ガス給湯器といえば、お風呂やキッチンなどのお湯はもちろん、ものによっては床暖房への熱の供給ができるなど、とても役立つものです。
しかし、ガス特有の取り扱いの難しさにより、取り付けるのを敬遠しがちな方がいるのも事実です。
そこで今回は、ガス給湯器を取り付けた場合、スイッチをつけっぱなしにすることによる様々な影響や、安全に使うための注意事項などをご説明していきます。
ガス給湯器のつけっぱなしは危険?
ガスは慎重に扱わなければならないもの、という印象があるため、ガス給湯器のスイッチをつけっぱなしにすることに危険を感じ、控えている方もいるのではないでしょうか。
つけっぱなしにすることによって火事などが起こったら、自分の家だけでなく、近隣住宅も巻き込んで大惨事になる可能性があるため心配ですよね。
しかし、昨今のガス給湯器は、つけっぱなしにしても危険な状態にはならないのです。
住宅などに取り付けられているガス給湯器は、リモコンタイプが一般的です。
キッチンやお風呂場など、お湯を使うことの多い場所からガス給湯器を手軽に操作できるよう、それらの付近の壁に取り付けている方が多いでしょう。
わざわざお風呂場に行かなくても、お湯の温度をスイッチ一つで操作できたり、お風呂場にいる方とリモコンを通して会話ができるものもあります。
もちろん、リモコンにはガス給湯器のスイッチボタンもあります。
そのスイッチをただつけただけではガスに火はつきません。
キッチンやお風呂などでお湯を出したときに初めてガスに火がつくのです。
つまりガス給湯器のスイッチをつけっぱなしにしていても、常時火はついていないということです。
そのため、危険ではないということが分かります。
以前の住宅などに普及していたガス給湯器は、スイッチをつけるとすぐガスの火がつく仕組みでした。
昨今のリモコンタイプのガス給湯器も、同じ仕組みなのではないかという考えから、未だにスイッチをつけっぱなしにするのは危険だという考えが名残として残っているようです。
また、スイッチのつけっぱなしよりも、もっと注意したほうが良い点がガス給湯器にはあるのです。
つけっぱなしより注意したい①ガス給湯器の空気の出入り付近を覆う
ガス給湯器のスイッチのつけっぱなしよりも注意が必要なこととはどのようなことなのでしょうか。
それにはいくつかのものがありますが、まず挙げられるのが給湯器付近を覆うことです。
多くのガス給湯器は屋外に取り付けられており、それゆえ風に乗ったほこりなどが付着して汚れやすいものです。
また、雨の日などは雨水が付着してより汚れやすくなったり、さびの発生も懸念されるでしょう。
それらからガス給湯器を守るために、ビニールシートなどを巻きつけて保護している方はいないでしょうか。
一見すると、ガス給湯器の汚れなどに配慮した良い行動であるように見えますよね。
しかし、空気が出入りする場所を覆っている場合は、危険行為となってしまうこともあるのです。
この場合、それが原因で空気の出入りを妨げることになり、ガス給湯器の内部で不完全燃焼が起こってしまうことが考えられます。
不完全燃焼が起こると、住宅の中に一酸化炭素が入り込む危険性があります。
一酸化炭素の怖いところは、目に見えず、臭いのない気体であるという点です。
もしこれが住宅に満ちていたとしても気付くことができません。
車の排ガスなどのように、他の成分も混じっていれば臭いで気付けるかもしれませんが、これ単体では気付かないうちに吸い続け、一酸化炭素中毒になってしまうことも考えられるのです。
つけっぱなしより注意したい②ガス給湯器の付近に燃えやすいものを置く
ガス給湯器を始め、外に置くものはできれば一ヶ所にまとめて置きたいと考える方もいるでしょう。
例えば冬場使うことの多い灯油タンクは、いくつかまとめて購入するなどして場所を取ることが多いものです。
少しでも場所を取らないようにしようと、ガス給湯器にぴったりと密着させた状態で保管している方はいないでしょうか。
述べた通り、ガス給湯器はスイッチをつけっぱなしにしておくだけでは火がついていませんが、お湯を使っている最中は火がついている状態になります。
そのため、ガス給湯器自体が熱を持っており、その付近に灯油タンクを置いておくことはとても危険です。
また、外仕事をする際の軍手やプラスチックの鉢など、燃えやすい素材で作られているものをガス給湯器付近に置くのも危険です。
もしそれらが原因で火事になった場合、外で火が燃えていることに長時間気付かない可能性もあります。
ガス給湯器の付近にものを置くことは、大切な家族を守ることはもちろん、近隣住民に被害を与えないためにも避けるようにしてください。
つけっぱなしより注意したい③ガス給湯器の点検を怠る
外に取り付けられているガス給湯器の場合、日常では目に触れることも少ないでしょう。
お風呂やキッチンなどで温かいお湯が出ないなど、何か不具合がない限り、あまり気にすることのない存在とも言えます。
ガス給湯器を取り付けた当初は、点検をいつごろ行なったほうが良いなどの説明を受けますよね。
ガス給湯器は取り扱いを慎重に行なう必要のあるもののため、点検を忘れないようにと当初は思うでしょう。
しかし、取り付けから年月が過ぎて、これといった不具合がない場合、点検を行なうことを忘れてしまう方もいるのです。
点検を怠っていて、いざ普段通りにお湯を使おうとしたら出ない、スイッチを押したら異音がするなどの不具合が起こってからでは遅い場合もあります。
とはいえ、ガス給湯器の点検は、点検日の日程調整などをしなければならず、ついつい敬遠してしまうこともあるでしょう。
しかし点検は、素人では気付かない不具合をプロが見つけてくれるチャンスです。
思わぬ被害を防ぐためにも、少なくとも五年に一回は点検を行なうようにしてください。
ここまでご説明した注意点をもとに、ガス給湯器はスイッチをつけっぱなしにすることよりも、もっと注意しなければならないことがあるという認識を持つことが大切です。
ガス給湯器に関する疑問①つけっぱなしにしないと冬場は凍る?
