合筆登記のノウハウ!合併して土地を所有する方法とは

いくつかに分筆された複数の土地を所持していた場合、それを一筆にまとめる作業を合筆といいます。

その合筆をするために行う登記を合筆登記といい、この場合には登記の目的の欄に「合併による所有権登記」という記載がされているはずです。

今回は、この合併による所有者登記について、さまざまなノウハウをご紹介します。

合併による所有者登記とはどのようなことをいうのか

土地の境界線は目には見えませんが、同じ地番の土地でも一筆、二筆と別れているケースがあります。

それは、相続などの何らかの事情によりそのような形がとられていることがあります。

例えば、亡くなった親の土地を何筆かに分けて、複数の被相続人で分けたというのはよくある話でしょう。

他にも、所有者は同じでも売却のためなどに土地の一部を分筆しておくこともあります。

しかし、その分筆されている土地をひとまとめに合併するという状況も起こりえます。

これは、一度に土地の全てが売却にかかった場合などがいえるでしょう。

そのような場合に行う手続きを、合併による所有者登記といいます。

合併による所有権登記がなされていると、権利証や登記識別情報が発刊されます。

もしも、登記識別情報の「登記年月日」や「受付番号」が空欄となっている合併による所有権登記が存在した場合は、国土調査によって合筆されているので、合併による所有権登記をしても登記識別情報が発行されません。

その場合は、合筆前の権利証は登記識別情報を用意することになります。

登記簿謄本の目的欄に「合併による所有権登記」の文字があった時は、過去にいくつかの土地を合併して一つの土地にしてきたことを意味しており、これを登記上、合筆というのです。

土地を合併するメリット・デメリット

ここでは、複数の土地を一筆にまとめるメリットはどのようなものがあるかご説明します。

まず、土地を売却したりする際には登記事項証明書を発行しなくてはなりません。

その際に、一筆につき1.000円手数料がかかるので、何筆も持っていると費用の負担が増えます。

また、一筆にまとめていれば、非常に大切な権利証も一枚で済みます。

他にも、土地を売ることになった時に複数の土地があると、それぞれの土地の名義変更から所有者移転登記の費用もかさみます。

その点、複数の土地を合併してしまえば一筆で済み、諸手続きがスムーズにはかどることでしょう。

しかしながら、一点デメリットもあります。

それは、合筆されていると相続税の評価額は高くなる傾向があるということです。

その対策として、分筆しておくという考えもあります。

土地を合併させたい!それにはいくつかの条件がある!

合併は、どのような土地でもできるわけではありません。

それには、以下の条件がありますので覚えておきましょう。

●権利証の所在地番を確認して、字が同じ土地であること

●共有地も共有者と持分が全て同じ土地であること

●所有権登記されている土地、されていない土地同士であること

●隣接している土地同士であること

●登記も現地も同じ地目の土地同士であること

●抵当権などの権利の登記がないこと

抵当権に関しては例外があり、先取得権、質権、抵当権の内容が同じ土地同士であれば合併はできます。

これらを満たしていれば、隣接した土地同士を合併させることができます。

では万が一、所有権登記をされていない土地の場合はどうしたらいいのか次章で見ていきましょう。

所有権登記されていない土地はどうする?合併のためのポイント

土地は、全て所有権登記されていると思われがちですが、実は所有権登記がされていない土地というのもあります。

土地を売買した際には必ず所有権登記を行うため、不思議に思う方もいるかもしれません。

しかし、所有者が昔から変わっていない場合、所有権移転登記が必要ではなかった土地に関しては、登記されていないケースがあるのです。

その場合、登記の表題部には所有者が誰であるかの記載のみで、土地の地番や地目、地積の記載がありません。

そのため、所有権の移転登記を行って片方の所有者と同じ名義に変更してから手続きに進みましょう。

他にも、所有者が違う人物の土地の合併でも同じことがいえます。

例え夫婦や親子でも、所有者が違えば地番が同じであっても合併することはできないので、一度どちらかに所有者移転の登記をしてからということになります。

複数の土地を合併させるにはどれくらいの登記費用がかかるのか

複数の地続きの土地を所有しているならば、すべて合併させてしまった方が管理するのにスムーズであることは先にも述べました。

そこで、土地の合筆登記をご自身で行う方法をお伝えします。

業者に依頼すると、一例ですが2つの土地をまとめるだけで費用が3万円~6万円ほどの金額になります。

そこに、さらに数が増えれば費用が増しますが、自身で手続きを済ませられれば費用を抑えることができます。

以下で必要書類をご紹介しましょう。

・申請登記・・・・600円(土地1つにつき)
・公図の費用・・・500円程
・地積測量図・・・500円程
・登録免許税・・・1000円

合筆登記をするには測量がないので、法務局でこれらの書類を揃えるだけで登記が完了します。

自身で申請をすれば、このように数千円程度の費用で済みますので、かなり経済的です。

ちなみに、複数の土地をまとめると、一番若い地番の登記簿が手元に残り、他は無効となります。

申請してから1~10日前後で完了しますので、その後、申請書に捺印した印鑑を持参して権利証を受け取りに行きます。

わからなければ、法務局の窓口で確認してみてください。

土地を合併するにあたり気をつけることとは?

土地を合併するにあたって、気を付けなければならないこともあります。

それは、一度合筆してしまうと基本的には元に戻すことができないということです。

しかし、どうしても戻さなければならない場合は、改めて分筆登記を行います。

それには、境界確定の測量をしたりと多大な費用が発生することを覚えておきましょう。

また、注意が必要なのは、もしも亡くなっている方の名義の土地を合併する場合は、まず最初にやることは相続登記です。

相続人はすみやかに手続きを済ませましょう。

あくまでも、合筆登記というのは本人から申請を受けるということです。

まずは相続登記をして、すべての土地を同じ名義人にします。

それから合筆登記の申請を行うことができます。

相続登記は、早めに済ませておかないと相続人の人数が変わってしまうこともあります。

該当する相続人が増えていくと、全員から承諾のサインをもらう手間が要るなど、申請をするのに時間がかかってしまうかもしれません。

また、他の例として、今まで分筆されていた土地を合併することによって、固定資産税が上がってしまう可能性があります。

それには、もともと道路よりも奥まった場所の土地なので固定資産税が減額されていたのに、土地をまとめたことで「道路付き」とみなされて、固定資産税が跳ね上がるケースなどがあります。

土地をまとめて売却を望むのであれば合筆をしておこう

土地を売却する予定があるのであれば、分筆された土地は一筆にまとめておいた方が権利証も一つで済み、申請費用も1つの土地分で済むので費用を抑えることができます。

そして合筆する手続きは、測量がいらないため個人でも書類を揃えるだけで簡単にできることもわかりました。

もしも、分筆されている土地の所有者が異なる場合は、まずはどちらか片方の所有者に名義を揃えるか、持分が同等の共有名義にしてからスタートしてください。