明るい部屋の窓の高さとは?適切な位置は床からどれくらい?

マイホームを建てることを考えるとき、なにより気になるのが間取りです。

家族構成や生活パターンに合わせて暮らしやすい家にするためにアイデアを出していく中で、意外と忘れてしまうのは窓の存在です。

この窓のことを蔑ろにしてしまうと、新居ができあがってから室内が暗い、空気が籠るなど、不便になってしまうこともあります。

窓の設置を考えるとき、適切な位置や床からの高さはどのように判断すればいいのでしょう。

一般的な窓の高さ種類

窓の設置について考える前に、基本的な窓の高さについて触れておきましょう。

一般的な住宅の窓は大きく分けて3つのパターンに分けられます。

一つずつご紹介していきます。

●高窓

壁面の上のほう、ほとんどのものが肩から上に設置されます。

高い位置にあるため、採光の目的で作られます。

●腰窓

床から約80㎝の位置に作られる窓のことです。

ダイニングテーブルなどと同じ高さにあり、とても多い高さの窓です。

採光、換気用の目的で作られます。

●掃き出し窓

床からの高さはあまりありませんが、全体に大きく設計されていてベランダやバルコニーに出られる窓の総称です。

このような3つのパターンに分類されますが厳密な決まりはなく、高さや大きさは自由に決めることができます。

窓は家の中の明るさだけでなく、住みやすさや居心地の良し悪しも左右しますので、慎重に考えたいですね。

新築なのに部屋が暗いのは窓のせい?

リビングやキッチンなど主要な間取りを考え、窓にも配慮したにもかかわらず部屋が暗くなってしまうという話を耳にします。

寝室など光の入り方が少なくても良い部屋なら問題ないのですが、大きな窓を設置した子供用の部屋が暗くなってしまうことが多くあるようです。

窓を設置する一番の目的は採光のためです。

では、なぜ窓の設置をしたにもかかわらず部屋の中が暗くなってしまうのでしょうか。

それには、窓に対する次のような勘違いが関係しています。

・大きな窓が1つあれば十分

・壁面の中心に設置すれば明るくなる

・目線の高さに合わせた窓をつくればいい

部屋の位置にもよりますが、どの部屋にもこのような考えで窓を設置したのでは、明るい室内は実現しません。

窓を有効に設置し、部屋を明るくするには日照時間や光のはいる角度についても考えなければならないのです。

子供の部屋にある窓が1つで、なおかつ床からそれほど高くない位置にある場合、外からの光は部屋の真ん中くらいまでしか届きません。

日中の光は、ほとんどが真上から差します。

そのため窓付近にしか有効な光が入らず、窓のない壁面付近が暗くなり、室内の明るさが確保できないのです。

明るい部屋を作るのであれば東か南の面に窓が設置できるように配置しましょう。

また、窓の高さをできるだけ高めにし、2方向から光が入るように1部屋に2つの窓を取り付けるとより明るい部屋になります。

住みやすさにつながる!適切な高さは床からどれくらい?