ここからは、ガス給湯器に関する疑問についてご説明していきましょう。
まず、ガス給湯器を使っている方の中で時々聞かれるのが、普段はスイッチをつけっぱなしにしていない方が冬場の寒い時期はつけっぱなしにするという話です。
寒い時期では、車のガラスや道路の凍結などが見られる場合がありますよね。
住宅であれば、特に気温が低い時間帯などに、蛇口の水が凍結することがあります。
そのため、ガス給湯器もスイッチをつけっぱなしにしないと凍結し、お湯が出なくなるのではと思う方も多いようです。
しかし、ガス給湯器はそれらと違い、スイッチをつけっぱなしにしなくても凍結する心配はないです。
多くのガス給湯器は、凍結防止機能を搭載しています。
そのため、寒い時期だからという理由でスイッチをつけっぱなしにする必要はありません。
この事実を知っていれば、普段ガス給湯器のスイッチを消している方が、寒い時期にだけつけっぱなしにしなくてはと、神経を使わずに済むでしょう。
ガス給湯器に関する疑問②記載の寿命と実際の寿命が違う理由
ガス給湯器の疑問点として、その寿命についても気になるのではないでしょうか。
寿命に関しては、ガス給湯器の取り扱い説明書にも記載されていますが、ここではより詳しくご説明していきます。
保管しているガス給湯器の取り扱い説明書には、8年から10年くらいが寿命の目安と記載されていることが多いのではないでしょうか。
しかし、実際にはこの期間を超えてもなお問題なく使えているものが多いです。
ではなぜ、ガス給湯器の取り扱い説明書には寿命は8年から10年くらいと記載されているのでしょうか。
これはガス給湯器の「製造期間」が関係しています。
どのようなものにも言えることですが、取り付けた当初は最新のガス給湯器であっても、年月の経過とともにモデルチェンジなどが行なわれ、旧式化していきます。
その場合、仕様などがモデルチェンジ前と比べ変わることが多く、当然製造する際の部品も変わります。
新しい部品の調達は容易いですが、モデルチェンジ前のガス給湯器に必要な部品は、すでに製造を終了している場合があります。
何か不具合がガス給湯器に起こった場合、直すためには部品が必要になります。
しかし、部品がすでに製造終了となっている場合、直すことができません。
そのため、ガス給湯器の寿命は8年から10年とし、その期間を超えたら新しいものに交換してもらい、修理などの際の対応ができるようにしているというわけです。
また、ガス給湯器のスイッチをつけっぱなしにすると、寿命を縮めてしまうのではないかと心配な方もいるようです。
しかし、ガス給湯器の寿命を縮める原因として挙げられるのは、不具合が起こっているにも関わらず放置してメンテナンスをしなかった場合などです。
そのため、ガス給湯器のスイッチのつけっぱなしと寿命に因果関係はないと考えて良いでしょう。
ガス給湯器をより安全に使うために!安全意識の向上を
昨今のガス給湯器は、以前普及していたタイプと比べ、スイッチをつけっぱなしにしただけではガスに火がつくことはないなど、安全面においても進化しています。
しかし、それを使う人間が空気の出入り口を覆うなどの危険行為をしていたら、せっかくのガス給湯器の安全性向上が意味をなさなくなってしまいます。
ガス給湯器は日常で気にかけることが少ないものですが、一度ご紹介したような危険な状態にないか、確認するようにしてください。
ガス給湯器の安全性向上に比例させて、私たちの安全意識も向上させていくことが大切です。