地震が多い日本では、耐震性が重要視されています。
住宅の基礎となるコンクリート部分にひび割れを見つけたら、家の耐震性に不安に感じてしまうのも仕方ありません。
この記事では、住宅の基礎部分にできるひび割れに関しての基礎知識について解説していきます。
住宅の基礎部分にひび割れができる理由とは?
そもそも、どうして住宅の基礎部分にひび割れができてしまうのでしょうか。
それには、いくつかの要因があります。
●気温
基礎部分はコンクリートでできていますが、コンクリートは性質上、気温の急激な変化に対応しきれないときがあります。
例えば、日中は暖かく、夜になって気温がかなり低くなるようなときは、コンクリートは縮んでしまうことがあります。
その際に、コンクリートがその力に耐えきれず、ひび割れができてしまうのです。
●乾燥
基礎部分のひび割れが起きる多くのケースは、この「乾燥」が原因です。
コンクリートには水分が含まれています。
しかし、乾燥することによってその水分が蒸発し、コンクリートが収縮します。
そのため、やはりその力に耐えきれずひび割れができてしまうのです。
●不同沈下
不同沈下とは、住宅が一方向に向かって斜めに傾く状態のことをいいます。
住宅が斜めに傾くことが原因で、基礎部分が耐えられなくなり、ひび割れができてしまいます。
これは、地盤があまり強くないところで起きる可能性のあるものです。
不同沈下が起きてしまうと、基礎部分にひび割れができてしまうだけではなく、日常生活そのものにも悪影響を及ぼす可能性さえあるものです。
●地震
一般的には、かなりの大地震ではない限り、基礎の構造にまで影響が及ぶようなひび割れが起こる可能性は低いと言われています。
しかし、もしも基礎の構造部分に問題があれば、大地震ではなくてもひび割れが発生する可能性もあります。
住宅の基礎部分にできたひび割れは放置しても大丈夫?
何らかの原因でできてしまった住宅の基礎部分のひび割れは、そのまま放置しておいても大丈夫なものなのでしょうか。
結論から申し上げますと、放置することはすすめられません。
もしも、基礎部分のひび割れを放置しておくと、そこから雨水が入り込んでしまう可能性があるのです。
雨水が入ることによって鉄筋が錆びるうえ、ひび割れもさらに広がってしまうかもしれません。
また、ひどいひび割れを放置してしまうと、基礎の強度が建設当時より劣ってしまい、住宅を支えきれなくなってしまうことも考えられます。
基礎部分が住宅を支えきれなくなると、住宅が傾いてしまうことも考えられます。
さらには、その状態のまま大きな地震が発生してしまうと、倒壊の可能性すらはらんでいます。
少しのひび割れであれば、基礎の強度をすぐにおびやかすものではないケースが多いです。
(ちなみに、「少しのひび割れ」の一般的な基準は「幅が0.3mm以下」の「ヘアークラック」と呼ばれるものです。)
しかし、ひどいひび割れに関しては、放置せずなるべく早めの対処をすることをおすすめします。
基礎部分に雨水が入り込んでいるサインとは?
前の項では、住宅の基礎部分のひび割れから雨水が侵入すると鉄筋が錆びてしまい、ひびが広がってしまう可能性があることをご説明しました。
しかし、雨水が基礎部分のコンクリートに侵入しているかどうか、判断するのは素人では難しくもあります。
そこで、見た目で簡単にわかるサインをご紹介します。
それは「雨の跡」です。
コンクリート内に雨水が入ってしまっている場合、その周辺に雨染みが発生しています。
ひどい状態のときは、鉄筋のサビが一緒に流れ出て、雨染みが赤茶色くなっています。
そのようなときは基礎の構造自体に不安がありますので、補修が必要となるでしょう。
ただし、コンクリートの性質上、防水性に乏しいことから、ひび割れが発生していなくても雨染みが発生することもあります。
そこで問題のない雨染みについてご説明します。
構造上問題のない雨染みとは、基礎コンクリートの上に塗布した防水モルタル部分にひびが入り、雨染みのような雰囲気に見えてしまうことがあります。
しかしながら構造上問題ない雨染みなのか、そうでないのかは素人では判断が難しいでしょう。
雨染みを見つけたら、ひび割れのサインかもしれませんから、専門業者に点検を依頼しましょう。
住宅の基礎部分の「ひどいひび割れ」はどの程度のもの?
住宅の基礎部分にできるひどいひび割れとは、いったいどの程度のものなのでしょうか。
ひび割れの大きさを確認する際は、「クラックスケール」を用意します。
クラックスケールは、ホームセンターなどで購入することのできる、ひび割れの幅、深さを計測することのできるアイテムのことです。
「幅が0.3mm以上で深さが4mm以上のひび割れ」があると、基礎の構造部分にも不安が出てきます。
このひび割れは「構造クラック」や「貫通クラック」とよばれています。
構造クラックや貫通クラックは、基礎内部の鉄筋にまでひびが入ってしまっている状態です。
このひび割れを補修せず放置すると、雨水が入ることによって鉄筋が錆びるうえ、ひび割れもさらに広がってしまう可能性さえあります。
また、基礎部分の上下に貫通してひび割れがある場合も補修が必要でしょう。
小さなひび割れでも、近い場所に複数ある場合には基礎の構造に影響を及ぼす可能性がありますので、注意が必要です。
ひび割れを見つけた際の対処法は?
住宅の基礎部分にひび割れを見つけた際、どう対処したらいいのでしょうか。
少しでも費用を抑えたいという理由から、自分自身で補修したいという方もいらっしゃるかもしれません。
しかし、ひび割れがどの程度のもので、どのような補修が必要となるのかの判断は難しいものです。
「大したひび割れじゃなさそうだから」と、自分自身で補修したことで、かえって基礎部分に悪影響を及ぼす可能性もあります。
そのため、もしもひび割れを見つけたら、できるだけ専門業者に補修をお願いするようにしましょう。
ひび割れの補修方法はいくつかあり、ひび割れなどの状態によってそのケースに最適な補修方法が選ばれます。
業者ごとで費用も異なりますので、各社に問い合わせてみることをおすすめします。
基礎部分にひび割れを見つけたら住宅全体もチェック!
住宅の基礎にひび割れがある場合、他の場所にも問題がある可能性があります。
例えば、外壁、内壁や天井、床などです。
外壁のひび割れも、乾燥や不同沈下などが原因で起こるとされていています。
つまり、基礎部分のひび割れの原因が乾燥ということが考えられるのであれば、外壁も確認する必要があると言えるのです。
内壁や天井、床などにひび割れが起こる原因は、地盤沈下や不同沈下である場合もあります。
また、地震や台風の強風などでもひびが入ってしまうこともあります。
(クロスや下地材、構造材などの施工方法が原因でひび割れが起こることもあります。
)
基礎部分にひびがある場合は、他の場所にもひび割れが起きていることも考えられます。
そのため、基礎部分にひび割れを見つけた場合には、家全体をチェックすることをおすすめします。
そして、なるべくはやめに専門業者に補修を依頼するように心がけましょう。
また、ひび割れの程度がまだ広くないうちに発見できる可能性が高まりますので、定期的に住宅全体をチェックすることをおすすめします。
住宅の基礎部分にひび割れを見つけたらはやめに対処を!
もしも、住宅の基礎部分にひび割れを見つけたら、小さなものでもはやめの対処をするようにしましょう。
特に、幅が0.3mm以上で深さが4mm以上のひび割れは、基礎の構造部分にまで悪影響を及ぼしていることも考えられます。
そのような場合は、早急に専門業者に補修を依頼することをおすすめします。