新築の建物が完成した際には、登記をする必要があります。
新築住宅の完成ともなると、他にもさまざまな手続きで大変かもしれませんが、家という大切な資産を守るためにもとても重要な手続きとなります。
登記に必要なものや手続きなど流れをしっかりと把握して、準備を進めていきましょう。
新築した時の登記の流れを把握しよう!
土地や建物などの不動産を取得した場合には、必ず「不動産登記」という手続きが必要になります。
不動産登記は、土地や建物の所在や面積、所有者の住所・氏名などを登記簿に記載して一般公開するためのものです。
そうすることにより、権利関係などの状況が一目瞭然となり、不動産取引の安全と円滑をはかる大きな役割を果たしています。
新築住宅の登記の場合、土地と建物の登記は別々に行います。
土地は購入した後すぐに手続きができますが、建物に関しては、新築の建物が完成してから1ヶ月以内となっているので注意が必要です。
新築の建物の登記の主な流れは以下の通りです。
①建物表題登記
②所有権保存登記
③抵当権設定の登記
大体の流れとしては、この3つとなります。
新築住宅の登記は、住宅ローンを組んだ際に銀行やハウスメーカーが指定する司法書士や土地家屋調査士が行ってくれますが、自分で手続きすることも可能です。
ローンを組まない場合でも、司法書士や土地家屋調査士に依頼することも、自分で手続きすることもどちらも可能です。
ただし、銀行やハウスメーカーによっては指定の司法書士等が決まっていたり、手続きの遅延の可能性が出たりすることから、個人での登記に難色を示すケースとなる可能性もあるので確認を取りましょう。
自分で登記をする場合には、法務局の登記相談窓口で相談してみるのもおすすめです。
以下、それぞれについて詳しくご紹介していきます。
新築時に重要な「建物表題登記」の流れ
新築した建物は記録がない、つまり登記がされていない状態です。
ですので、どのような建物であるのかを申請しなければなりません。
「建物表題登記」とは、建物の登記記録の表題部を新しく記録する登記のことです。
表題部には、建物の所在、建物の家屋番号、建物の種類・構造・床面積、所有者などが記録されます。
前述したように、新築工事完了の後は1ヶ月以内に、建物表題登記を申請しなければなりません。
不動産登記法でも、もし申請を怠ると10万円以下の過料を処すこととなっています。
期日を過ぎて処罰を受けた人はいないようですが、義務として定められていますし、手続きを怠ることがないようにしましょう。
自分の資産を守っていくために、手続きの流れの中でも重要な登記のひとつです。
しっかりと、そして速やかに手続きを行うことをおすすめします。
ちなみに、建物表題登記には、登記などについて課せられる国税である「登録免許税」はかかりません。
新築建物には必須の登記「建物表題登記」に必要な書類
新築建物の建物表題登記に必要な書類は以下の通りです。
・登記申請書
・所有権証明書(建築確認済証、建築確認申請書、建築確認完了検査済証、建築引渡証明書)
・住民票
・建築図面・各階平面図
・案内地図
・委任状(代理人が申請を行う場合)
各種事情や管轄エリアによって、ルールや必要な書類は異なる場合もありますので、手続きの流れの中で不明な点がある場合は申請する各法務局の相談窓口に確認しましょう。
自分で準備を行う際に一番手間がかかるのが「建築図面・各階平面図」のようです。
図面を描く以外にも、法務局へ行ったり書類を揃えたりする手間はありますが、自分でもできる手続きなのでチャレンジしてみてもいいかもしれませんね。
また、建物表題登記の手続きは土地家屋調査士に依頼することもできます。
依頼した場合、建物表題登記の報酬額の相場としては、おおよそ8万円~15万円前後となるようです。
新築時に「所有権保存登記」をして資産を守ろう!
