マイホーム購入は大抵一生に一度のことなので、設計からこだわる人が多いでしょう。
そして家づくりで人気なのがロフトです。
しかし一口にロフトと言っても、建築基準法上高さや床面積に制限があることをご存知でしょうか?
制限を知らずにロフトを作ると思わぬ事態となってしまいます。
どのような制限があるのかしっかりと確認しておきましょう。
ロフトには高さの制限がある?
ロフトは建築基準法では「小屋裏物置等」と定義されています。
小屋裏とは屋根と天井の間の空間のことで、一般的には活用されないデッドスペースの部分のことです。
通常なら使わないデッドスペースを有効に活用できることもあって、バブル直前期あたりから人気が出てきました。
そんなロフトには建築基準法上の制限というものがあって、その1つめの制限が「高さ」です。
賃貸アパートなどのロフトは寝室がわりに使われたりすることが多いようですが、本来ロフトは「小屋裏物置等」という定義なので、収納としての役割が強くなっています。
だからこそ建築基準法ではロフトの天井高(内側の高さ)の最も高い部分が、1.4メートル以下でなければならないと定められています。
1.4メートル以下というと大人は真っ直ぐに立つことが困難な高さです。
高さの上限はあっても下限はありません。
したがって屋根の形状によってはロフトの高さが1メートルを切るということもありえるわけです。
ロフトの高さが1メートルを切ってしまうとロフト内ではまともに立つことが出来ないため、頭をぶつける確率が極端に上がってしまいます。
身長の高い人だとストレスで、ロフトを使わないようになってしまうのも納得です。
高さ以外に床面積にも制限が!
ロフトの制限は高さだけではありません。
床面積についてもしっかりと建築基準法で定められています。
制限内容については以下の通りです。
・ロフトの床面積が、ロフトのある階の床面積の2分の1未満であること
・ロフトの床面積がロフトのある階の床面積の8分の1を超える時は、各階の壁量を増やさなくてはならない
例えば60m²の2階部分にロフトを作るとしましょう。
ロフトの広さは60m²の2分の1未満、つまり30m²未満でなければなりません。
さらにロフト部分が7.5m²を超えるときには壁量を増やさなくはなりません。
各階と制限があるので1階、2階共です。
このようにロフトの広さの最大は、ロフトのある階の床面積によって決まってきますので注意しましょう。
ちなみに平成12年の建築基準法の改正により、ロフトの広さが8分の1から2分の1まで引き上げられたため以前より広く作れるようにはなっています。
しかし、その分強度が弱くなってしまうため、壁量を増やし構造強度を保たなければなりません。
高さや床面積以外にもロフトには地域によって制限がある!?
ロフトには高さの制限や床面積に関する制限の他にも、地域によって制限が加えられます。
例えば、採光を制限するために窓についての制限があったり、テレビ用の配線の設置が制限されたりします。
ロフトでテレビを見ようとする人がいるかどうかは置いておいても「なぜそんな制限があるんだろう」と思ってしまいますよね。
さらに「ロフトへかけるはしごは可動式でなければならない」という制限もあります。
一般的には取り外しが可能なはしごでなくてはならないとされていますが、これは地域による制限であり、建築基準法で定められたものではありません。
このようにロフトについての制限は建築基準法によるものだけでなく、地域差が大きくなっています。
お住まいの自治体や確認検査機関で詳しく聞いてみるとよいでしょう。
高さの制限を守らないと3階建てに!?
ロフトの制限は主に「高さ」と「床面積」となりますが、地域によってその他の制限が出てきます。
そしてこれらの制限を守らなければ、小屋裏収納等、いわゆるロフトと認められてもらえません。
高さと床面積、どちらか一方でも基準を満たさないと、ロフトとしての床面積が家全体の床面積として算入され、階とみなされます。
全体の床面積として算入されてしまうと評価額が高くなり、固定資産税などの税金面で不利になってしまいます。
加えて2階建ての2階部分につくったロフトがロフトとしてみなされず、階とみなされてしまうとその建物は3階建ての住宅になります。
建築基準法においては2階建てを超える木造住宅について、2階建ての木造住宅よりも様々な規制が課せられるようになっているのです。
2階建てを超える木造住宅に増やされる規制は次の通りです。
・構造計算
・消防の規制
・非常用侵入口
・排煙計算
しかもこれらは建築確認申請の時点でもチェックしなければならず、手間も費用も余計にかかります。
だからこそロフトの制限については注意しておきたいところです。
ロフトに価格的なメリットはない?
注文住宅においてとても要望の多いロフトですが、実は半数以上はロフトを作ることをやめてしまいます。
それはロフトを作るのに、価格的なメリットがほとんどないからと言えるでしょう。
ロフトを作るためには意外とお金がかかります。
もちろん元々ロフトをつくりやすい構造で家を建てているようなハウスメーカーでロフトを作れば、費用を抑えることは可能でしょう。
しかしそうでないハウスメーカーの場合、屋根の形状や家の構造によってはロフトの天井高が低くなってしまい快適なスペースとはなりません。
そればかりか、普通に部屋を作るのと変わらないくらいの費用がかかってしまいます。
4畳程度のロフトで100万円を超えてしまうことも珍しくありません。
それなら家自体を少し大きくして、収納を増やしたり部屋数を増やす方が使い勝手が良くなるでしょう。
土地に余裕がない場合やロフトでないといけない場合を除けば、高さや床面積の制限のあるロフトを作るメリットが少なくなります。
使いやすいロフトにするための注意点!
ロフトは高さの制限があるため、大人は真っ直ぐに立てず用途が限られてしまいます。
さらにロフトへと上がるためには可動式のはしごなどでないといけないことが多いので、重いものを運ぶのは困難となります。
せっかく作ったロフトが活用されないのはもったいないですよね。
だからこそロフトを作るときは、快適さや使いやすさを考えて作るようにしましょう。
例えば、リビングからつながるロフトは有効活用されることが多くなります。
これはリビングにロフトがあることで視線が遠くまで抜け、部屋が見えるからと言えるでしょう。
リビングにはメリハリが出て、ロフトからの風景も格段に良くなりますので、ロフトの価値が上がるのです。
他の部屋にロフトを作ってもリビングにロフトを作るほどの効果がなく、段々と使われなくなっていくことが多いようです。
特に小さなお子様がいらっしゃる家庭では秘密基地のような感覚で喜ばれ、しかも家族が集まる場所だからこそ安心感も生まれるのです。
ロフトは制限を守って使いやすいスペースにしよう!
ロフトは法廷床面積に含まれないため、階を増やすより生活に使えるスペースが増える割りに固定資産税が抑えられるというメリットがあります。
ロフトには高さや床面積などの制限があり、その制限を守らなければロフトとしてはみなされません。
だからこそロフトを作るときには高さや床面積などの制限を守るようにしましょう。
その他のロフトの制限についてはお住まいの自治体などに確認するようにしてください。