普段、家の中で目にしている壁の断面がどうなっていて、どのくらいの厚さなのか気になったことがあるかもしれません。
当記事では、木造住宅の外壁と間仕切り壁(内壁)の厚さや構造、仕上げについてご紹介します。
腰壁の効果や壁の調湿機能、仕上げの選び方などの情報もお届けしますので、ぜひ参考にしてください。
厚さや種類が気になる「壁」!外壁・間仕切り壁それぞれの役割とは
木造の間仕切り壁について、厚さやデザインなどのお話をする前に、木造住宅の壁についての基本知識を書いていきましょう。
住宅は、工法によって「柱と梁」で家を支えるか「壁」で支えるか、ということが違ってきます。
一般的に、木造住宅では建物の骨となる柱や梁をしっかりと組み、それによって建物を支える構造になります。
壁そのもので屋根を支える工法もありますが、高い建築技術を誇る日本では、柱や梁で構造体を造っていく工法が多く選ばれてきました。
しかし、外壁、間仕切り壁(内壁)には、双方とも重要な役割があります。
以下でそれぞれの役割を見ていきましょう。
【外壁】
・断熱性
・遮音性
・プライバシー保護
・防火性
・気密性
・水密性
・耐震性
・耐候性
・耐衝撃性など
【間仕切り壁】
・遮音性
・プライバシー保護
・防水性
・防臭性
・手触りが良く視覚的に美しいことなど
材料は板、土、レンガ、コンクリート、石膏ボード、化粧合板などが使われます。
外壁材には耐候性などに優れた材料を使用することが求められますが、間仕切り壁はいろいろな素材で作れるため、よりデザイン性を重視した自由な壁にすることができます。
ちなみに「仕切り壁」は床に置く壁で、パーテーションに近いものになります。
間仕切り壁をリフォームで設置する場合には、消防署への届け出や設備の増設などが必要になることもありますが、仕切り壁なら建具として比較的手軽に作ることができます。
木造住宅の外壁と間仕切り壁の厚さ
次に、木造住宅の外壁と間仕切り壁の厚さについて見ていきましょう。
まず外壁ですが、外気に接する部分の壁に15mm~30mmを用い、下地は15~20mm、石膏ボードは9.5mmもしくは12.5mmのものが使われることが多いです。
中心には柱もありますので、その分も加わり、最後にクロス仕上げを施せば、さらに1mm程度厚さが加わります。
すべて合わせると、外壁なら約161.5~189mm程度が基準になるでしょう。
間仕切り壁であれば、クロス、石膏ボード、下地、柱、下地、石膏ボード、クロスという構成になり、外壁より薄くすることが可能です。
だいたい157~173mmくらいの厚さになります。
しかし、これは全国一律の厚さではありません。
特に、降雪地域の場合には、これよりも厚めに設定する必要があるのです。
雪が降ると屋根に積もり、建物に負荷がかかるため、それを支えきれるように強く建てる必要があります。
降雪地域の外壁は、約176~204mm、そして間仕切り壁は約172~188mmほどであれば大丈夫です。
柱は降雪地域以外は三寸五分(約106cm)ですが、降雪地域は四寸(約121mm)が使用されます。
両方の柱が使われることにより、同じ建物でも壁の厚さが場所によって違う場合があります。
上記は一例であり、構造や工法が違えば壁の厚さも異なることがありますが、降雪地域で厚めに設定されるということは変わりありません。
木造の真壁と大壁の違い!厚さを確保して機能性アップできる大壁が人気
木造住宅の外壁、間仕切り壁の厚さについてご紹介しました。
間仕切壁の構造は大きく分けて「真壁」と「大壁」に分けられます。
さきほどご紹介したのは大壁で、柱を内壁材で覆うように組み立てていくため、外観で柱が見えることはありません。
一方、真壁は柱と柱の間に壁を挟むようにして作っていきます。
古き良き和室では真壁が多く、純和風のイメージがあるでしょう。
大壁なら洋風なイメージになります。
真壁の場合、柱が丸見えになるため、柱自体の見た目にも気を配る必要があります。
見た目が美しくない柱だと、一気に安っぽい印象に見えてしまうこともあります。
