新築住宅の手続き中で、必ず行わなくてはならないのが「登記」です。
新築住宅の登記では、金融機関などが指定する司法書士等が手続きするのが一般的ですが、全てを依頼すると何十万円ともなってしまいます。
なるべく費用は抑えたいものですが、自分でできる手続きはあるのでしょうか。
登記の手続きの内容や、自分でできる手続き・できない手続きなどを確認していきましょう。
新築に必要な登記とは?
そもそも「登記」とは、ある一定の事項についての権利関係を社会に広く公示するためのものです。
その中でも不動産登記とは、土地や建物などについて「どのような土地・建物なのか」「だれが所有しているのか」などを法務局で登記することで、どのような不動産であるのかを証明してくれるものです。
新築建物の登記について、主なものは以下の3つです。
・建物表題登記
・所有権保存登記
・抵当権設定の登記
新築住宅の登記では、住宅ローンを組む金融機関や住宅メーカーが指定する司法書士などが手続きする場合が多いのですが、実は自分で手続きをすることも可能です。
しかし、条件によって自分で登記ができるものとできないものがでてきますので、後ほど確認していきましょう。
まずは、それぞれがどんな内容の登記なのかについて詳細を見ていきます。
新築に必須の登記「建物表題登記」とは
建物表題登記とは、新築した建物がどのような建物であるのかを申請する登記です。
新築工事完了の1か月以内には建物表題登記を申請しなければならず、不動産登記法では申請を怠った場合10万円以下の過料を処すこととなっています。
義務として定められており、手続きの中でも重要な登記の一つとなるので、速やかに手続きを行うことが必要となります。
新築物件の建物表題登記に必要な書類は
・登記申請書
・所有権証明書(建築確認済証、建築確認申請書、建築確認完了検査済証、建築引渡証明書)
・住民票
・建築図面・各階平面図
・案内地図
・委任状(代理人が申請を行う場合)
などが挙げられます。
管轄のエリアなどによって必要な書類が異なる場合があるので、申請する各法務局の相談窓口で確認しながら準備を進めていくのがおすすめです。
建物表題登記は、土地家屋調査士に依頼することが可能です。
建物表題登記の手続きを自分で行うのではなく、土地家屋調査士に依頼した場合の報酬額としては、おおよそ8万円~15万円前後となるようです。
義務ではないけどした方がいい「所有権保存登記」
所有権保存登記とは、最初の所有者が所有権を設定する手続きのことです。
建物表題登記にも所有者が記載されてはいますが、建物表題登記のみでは確実ではありません。
この登記をすることで所有者に対抗要件が備わって、「新築建物は自分が所有者である」ということを第三者に主張することができるようになります。
住宅ローンを利用する際には必ず必要となる所有権保存登記ですが、法律上この登記は義務ではありません。
しかしながら、資産を守るためにも、所有権保存登記はしておくのがおすすめです。
新築建物の所有権保存登記に必要な書類は
・保存登記申請書
・登記事項証明書または表題登記済証
・建築確認済証
・住宅用家屋証明書
・登録免許税納付用台紙
・住民票
・委任状
などが挙げられます。
所有権保存登記の手続きは、司法書士に依頼することが可能です。
保存登記の手続きを自分で行うのではなく、司法書士に依頼した場合の報酬としては、おおよそ2万円~4万円程度となるようです。
住宅ローンに必須の登記「抵当権設定登記」
抵当権設定登記とは、住宅ローンを借りる際には必ず行わなくてはならない必須の登記となります。
ただし、住宅ローンを利用しない場合には手続きをする必要はありません。
抵当権設定登記の手続によって担保として建物や土地を設定します。
返済が難しくなった場合、金融機関は建物や土地を競売にかけて資金を回収するようになります。
新築物件の抵当権設定登記に必要な書類は
・登記申請書
・印鑑証明
・登記原因証明情報または抵当権設定契約証書
・資格証明書(金融機関より交付)
・権利証または登記識別情報
・登録免許税納付用台紙
・委任状
などが挙げられます。
抵当権設定登記の手続は、司法書士に依頼することが一般的のようです。
抵当権保存登記の手続きを自分で行うのではなく、司法書士に依頼した場合の報酬としては、おおよそ3万円~5万円程度となるようです。
抵当権設定登記にかかる全体の費用としては、登録免許税などローンの借入金額や住宅ローン商品によってばらつきがありますので、自分の状況をしっかりと確認することが必要となります。
自分でできない手続きも?状況で変わる、自分でできる登記とは?
新築住宅の登記は税金など手続きそのものに費用がかかる上に、土地家屋調査士や司法書士などに依頼した場合にはそれなりの報酬額を支払う必要がでてきます。
なるべく費用は抑えたいものですが、全て自分でできるかというと、難しいものも存在するのが現状です。
実は、新築物件の登記については、住宅ローンを利用するかしないかによってできる範囲が異なってくるようです。
まずは住宅ローンを利用しない場合について確認しましょう。
新築住宅を住宅ローンを利用しないで建てた場合に必要なのは、建物表題登記です。
手続きの中で住宅メーカーや工務店から建築引渡証明書などを受け取る必要があるので、事前に建物表題登記を自分で行う旨を伝えておくとスムーズに進むでしょう。
また、建物図面・各階平面図が必要なので、作業時間などは余裕を持って設定しましょう。
新築登記の手続きの中で自分でできること
次に、住宅ローンを利用する場合について確認しましょう。
住宅ローンを利用する場合には、建物表題登記・所有権保存登記・抵当権設定登記のすべての手続きをしなければなりません。
住宅ローンを利用する際、リスク管理上の観点からも自分で手続きをするのは金融機関などが難色を示す場合が多く、司法書士に依頼するのが一般的な流れのようです。
万が一、手続きの不備などで担保設定ができなかったとなると金融機関は大きな損害となるため、専門家が手続きを行うよう金融機関側から依頼されると言われています。
また、所有権保存登記と抵当権設定登記はまとめて手続きすることが多いようです。
結果として、自分で手続きが可能なのは建物表題登記のみということになります。
ただし、建物表題登記にしても自分で手続きをするとなると金融機関や住宅メーカーから難色を示されるケースもあるようですので、しっかりと意思を伝えた上で相談するのがよいでしょう。
また、手続きを司法書士に依頼することで結構な金額を報酬として支払わなければならなくなりますが、実は、司法書士の依頼先により費用は大きく異なってきます。
新築住宅取得の際には住宅ローンはもちろん、その他の手続きや引っ越し・保険など、さまざまな場面で費用を支払わなくてはなりません。
登記の手続き自体が自分で出来ない場合にも、金融機関や住宅メーカーの紹介で依頼先の司法書士を安易に決めてしまうのはおすすめできません。
費用や手続きの内容などをしっかり確認・比較した上で依頼する司法書士を決めていきましょう。
自分の状況に応じて、新築の登記の手続きを行おう!
新築住宅の登記は司法書士等が行うのが一般的ですが、全てを依頼すると何十万ともなってしまいます。
なるべく費用は抑えたいものの、条件によって自分でできる手続き・できない手続きがありました。
自分でできる場合、自分で作成するものもあるので、早めの準備が必要です。
また、自分でできる場合でも依頼先によって大きく費用が異なってきます。
手続きの内容などをしっかりと確認した上で、依頼する司法書士を決めていきましょう。