ラーメン構造と壁式構造の違い!メリットとデメリットとは

建物に興味を持つと、ラーメン構造と壁式構造の違いについても、知りたくなってくるのではないでしょうか。

それぞれに、どのようなメリット・デメリットがあるのかご説明します。

「リノベーションしやすいのはどっち?」「地震に強いのはどっち?」などの疑問を解消していきましょう。

ラーメン構造とは?柱と梁で造られる

ラーメン構造と壁式構造の違いをご説明する前に、基本情報をおさらいしておきましょう。

「ラーメン」と言っても、建物の構造を指す場合は、食べ物ではありません。

ドイツ語で「枠」あるいは「額縁」という意味なのが「ラーメン」なのです。

ラーメン構造とは、柱(垂直に立てられた部材)と梁(水平に架け渡し、柱と柱をつなぐ部材)が強固に接合(剛接合)された構造で、建物自体の強度が高く、シンプルな造りです。

木造で必要となる部分を省き、柱と梁で支えていくため、鉄筋コンクリート造・鉄骨造で取り入れられます。

一戸建てだけでなく、高層マンションなどの大きな建築物でも使われる構造です。

日本の工法として知られている「在来軸組工法」と似ているようですが、「在来軸組工法」には斜め材が入りますので、構造的にははっきりとした違いがあります。

ラーメン構造はシンプルな構造なので、空間を広く使うことができますし、リフォーム時にもメリットがあります。

壁式構造は壁だけで建てられる構造!ブレース構造・トラス構造って?

一方、壁式構造とは、その名の通り「壁」で構成された構造です。

ラーメン構造が、柱と梁で造り上げていく構造なら、壁式構造は天井と床、壁といった「面」で建てられた建物の構造です。

鉄筋コンクリート造のマンションの低層階などで、よく用いられます。

基本的に、5階建て以下の建物が壁式構造だということはありません。

この他にも、ブレース構造、トラス構造などがあります。

ブレース構造とは、縦と横に部材を組み合わせていくラーメン構造とは違い、在来軸組工法と同様に斜め材が入ります。

柱と梁は溶接などで剛接合するのではなく、ピンなどでジョイント接合することになります。

トラス構造は、3角形を組み合わせる構造で、橋や、学校の体育館の屋根などを造るときに取り入れられます。

ラーメン構造と壁式構造の違いを知ろう!ラーメン構造の特徴

ラーメン構造と壁式構造の違いを知るために、それぞれのメリットとデメリットを挙げていきます。

まずは、ラーメン構造からです。

●メリット

・リフォームしやすい

斜め材などはなく、柱と梁だけで構成されていますので、さまざまなリフォームができます。

玄関リフォームや、間取りの変更などの大掛かりなリフォームができるでしょう。

・強度が高い

さきほども述べましたが、剛接合により建物の強度が高くなっています。

柱や梁を太くすれば、超高層マンションを建てることができます。

●デメリット

・壁が薄い場合もある

「枠」がしっかりしている分、壁が薄くても建てられてしまいます。

壁が薄いと、騒音問題などが起こりやすいでしょう。

・横揺れに弱い

強固な建物であることは間違いないのですが、横揺れの際に補強となる斜め材がないため、強い揺れには弱いと言えるでしょう。

・柱や梁が見えてインテリア性が損なわれる

建物の内部から見える柱があると、家具を置きにくいと感じたり、いまいちスッキリ見えないということがあります。

しかし、アウトフレーム工法やアウトフレーム逆梁工法など、室内から見える柱、梁の凹凸をカバーする工法もあります。

壁式構造のメリットとデメリット

ラーメン構造のご説明の次に、壁式構造のメリットとデメリットをご説明しますので、違いを見つけてみてください。

●メリット

・スッキリとした空間

柱や梁の凸凹感を感じさせない、広々と見えて、スッキリとした空間造りが可能です。

家具の配置を邪魔することもありません。

・耐震性に優れている

「面」で構成されている壁式構造の耐震性が高いということは、過去の大震災の際に倒壊しなかった建物を調べたことにより証明済みです。

・壁に厚みがある

耐力壁という厚みのある壁で造るため、遮音性・防音性に優れています。

断熱性が高い点もメリットと言えるでしょう。

●デメリット

・リフォームしにくい

壁そのもので支えている構造なので、壁に大きな穴をあけるような大掛かりなリフォームは難しくなっています。

窓を新しく作ることや、間取りの変更などもできないでしょう。

・建てられる建物の高さに制限がある

基本的に、15メートルまでの高さの建物にしか用いられません。

ラーメン構造と壁式構造の違いを掘り下げ!見分けるポイントは?

ラーメン構造と壁式構造、それぞれのメリット・デメリットをお伝えしました。

将来的に、間取りの変更などの大きなリフォーム、リノベーションを考えているのであれば、ラーメン構造の建物がいいでしょう。

3LDKを2LDKにして開放感あふれるリビングや、バリアフリー住宅へのリフォームなど、大変身させることができる構造です。

一方、耐震性にこだわりたいのであれば壁式構造のほうが魅力的です。

この2つの構造の違いは、外観からは分かりにくいものです。

不動産会社の物件情報にも、RC造やSRC造、木造などの情報はありますが、構造についてはくわしく書かれていません。

もし、どちらの構造なのかを見極めたいと思ったら、間取り図を観察してみてください。

室内に柱と思われる凹凸があれば、少なくとも壁式構造ではないわけです。

逆に、柱の出っ張り部分が無い場合には、壁式構造の可能性があります。

中に入ることができたなら、さらに見分けやすくなります。

部屋のすみや天井などを観察し、柱があるか無いか観察することで見分けることができる場合もあるでしょう。

また、前述したように、もし階数が6階以上のマンションなら、壁式構造ではなくラーメン構造で造られた可能性があります。

壁式ラーメン構造もある!さまざまな工法の違い

ラーメン構造と壁式構造は、どちらにもメリット・デメリットがありますので、優先したいことを考えて選んでください。

実は、「壁式ラーメン構造」という構造もあります。

平たい柱を使って建てていく工法で、壁式構造ならではの耐力壁を、場所によって使い分けることが可能です。

最後に、ラーメン構造のご説明のときに、「アウトフレーム工法」、そして「アウトフレーム逆梁工法」という構造を挙げましたので、この違いを簡単にご説明します。

アウトフレーム工法は、柱や梁が、内部ではなくベランダに出っ張るように設計する方法です。

ベランダは柱の分だけ狭くなりますし、梁があるため窓は小さくなります。

そして、アウトフレーム逆梁工法とは、梁をスラブ(鉄筋コンクリート造の床・屋根)の上に乗せる工法です。

これにより大きめの窓が作れますが、耐震性が低くなるのが難点です。

耐震性を高めるために、建設費が高くなってしまうこともあるでしょう。

ラーメン構造と壁式構造の違いを覚えよう

ラーメン構造はリフォームしやすく、高層マンションでも用いられる構造です。

ただし耐震性が比較的弱く、壁が薄い場合があります。

一方、壁式構造は、横揺れに強く頑丈で遮音性や断熱性に優れていますが、間取りの変更などのリフォームは難しくなります。

見分けたいなら、部屋のすみや天井に柱や梁の凹凸があるか確認してみてください。

また、階数にも注目してみてくださいね。