マンション建て替えの費用負担はマンションの区分所有者!

築年数が古いマンションは、耐震性に不安があったり設備が古くなってしまったなどの理由で建て替えることがあります。

賃貸マンションを建て替える際は貸主が費用負担することは言うまでもありませんが、分譲マンションの場合は区分所有者が費用を負担することになります。

今回は、分譲マンションを建て替える場合の疑問点を解決していきます。

また、中古マンションを購入する場合の注意点についても触れていますので、マンションの購入を検討されている方はぜひ参考にしてください。

分譲マンション建て替えは区分所有者が費用負担する!

築年数が古いマンションは、耐震面に不安がある場合があります。

また、生活上欠かせない電気や水道、ガスなどの設備で修繕することのできない問題があれば、マンションの建て替えを考える必要があります。

これが賃貸マンションであれば、その持ち主が建て替えの費用負担をします。

分譲マンションの場合は、区分所有者(住民)がそれぞれ費用負担をすることになります。

分譲マンションは住戸を「購入」しており、その購入した住戸は自分たちのものですから、費用負担は当たり前のことと言えるでしょう。

ただし、国土交通省の発表によると、マンションの建て替えはほとんど行われていないことが現状としてあります。

昨今は地震などの自然災害も多いことから、老朽化したマンションに暮らし続けるのは誰でも不安があるかと思います。

しかし、どうしてマンションの建て替えはほとんど行われていないのでしょうか。

マンションの建て替えが行われていない理由

築年数が数十年経過し、老朽化してしまったマンションの建て替えが行われていない理由はいくつかあります。

まずは、マンションを建て替えするには、区分所有者の4/5以上の賛成が必要となることです。

これは、「建物の区分所有等に関する法律(区分所有法)」で定められています。

例えば、対象のマンションの全体の住戸数が200戸だとすると、160戸が賛成しないと建て替えられないということになります。

築年数が古いマンションだと、区分所有者が高齢化しているという現状もあり、「あと数年ほどしか住まないのに建て替える必要がない」と考える方も多いのです。

また、マンションを建て替える際の費用負担が大きすぎるという点もあります。

もちろん、これまでのマンションの修繕積立金の積立額や、どのようなマンションに新しく建て替えるのかでも費用負担がどれぐれいになるかは大きく違いがあります。

しかし、費用負担が数千万円というケースも中にはあるようなので、余裕がない区分所有者からすると築年数が古く建て替えが必要だと思っていても、賛成をすることが難しい場合もあるのです。

マンション建て替えの大きなハードルはその「過程」

前項で述べましたように、年齢や費用負担などの理由から賛成を得られずに分譲マンションの建て替えが行われないこともあります。

また、マンション建て替えには大きく四つの過程があり、それに膨大な労力と時間がかかることからマンションの建て替えがなかなか行われていないというのも理由の一つでもあります。

それでは、その四つの過程を簡単にご紹介いたします。

①準備

建て替えが必要と考える区分所有者が集まり、「マンションの管理組合」が建て替えの検討を始めるように準備します。

具体的には、マンション建て替えについての勉強会を行ったり、他の区分所有者へ建て替えの働きがけをすることです。

②検討

マンションを建て替えるべきなのか、それとも修繕するのかを検討します。

しかし、建て替えするのか修繕するのかを判断するのは、とても難しいことでもあります。

そのため、専門家に依頼し、どの方法がベストなのかを検討していきます。

また、同時に他の区分所有者に対して意向調査行ったりもします。

③計画

マンションの建て替え計画をたて、その建て替え実施の合意を得ます。

また、デベロッパーの選定も行います。

④実施

マンションの建て替え工事が行われ、完成したマンションへの入居を行ったり新管理組合を設立します。

分譲マンション建て替えの過程についてごく簡単に説明してまいりましたが、四つそれぞれの過程で根気だけではなくかなりの時間も必要となります。

中には、この過程に十数年もしくは数十年かかることもあるそうです。

建て替えに賛成したいものの費用を捻出できないときはどうする?

所有マンションの老朽化が激しく建て替えに賛成したいものの、費用負担が重く、資金を捻出できない場合もあります。

その場合はいったいどうしたらいいのでしょうか。

●住宅金融公庫の制度を利用する

住宅金融公庫では「まちづくり融資」という制度があります。

これを利用すると、最大1,000万円まで借入することができます。

返済方法は毎月利息分を支払うのみで、元本は契約者が死亡してから相続人が支払う形になります。

連帯債務者を設定している場合は、連帯債務者も死亡してから相続人が支払うことになります。

ただし、この制度を利用できるのは60歳以上となります。

●国や各自治体の助成制度を利用する

国や各自自体では、さまざまな条件のもとで助成制度を利用できる場合があります。

60歳未満で「まちづくり融資」制度の対象にならなかったり、国や各自治体の助成金だけでは費用が足りない場合はマンションを売却してしまうのも手です。

マンション建て替えの費用負担をするなら売却も視野に!

所有しているマンションに建て替えの発案があり、建て替えに伴う費用負担をするのであれば、マンションを売却することも視野に入れてもいいかもしれません。

昨今では中古マンションを購入してリノベーションする流れが多くなってきていますので、場合によっては希望の価格で売却できる可能性もあります。

特に、マンションの立地が主要駅から徒歩数分であったり、商業施設や学校、医療施設などが近くにあるような資産価値の高い物件だと期待はますます高まります。

ただし、建て替えの発案があることから、なかなか売却しにくいことも想定しておく必要があります。

マンションを買う側の立場から考えると、マンションを購入してすぐに建て替えの費用負担があるかもしれないというのは大きなデメリットとなるのは容易に想像できます。

中古マンション購入時は建て替えによる費用負担の情報を事前に得ることが大切

中古マンションを購入する際、価格や立地を重要視される方は多いことでしょう。

いくらお手頃の販売価格だとしても、もしかしたら近い将来に建て替えが計画されているかもしれません。

そのため、中古マンションを購入する際は、建て替えにどれぐらいの費用負担が必要なのかなど、事前によく調べておくことをおすすめします。

また、マンションでは多くの場合、マンションを修繕するための「修繕積立金」が設定されています。

近い将来建て替えが計画されているのであれば、この修繕積立金が高額であることもあります。

また、建て替えの際には、毎月の積立金の他に一時金として一千万円ないし数千万円必要になることもあると理解しておく必要があると言えるでしょう。

これらのことから、特に築年数が古い物件を検討される際は、多くの情報を得るように努めることをおすすめします。

分譲マンション建て替えは区分所有者が費用負担

当記事で申し上げてきましたように、分譲マンションの建て替えにかかる費用負担は区分所有者となります。

場合によっては数千万円必要になるケースもありますが、国や各自治体の助成制度を利用することもできます。

しかし、それでも資金が足りない場合は売却してしまうことも視野に入れてもいいかもしれません。

また、中古マンションを購入する際は、近い将来に建て替えがあるのか事前に確認することをおすすめします。