「所有権保存登記」とは、新築建物が完成して所有権がまだ設定されていない建物に、最初の所有権を設定するために、最初の所有者が行う手続きのことです。
建物表題登記を行った時点で、一応所有者が誰であるかは記載されてはいます。
ですので、保存登記は表題登記と異なり、必ずしもやらなければならないものというものではありません。
しかしながら、保存登記をしていないと売買や相続・抵当権の設定や抹消などの不動産権利関係の手続きができないので、ローンを組む際には必須の手続きとなります。
この所有権保存登記をすることで所有者に対抗要件が備わり、「新築建物は自分が所有者である」ということを第三者に主張することができるようになります。
建物表題登記のみでは「誰が所有者なのか」という情報というだけですので、何かあったときには心許ないのです。
第三者に対抗(主張)し資産を守るためにも、新築時の登記の流れで所有権保存登記はしておいた方が安心であるようです。
また、所有権保存登記には「新築物件の評価額×0.4%」の登録免許税がかかります。
条件を満たした場合には軽減措置も受けられますので、自宅の状況をしっかりと調べましょう。
新築建物の所有権を明確にする「所有権保存登記」に必要な書類とは?
新築建物の所有権保存登記に必要な書類は以下の通りです。
・保存登記申請書
・登記事項証明書または表題登記済証
・建築確認済証
・住宅用家屋証明書(市町村役場にて事前に手続きをし、発行)
・登録免許税納付用台紙(法務局にて登録免許税分の収入印紙を購入→台紙に貼付け)
・住民票
・委任状
所有権保存登記には登録免許税がかかります。
住宅家屋証明書を添付すると登録免許税が軽減となるので、管轄の市町村役場で手続きをして発行してもらいましょう。
所有権保存登記は自分で行うこともできますが、一般の流れとしては司法書士に依頼することが多いようです。
ただし、土地家屋調査士は士業として請け負うことはできません。
保存登記を司法書士に依頼した場合の報酬額の相場は、おおよそ2万円~3万円程度となるようです。
住宅ローンを組むなら必須!「抵当権設定登記」とは?
新築で建物を購入する際、多くの人が住宅ローンを利用するのではないでしょうか。
「抵当権設定登記」とは、銀行が貸したお金を確実に・最優先で回収できるようにするためのものなので、住宅ローンを借りるときに行わなくてはならない必須の登記となります。
担保として建物や土地を設定することで、ローン返済が滞って返済が困難となった場合に、銀行は建物や土地を競売にかけて資金を回収することができるようになるのです。
ちなみに、住宅ローンを組んでいない場合にはこの手続きは行う必要はありません。
それでは、抵当権設定登記に必要な書類の紹介です。
・登記申請書
・印鑑証明
・登記原因証明情報または抵当権設定契約証書
・資格証明書(金融機関より交付)
・権利証または登記識別情報
・登録免許税納付用台紙(法務局にて登録免許税分の収入印紙を購入→台紙に貼付け)
・委任状
抵当権設定登記は自分自身で行うこともできますが、金融機関は難色を示すケースが多いと聞きます。
住宅ローンに必須の登記となるので、その後の資金の流れがスムーズに進むためにも、一般的には銀行やハウスメーカーが指定する司法書士に依頼して行うことが多いようです。
抵当権設定登記にも「借入額×0.4%」の登録免許税がかかります。
こちらも条件を満たす場合には軽減措置を受けられるのと、特例など年度によって異なる場合もあるので、国税庁ホームページか法務局等で確認するのがおすすめです。
抵当権設定登記を司法書士に依頼した場合の報酬としては、おおよそ3万円~5万円程度となるようです。
抵当権設定登記にかかる全体の費用としては、ローンの借入金額や住宅ローン商品によってばらつきがありますので、自分の状況をしっかりと確認することが必要となります。
新築の時に必要な登記の流れを把握してスムーズに手続きしよう!
建物を新たに取得するにあたって、さまざまな手続きを次々とこなしていくのは本当に大変ですよね。
自分で手続きする場合でも、司法書士などに依頼する場合でも、しっかりと流れを把握し、準備をしたうえで手続きを進めることが重要です。
自分の状況や年度によって異なってくるものもあるので、最新の情報を確認しながら、スムーズな手続きを心がけるようにしましょう。