多くの分譲マンションでは、修繕積立金を毎月支払う必要があります。
その修繕積立金ですが、金額設定当初より値上がりすることがあるのです。
それはどうしてなのでしょうか?
この記事では、マンションの修繕積立金について解説していきます。
マンションにおける修繕積立金とは?
分譲マンションを購入すると、多くの場合、修繕積立金を毎月支払う必要があります。
そもそもこの修繕積立金とは、マンションを維持するための修繕工事費用を集めるための積立金のことを言います。
マンションの大規模修繕計画は、新築時にしっかりとたてられていることが多いです。
大規模修繕工事を行うタイミングはマンションごとで異なりますが、多くの場合は10年~15年に一度行われています。
また、当初設定した金額の修繕積立金で賄う修繕工事は、だいたい30年程度分の計算となっていることが多いでしょう。
ただし、こちらもマンションごとで異なりますので、自分のマンションではどのような修繕計画になっているかはしっかりと確認することをおすすめします。
また、新築マンションを購入する際は、修繕積立金とは別に「修繕積立基金」という名目で修繕積立費用を支払うことも多いようです。
修繕積立基金は数十万円になる場合もありますので、この件に関してもよく調べておくことをおすすめします。
ここから本題ですが、修繕積立金は設定当初より値上がりすることがあります。
その理由をみていきましょう。
マンションの修繕積立金が値上がりする理由とは?
マンションの修繕積立金が設定当初より値上がりしてしまう理由は、いったいどのようなことなのでしょうか。
その理由は複数あります。
まず、「当初の設定金額では修繕費用を賄えない」というものです。
修繕積立金の初期設定額が低すぎる場合、修繕費用を賄いきれないケースがあるのです。
その場合、修繕積立金は値上がりしてしまうことになります。
次に、「修繕工事費が当初の計画より値上がりしてしまう」というケースです。
そのときどきの経済情勢によって、修繕工事費が高騰することがあります。
例えば、修繕工事を行う職人の減少により人件費が高くなり、結果として修繕工事費が値上がりしてしまうといったものです。
さらには、資材が高騰することもあります。
マンションの大規模修繕には多くの人手も資材も必要ですから、結果としてこれまで積み立ててきた修繕積立金だけでは賄いきれないということになってしまうのです。
マンションの修繕積立金値上がりは最初から決まってる場合も!
マンションの修繕積立金値上がりは、最初から決まっている場合もあります。
実は、マンションの修繕積立金の積み立て方法には、「均等積立方式」と「段階増額積立方式」の2通りがあります。
「均等積立方式」とは、大規模修繕工事にかかる費用を期間・住戸数で割って、毎月同額を積み立てる方式になります。
「段階増額積立方式」は、段階的に積立金を増額していくという方法になります。
国土交通省のガイドラインでは均等積立方式がより望ましいとはされているものの、多くのマンションは段階増額積立方式で修繕費用を積み立てしています。
つまり、修繕積立金は最初から値上げすることは決まっているということになるのです。
マンションの中には、「修繕積立金が相場より安い」と感じる物件があります。
そのようなマンションでは、段階増額積立方式をとっていることが多いでしょう。
マンション購入時にはその説明は受けるはずですが、「修繕積立金が値上がりするのはだいぶ先」と思って、忘れてしまっている方が多いのも現実としてあります。
マンションのグレードアップ工事で修繕積立金が値上がりすることも!
どのような建物でも、経年劣化していきます。
また、新築時は最新の設備でも、年数を追うごとにさらに新しい設備が出てきます。
そうすると、古い設備のマンションをグレードアップさせるために工事することもあるのです。
そのマンションをグレードアップさせる工事については、大規模修繕計画では予定されていません。
つまり、グレードアップ工事費用は修繕積立金で賄えないということになります。
結果として、賄えない分、修繕積立金が値上がりするということになるのです。
ちなみに、グレードアップ工事はバリアフリー工事や玄関改修工事のことなどです。
セキュリティ強化のため、指紋認証型オートロックや防犯カメラを追加設置する工事もグレードアップ工事に含まれます。
さらには、遮音性能を上げるための窓サッシや玄関扉の交換工事も当てはまります。
それらの工事をすることで費用がかかってはしまいますが、マンションの住み心地がよくなるのも事実です。
さらには、マンションの資産価値の保持にもつながりますので、修繕積立金が値上がりしてしまうのもしょうがないと言えるのではないでしょうか。
修繕積立金が値上がりする際の流れ
マンションの修繕積立金の値上がりは、どのような流れで行われるのでしょうか。
まず第一に、マンションの区分所有者の承認なしに値上げされるといったことはありません。
基本的には、マンションの管理組合の総会で一定の賛成を得て決議されることによって、修繕積立金が値上げされることになります。
言い換えれば、一定の賛成を得ることができなければ修繕積立金の金額は変わらないということになります。
この件に関しては法律で定められています。
ただし、区分所有者に修繕積立金の決議について連絡しているのに、なんの応答もないなどの場合は別です。
そのため、マンションの管理組合からなんらかの連絡がある場合は、しっかりとその内容について確認することをおすすめします。
ちなみに、修繕積立金の値上げの反対をすることももちろん可能です。
しかし、修繕積立金はマンションの修繕工事に必要な費用を集めるためのものですから、修繕工事ができないことで最終的に自分自身が不利益を被ってしまうことも念頭に置いておく必要があるとも言えるでしょう。
マンションを売却しても修繕積立金は返金されない!?
ここまで、マンションの修繕積立金の値上がりに関することをお話ししてきました。
ここで素朴な疑問ですが、マンションを売却する際はこれまで支払ってきた修繕積立金は返金されるのでしょうか。
結論から言うと「NO」です。
修繕積立金は、マンションの管理組合のものとなります。
ですから、マンションを売却したとしても修繕積立金が返金されることはありません。
これは、さきほど少し触れました「修繕積立基金」も同様のことが当てはまります。
マンション購入時には、住戸購入代金だけではなく、修繕積立基金や毎月支払う修繕積立金や管理費などの支払いが必要になります。
しかし、売却時には住戸代金以外の費用に関しては返金されませんから、その件についてよく覚えておくようにしましょう。
マンションの修繕積立金が値上がりするには必ず理由がある
マンションの修繕積立金は、将来の大規模修繕のための積立金です。
当初の設定金額より値上がりすることもありますが、その背景には必ずなんらかの理由があります。
修繕積立金はマンションを維持するための資金で、言うならばマンションの資産価値の保持にもつながります。
そのため、修繕積立金の値上がりをはなから反対するのではなく、しっかりと値上げの理由を勘案したうえで意見を述べたいものです。