生活するパターンによっても窓の高さは変わってきます。

食事を座敷でとるなどの和室での生活が多い場合は、あぐらなどの姿勢になるため目線や座る位置が低くなります。

このような生活環境では、あまり高い位置からの光が多いと手元が暗くなるので、窓の位置を床からあまり離さず設置することをおすすめします。

一方、食事はダイニングテーブルでとりソファでくつろぐといった洋室での生活がメインの場合は、窓の位置はダイニングテーブルの高さより上になるように設置します。

このように、普段の生活がどのようなものか、座った時の目線の高さはどれくらいになるのかまで考慮して窓の位置を決めましょう。

さらに、住環境をよくするためには風が抜けていくよう配慮する必要があります。

大きな窓は明るさと風通しのよさの2点を補うように見えますが、部屋に1つの窓しかないと外からの空気が抜けるところがなく、室内の空気が籠ってしまいます。

明るさの他に、風の入り口と出口を確保することも、住み心地の良さに繋がっていきます。

床からの高さを工夫して和室に明るい光を

家を建てるときには、家族の生活パターンによって室内の明るさを考慮する必要があります。

たとえば高齢の親と同居することになったとき、どこか一室に和室を設けてあると親たちの落ち着く空間を用意することができます。

そうでなくても、家族がリラックスする部屋として和室を作る場合もあります。

そういったとき、和室の窓はどのような位置に設置するのが良いのでしょうか。

前項でもお伝えしたとおり、和室の窓の高さは低めに取り付けるのが基本です。

洋室のような高さの窓を取り付けてしまうと、ある程度の明るさは確保できてもどこか薄暗い部屋になってしまいます。

和室では寝転がったり畳に直接座ったりして過ごすので、腰高窓を付けるような場合でも床からの高さは60㎝程度にしておきます。

こうすることで、部屋の中で座ってくつろいだ時にちょうど良い明るさになります。

床からの高さ注意して窓の位置を考える

室内の明るさを確保するために、階段や天井に窓を取り付けることがあります。

天井の窓は、位置が高いので開閉できないタイプの窓を取り付けることも多いのですが、階段の窓は縦すべり窓などのドアのように開くタイプのものを取り付けている家も増えてきています。

階段のような高い位置に窓があると、室内が明るくなりますし、さらに開閉できれば換気することも可能です。

このようなメリットの多い階段の窓ですが、床からの高さに注意しないと、できあがってからとても使いにくいものになってしまいます。

窓の高さは、ひとつひとつ設定することができますが、業者との打ち合わせ時に何も指定もしないと床面から2mの高さに窓の上端がくるように設計されることがあります。

フラットな床であれば、開けやすい位置に設置されることになるので何の問題もありませんが、これが階段となると話は別です。

2階の床からの高さでこのような設計をしてしまうと、取り付け後に実際に窓の開閉をしようとしたときに、ハンドルに手が届かない事態が起きてしまいます。

「窓の高さなんていちいち指定できない」と思うかもしれませんが、設計の時点できちんと考えておかないと暮らし始めた時に大変な思いをすることになってしまいます。

自分たちが住むための家作りですから、手を抜くことなく取り組みましょう。

窓の高さや位置の他に部屋を明るくする工夫

窓の位置や高さに気を付けても、実際に作られた家の室内が暗く感じてしまうときは、壁や家具の色を工夫して明るい部屋にすることができます。

設計の段階で部屋のある方角などから自然光が取り入れにくいことが分かっているのであれば、壁紙や天井の色は必ず白かもしくは明るく光を反射するものにしましょう。

家具についても、光を跳ね返す明度の高い色合いのもので揃えると、少しの光しか入らない部屋でも明るく保つことができます。

また、光が届かない部屋の隅を間接照明などをつかって照らすことでも、明るい空間にすることができます。

部屋の隅、特に床から近い壁面を明るくすることで、空間に広がりも出ます。

そして、特に子供の部屋にありがちなのが、壁紙を色の濃いものや派手な柄のものにしてしまい、かえって暗い部屋になってしまうというものです。

確かに子供部屋は壁に落書きされてしまったり、さまざまな理由で汚れやすい部屋ではありますが、汚れを恐れてせっかくの子供部屋を暗くしてしまうのはもったいない事です。

たとえひどく汚されてしまったとしても、壁紙の交換はそれほど費用のかかるものではありません。

子供の過ごしやすさにも気を配ってあげたいものです。

窓の配置にも気を配り快適な空間を目指そう

家づくりには間取りや家族の生活導線など、たくさんのことを考えなければならずとても大変な作業になります。

特に窓の高さや配置は過ごしやすさと深く結び付く事柄ですので、「こうしておけばよかった」と思うことのないように熟慮する必要があります。

本記事でご紹介したことをぜひ参考にして、今後の家づくりに役立ててください。