木造と軽量鉄骨造の違いは?どちらが暮らしやすい?

住宅の購入を考える際はどこを重視しますか。

外観、間取りなど目で見て分かるところはもちろんのこと、耐火性、耐震性といった安全性も重要ですよね。

人生を共にする家ですから、断熱性や通気性などの住み心地も気になります。

実は建築構造によってこれらに違いがあるのはご存知でしょうか。

現在、戸建て住宅で主に用いられている建築構造は木造と軽量鉄骨造です。

大事な家作りで後悔しないために、それぞれの特徴をコストも併せてご紹介します。

木造、軽量鉄骨造とは?見た目で違い見分けられる?

まず、木造とは、建築の主要となる柱や梁に木材を使用している建築構造のことです。

昔から用いられている建築構造で、日本では馴染みが深く現在も最も多く施工されています。

木材を加工して、職人がそれを組み立てて建設する方法ですね。

次に軽量鉄骨造とは、木造で木材を使用している部分に鉄骨の鋼材を使用している建築構造のことです。

鋼材の厚みによって、重量鉄骨と軽量鉄骨に分類され、鋼材の厚みが6mm未満のものを軽量鉄骨、6mm以上のものを重量鉄骨と分類します。

軽量鉄骨造は柱も梁も細くなるため、筋交い(ブレースとも呼ばれ、斜めに通す細い鋼材のこと)で補強が必要です。

軽量鉄骨造は多くの場合、事前に工場で部品を生産し、現場で組み立てるプレハブ工法で建設します。

これら二つは建築途中の骨組みを見ればどちらの構造か一目瞭然ですが、すでに住宅として完成しているものの違いを一般の方が外見だけで見極めるのは困難です。

ただ、もし建売されているものなどでどちらの建築構造なのか気になる場合は、ハウスメーカーや工務店に聞くとすぐに教えてくれます。

通気性、断熱性の違いは?住み心地がよいのはどっち?

住みよい住宅にするには通気性や断熱性といった日常の快適さが重要です。

これらはエアコンの効き目にも関係してくるので、光熱費も左右しますよね。

木造と軽量鉄骨造ではその素材によってそれぞれ大きな特徴があります。

木造は木材を主に使用しているため、木材本来の特性がそのまま活かされます。

吸水性や吸湿性に優れており、通気性も良いです。

また、木材は熱も通しにくいため、断熱性が高く、外気温が室内に伝わるのを防ぐ事が出来ます。

暑い夏を涼しく、寒い冬を温かく過ごせるのが木造の利点ですね。

しかし、その一方で通気性が良いため気密性は低く、エアコンなどの冷暖房が効きにくいという欠点があります。

軽量鉄骨造は材料の鉄自体の熱伝導性が高いため、柱などを通じて外気温が室内に伝わりやすく、木造に比べると断熱性、通気性共に劣ります。

外張断熱などで緩和されるよう対応しているハウスメーカーも多いですが、外張断熱はコストと工期がかかるというデメリットがあります。

使用する断熱材や設置する窓の数など条件によって住み心地は違いますので、一概には言えませんが、日本の気候には木造が適しているでしょう。

木造と軽量鉄骨造、コストに違いはある?

住宅を建てる際には予算がありますよね。

木造と軽量鉄骨造のコストの違いについて考えていきます。

・建築費用

まず、建築費用は木造の方が安価ですみます。

軽量鉄骨も重量鉄骨や鉄筋コンクリートに比べるとコストは低いのですが、木造には敵いません。

・固定資産税

次に家を所有するなら維持費としては外せない固定資産税ですが、こちらも木造の方が安いです。

また、固定資産税は建物の評価が高いほど高いため、通常新築住宅は資産価値の低下に伴って年々低くなります。

しかし、軽量鉄骨などの鉄骨住宅は経年劣化の影響が少ないため、固定資産税がなかなか下がりません。

固定資産税は住宅を所有する限り払い続けなければならないので、これも大きいコストですよね。

・火災保険料

万が一に備えての火災保険ですが、火災保険は燃えにくい建物の方が保険料が安くなるため、こちらは軽量鉄骨の方が安いです。

ただし、木造でも耐火構造が施されていれば保険料が安くなります。

耐火性、耐震性は?木造と軽量鉄骨造は崩れ方に違いがある

日本は地震が多く、近年では数年に一度大きな震災が起こっているため、その度に住宅の耐火性・耐震性も注目されていますよね。

まず耐火性です。

木材の方がよく燃えるので、木造は火事に弱いイメージがあるかもしれません。

しかし、木造は燃えますが、まずは表面が燃えるだけで中心まで燃えるには時間が掛かります。

そのため、家屋はある程度持ちこたえる事ができ、逃げる時間を稼げます。

一方、鉄は火事になったときにはある程度の熱量を超えると一気に曲がり、ゆがんでしまうため、家屋が急速に崩壊する可能性があります。

次に耐震性です。

従来は軽量鉄骨造の方が力が分散するため、耐震性に優れていると言われていました。

しかし、現在は木造も軽量鉄骨造も耐震性にあまり違いはありません。

地震で家屋が崩壊するときは、柱や梁自体が割れるよりも、接合部分が外れて崩れてしまうことがほとんどになるからです。

むしろ、建築構造よりも柱と梁がしっかりと接合されているかが大事です。

防音性が高いのはどっち?

一戸建てですと、隣近所と壁が接しているわけではないので、音に関してはあまり気にしない方も多いでしょう。

しかし、同じ家に住んでいる家族間でも各部屋の生活音は気になるものです。

では、木造と軽量鉄骨造には防音性に違いはあるのでしょうか。

木造の方が音は伝わりやすいと言われていますが、実は軽量鉄骨造と大きな違いはありません。

防音性でいえば、壁の気密性が高い鉄筋コンクリート造が一番優れています。

防音性は建築構造の骨組みよりも、壁面や床、内部構造の素材や厚みの方が大切です。

壁や床に吸音材や緩衝材を使用すると、防音性を高めることが出来ます。

家族の中で音に敏感な方がいる場合、前もってハウスメーカーや工務店に相談すると良いでしょう。

また、間取りを工夫するのもいいかもしれません。

間取りの自由度や後々のリフォームは?

家族で暮らす住宅にとって、それぞれ家庭環境にあった間取りも大切ですよね。

建築構造によって間取りの自由度も変わってきます。

また、数年後にリフォームを考えるなら、その点も考慮しなければなりません。

まず、木造は木材の加工がしやすく比較的間取りも自由に決められます。

しかし、耐震性などを確保するためにも必要な柱や梁の数は決まっていますので、その点は気をつけましょう。

柱がほぼ無いような大きい間取りは木造では難しくなります。

リフォームに関しては、木造はリフォームもしやすいので後々のことも安心です。

次に軽量鉄骨造ですが、こちらは木造と違い注意が必要です。

プレハブ工法の場合、部品が工場で生産されているため、間取り、デザインは標準化されています。

また、軽量鉄骨造はハウスメーカー独自の施行が行われていることも多く、リフォームの際も施工したハウスメーカー以外だと断られることがあります。

自分の理想に合った住宅を選ぼう

木造も軽量鉄骨造それぞれ特徴に違いはあるものの、明らかな優劣はなく、どちらを選んでも問題はありません。

一番大事な事は自分が何を重視するのか、どんな家に住みたいのかのイメージをはっきりと描くことです。

それから、そのイメージにあった条件の建築構造を選びましょう。

特に間取りや防音などの要望やこだわりがある場合は、事前にしっかりとハウスメーカーや工務店に相談することが大切です。

予算も含めて、満足のいく理想のマイホームになるといいですね。