土地の価格を計算する時に利用する路線価を知ろう!

  • 2019年3月4日
  • 2019年5月31日
  • 土地

土地を購入する時や相続、贈与によって土地を取得する際、その土地の価格を調べる必要があります。

実は、土地の価格は不動産業者や金融機関といった専門家でなくても、評価することができるのです。

一般的に土地の価格を評価する際に使われるのが路線価と呼ばれるものです。

路線価とはなんでしょうか。

また、どのようにして計算するのでしょうか。

それでは、路線価についてご紹介します。

土地の価格を評価する路線価とは?

そもそも路線価とはなんでしょうか。

路線価とは、相続税や贈与税の算出に用いるため、国税庁が定めた路線に面する宅地の1平方メートルあたりの価格のことです。

一般的には土地取引の基準となる公示価格の8割程度の価格です。

国税局長によって定められており、例年7月1日時点の価格が国税庁によって公表されています。

路線価にも種類があり、相続税や贈与税の参考とされる「相続税路線価」と、固定資産税や都市計画税・不動産取得税・登記免許税の基準となる「固定資産税路線価」がありますが、実務上、路線価と記載されていれば、「相続税路線価」を指すことが多いようです。

上記の公示価格の8割程度とするのは、「相続税路線価」のことです。

ちなみに、「固定資産税路線価」は公示価格の7割を目処とする価格とされており、市町村長によって定められています。

公的機関が公表している地価は路線価のほか、先ほどお伝えした公示価格と基準地価と呼ばれるものがあります。

路線価は調査地点の数が公示価格と基準地価と比較して圧倒的に多いという特徴があります。

また、公示価格が公表されていない地点は、路線価を1.25倍すれば、おおよその公示地価になるということになります。

路線価を調べてみよう

路線価は国税庁が公表しているので、国税庁のホームページ内にある「財産評価基準書 路線価図・評価倍率表」で確認することができます。

路線価を地域ごとに示した図を路線価図と言い、路線価図と住宅地図を見比べて評価したい土地の路線価を調べます。

評価したい土地の前面道路にある数字が路線価です。

また、路線価図には様々な記号が記載されています。

主に「地区種別の記号」と「借地権割合」に関する記号です。

「地区種別の記号」とは、路線価が記載されている数字を囲む記号が円や楕円、ひし形などの記号に応じて地区の種類が割り当てられています。

例えば、円形であれば、その地域は普通商業・併用住宅地区です。

楕円形であれば、高度商業地区と分かります。

また、路線価の右となりにAからGまでのアルファベットが記載されていることがあれば、その記号は「借地権の割合」を示しています。

AからGに応じた割合を土地の評価額に乗ずることで、借地権の価格を計算することができるのです。

また、評価倍率表は、路線価が定められていない地域で利用するものです。

路線価を使って土地の価格を評価をしてみよう

土地の価格は、評価する土地が面している道路の路線価を基に、次のように計算します。

土地の価格=路線価(円/平方メートル)×「奥行価格補正率」×土地面積(平方メートル)

「奥行価格補正率」とはなんでしょうか。

「奥行価格補正率」はその土地の一面だけが道路に接してる場合、奥行距離に応じた「奥行価格補正率表」に定められている補正率のことです。

一つの道路にしか接していない場合は不便なため、補正を加えるという考えです。

「奥行価格補正率表」は地区区分に応じての補正率が国税庁のホームページ上で公開されています。

例えば、地区区分が普通住宅地区で土地面積150平方メートル、路線価200,000円/平方メートル、奥行距離10メートルとすれば、土地の評価は、200,000円/平方メートル×1.00×150平方メートル=30,000,000円となります。

(国税庁ホームページ上の「奥行価格補正率表」では、普通住宅地区で奥行距離10メートルの場合の補正率は「1.00」となっています。)

実際には土地の形状に応じた補正率を路線価にかけて価格を出します。

計算方法は次項で見ていきましょう。

余談ですが、住宅ローンの申し込みをする際、銀行などの金融機関は路線価を利用した土地の価格に担保掛目をかけて保守的に土地の価格を出します。

一般的に土地の担保価格と呼ばれるもので、担保掛目は70%が目安とされているようです。

上記であれば土地の担保価格は、30,000,000円×担保掛目70%=21,000,000円となり、金融機関は担保価格と融資額を比較することで住宅ローンの審査を実施しているのです。

価格の補正が必要な土地がある

土地の価格を出す際に、補正が必要な土地とはどのようなものでしょうか。

具体的には、間口が狭い土地や奥行きが長い土地、不整形な土地などです。

綺麗な正方形の形状であれば問題ありませんが、上記のような土地は生活する上で不便です。

そのため、土地の価格はつきにくいものです。

補正が必要な土地の価格の評価方法は次のようになります。

間口が狭い土地:路線価×「奥行価格補正率」×「間口狭小補正率」×土地面積

奥行きが長い土地:路線価×「奥行価格補正率」×「奥行長大補正率」×土地面積

不整形な土地は、仮に整形地として評価した価格に不整形の具合や土地面積に応じた「不整形地補正率」を乗じて評価します。

補正率は国税庁のホームページに掲載されていますので、評価したい土地の大小に応じた補正表を参照して補正率を調べることができます。

角地や準角地の土地の価格

土地は正面の道路だけに接しているわけではありません。

正面と側面の道路に接している土地を角地と呼びます。

1つの道路が折れ曲がってその内側に接している土地が準角地です。

正面と側面、2つの道路に接しているので、出入りは容易で便利であるということから角地と準角地の価格は高くなります。

側方路線影響加算率を用いて次のように計算します。

路線価=正面路線価×「奥行価格補正率」+「側方路線価」×「奥行価格補正率」×「側方路線影響加算率」

土地の価格=上記の路線価×土地面積

側方路線影響加算率は地区区分によっての加算率が国税庁のホームページで定められています。

例えば、普通住宅地区で角地でしたら0.03の加算率です。

また、正面路線の考え方ですが、奥行価格補正率を乗じた路線価の価格が高い路線とします。

実際に利用している路線であるかどうかは関係なく、価格が高い方が正面路線なのです。

2つの路線にはさまれた土地の価格

土地が2つの路線にはさまれた評価の方法についてご紹介します。

土地が正面と裏面の路線に接している場合に、二方路線影響加算率を用いて土地の価格の評価を加算することができます。

こちらも、2つの道路に接しているので、利便性が高いということで価格は高くなる考えです。

加算率は地区区分に応じて変わりますので、国税庁のホームページで確認してください。

先ほどと同じように、正面路線は原則として奥行価格補正後の価格が高い方の路線です。

次のように計算します。

路線価=正面路線価×「奥行価格補正率」+裏面路線×「奥行価格補正率」×「二方路線影響加算率」

上記の路線価と土地面積を乗じて土地の価格の評価は完了です。

もちろん、土地の形状に応じて先ほどの「間口狭小補正率」や「不整地補正率」で調整する必要がありますので、注意してください。

路線価を利用して土地の価格の評価マスターしよう

土地の価格を評価する上で、路線価はとても便利です。

路線価を利用すれば、土地の価格を簡単に計算することができます。

土地の形状は複雑なものもありますが、基本となる計算の方法は変わりません。

路線価図は国税庁のホームページで公開させているので、誰でも情報を入手することができます。

土地の形状に応じた計算方法の事例も載っているので、とても参考になると思いますよ。

土地の価格を知りたい場合、路線価を利用することをおすすめします。