しかし、大壁なら柱は隠されているので、丈夫であれば見た目にはこだわらずに選ぶことができます。
そうした理由でコストを抑えることができますし、厚さをとって吸音素材を入れたり耐力壁にすることができるので、大壁を取り入れる建物が増えています。
木造住宅の間仕切り壁の仕上げ方法はさまざま
木造住宅の間仕切り壁は、見た目や感触、厚さなども重要になりますが、仕上げによってそれが大きく左右されます。
もちろん、強度・耐久性・遮音性も大切ですが、仕上げのバリエーションについても調べ、自分の好みの仕上げを探すことがおすすめです。
例えば、壁に何も貼らずに素材をそのまま見せたり、塗装をしたり、クロスやタイルを貼って仕上げるなど、さまざまな方法があります。
壁の素材を見せる方法は、現し仕上げ(あらわししあげ)とも呼ばれます。
「割れ」や「節」が見られない無垢材が使われることが多いですが、予算に限りがあるなら、合板に薄い天然木を貼った、天然木化粧合板など使用することもできます。
また、腰壁を付けることもあります。
腰壁とは、大人の腰くらいの高さの、壁とは異なる素材を使った壁のことです。
腰壁により、のっぺりとした壁にアクセントが生まれて圧迫感を軽減でき、落ち着いた洋風のデザインになります。
真壁なら柱が見えることでコントラストが生まれますが、大壁の場合には単調だと感じることも少なくないため、腰壁が取り入れられています。
廊下など、家具を置かない分、壁の見える面積が広い場合に使用されることが多いでしょう。
塗って仕上げる間仕切り壁・貼って仕上げる間仕切り壁
現し仕上げの次に、塗壁用の素材を使った、塗装による仕上げについてもご紹介します。
日本では昔から、漆喰や珪藻土などの自然素材を、木造住宅の塗壁に好んで使用してきました。
漆喰は石灰石からできていて、調湿機能はないですが、独特の風情があります。
珪藻土については、粉末状の藻の殻である珪藻なら調湿効果が期待できますが、漆喰や土も混ぜて塗装材にすると効果は低くなります。
また、化学繊維や化学のりなどを混ぜる作り方もあります。
調湿機能を担うのは、仕上げというよりは下地になります。
下地が土壁で十分な厚さがあることによって湿度を調整する効果が生まれます。
次に、間仕切り壁にクロスやタイルを貼って仕上げる方法ですが、部屋の用途によって貼るものを選んでいきます。
居室ならクロス、バスルームならタイルなど、目的に合ったものを選びます。
クロス一つとっても、紙、ビニール、布などたくさんの種類があり、タイルにも陶器質や磁器質などさまざまなものがあります。
間仕切り壁で空間を効果的に演出
木造住宅で間仕切り壁を選ぶときに、その空間をどのような目的で使うか、ということを重視する人は多いでしょう。
「リラックス重視」のスペースか、「清潔感のある空間」にしたいのか、または「高級感ある雰囲気」に見せたいのか、目的はさまざまです。
間仕切り壁の素材によって、さまざまな空間を演出することができます。
石材や木材なら落ち着いたクールな空間に見せることができますし、触れた感触や見たときのイメージで「厚さ」、「硬さ」を感じさせます。
したがって、玄関や廊下、お客様をお通しするリビングなどで使われることが多いでしょう。
リラックス感を重視する寝室などでは、やわらかいイメージになるクロス仕上げでも良いかもしれません。
デザイナーズ家具やアート、照明器具を強調したいなら、間仕切り壁は背景と考えて、目立たせたいものを邪魔しないようにシンプルに仕上げるほうが良いでしょう。
間仕切り壁にはさまざまな効果がある
間仕切り壁には、遮音性、プライバシー保護、防水性などの他にも、インテリアに溶け込ませたり、空間を引き立たせたりする視覚的な効果があります。
厚さは降雪地域とそうでない地域とでは異なり、外壁よりは少し薄い素材が使われます。
柱が見える真壁にするか、柱を隠して機能的な壁にできる大壁にするか、選択肢があります。
また、現し仕上げを選ぶか、塗装やクロス貼りを選ぶかといった、仕上げに関しても好みのものを選ぶことができるでしょう。