も車を所持している方が多いので一定のニーズがあります。
時間貸し駐車場は、駐車場業者に貸し出す場合と、ご自身で経営される場合があります。
一方、月極駐車場は収益性や安定性は時間貸し駐車場よりも劣ることが多いですが、砂利敷きでも使えるので、初期費用を抑えることができます。
また、好立地ではなくても成立するという利点もあります。
●初期投資が低い
賃貸経営などと比べると初期コストがかからないのもメリットとして挙げられます。
宅地の地目から駐車場とする場合、建物の取り壊しは必要になりますが、駐車場として再スタートを切る場合に必要になる費用で一番高いのは、アスファルト舗装や駐車場用機材購入になるのではないでしょうか。
アスファルト舗装費用についても、面積が広いほど割安になる傾向があります。
月極駐車場のように、アスファルト舗装をせずに貸すケースなら、さらに手軽にはじめられます。
宅地で借地権が発生すると面倒!駐車場経営のメリット
引き続き、駐車場として土地活用するメリットをお伝えしていきます。
●借地権が発生しないので売却価値がある
地目が宅地である場合とも関係があるので、借地権について触れておきます。
借地で建物を建てると借地権が発生しますが、これにより借手が保護されることになります。
土地活用のプランを実行したくても、借地人が立ち退かないと話が進みません。
しかし、駐車場として利用者に貸していたとしても、借地借家法の適用にはならないので、借地権は発生せず柔軟に活用することができます。
また、借地権が発生している土地と借地権が発生していない駐車場の売却価値には違いがあります。
借地権が発生していない駐車場に関しては、更地と近い価値となるため、借地権が発生している土地よりも売却価値があります。
このように、駐車場には「初期投資額が低い」「安定した収入源になる可能性がある」「借地権がない」といったメリットがあるのです。
土地の売却か活用か迷っているような場合で、駐車場として活用することで利益につながるのであれば、一つの選択肢としておすすめできます。
ただ、相続空き家を駐車場にする場合は注意が必要です。
相続空き家を取り壊してしまい、地目を雑種地にして駐車場にしてしまった場合、売却時の特別控除の特例に該当しなくなるケースがあります。
相続空き家を取り壊して駐車場にする場合は、要件を確認しておくことをおすすめします。
駐車場経営のデメリット!地目が宅地で建物が建っていると固定資産税が安い?
では、次に土地活用で駐車場を選ぶことのデメリット面について考えてみましょう。
●賃料の安さ
駐車場は、初期コストこそかからないものの、高い利益にはつながらないことが多いでしょう。
賃料だけでは、固定資産税を支払うとマイナスになってしまうこともあります。
駐車場のニーズが高く、固定資産税の低い場所でないとハイリターンにはつながらないと考えておきましょう。
また、駐車場業者に時間貸し駐車場を貸している場合には、賃料の値下げを要求されることもめずらしくありません。
周辺に駐車場が増えたり、シャッター通り化してニーズが減ることにより、利益を見込めないと判断されてしまうと賃料減額要求が来ることがあるようです。
●固定資産税額が上がる可能性がある
地目が宅地だった土地を駐車場にする場合、住宅やアパートなどを取り壊して更地にするものですが、これにより固定資産税が上がるかもしれません。
「小規模住宅用地の特例」に該当し、固定資産税が安く算出されていた場合、駐車場にすることで固定資産税が上がることも念頭に置いておくことをおすすめします。
駐車場経営スタートの流れ!時間貸し駐車場を直接経営する場合
駐車場の地目についてのお話と、メリット・デメリット、そして宅地を駐車場にする場合の注意点などを取り上げました。
最後に、駐車場経営で行うことについてご紹介します。
時間貸し駐車場を直接経営する場合、駐車場機器メーカーを選んだり、駐車料金の設定をすることが必要です。
信頼できる機器メーカーを選ぶことで、プランニングや充実したサポートを受けられます。
機材が納入されたら、管理会社に委託して経営をスタートさせることができます。
管理会社はトラブルの対応や、入出金管理を行ってくれます。
経営者として行うことは、料金の設定や差別化への対策になります。
駐車場の料金設定は、最初に決めた金額のままで長期間ほったらかしにしておくのではなく、状況を調べつつ設定し直すことをおすすめします。
周辺にある駐車場と比べて料金が不自然に高いと、お客さまが離れてしまいます。
また、自動販売機とゴミ箱、お得な料金システムなどで差別化を図ることもできます。
ローリターンの駐車場経営と言われることもありますが、最適な値付けやプランによって安定した利益につなげることができるのです。
時間貸し駐車場経営なら地目は雑種地!正しく手続きを
駐車場の地目は、基本的には雑種地ですが、ご自宅や店舗に併設しているような場合は宅地で大丈夫です。
手続きは必ずしも専門家の手を借りなければいけないというわけではなく、自分で行うこともできます。
地目は用途によって正しく認定されている状態がのぞましいので、必要な手続きは行うようにしましょう。
また、駐車場経営を行うメリットやデメリットについてもお伝えしたので、ぜひ参考にしてください。