一昔前の日本家屋には、ごく普通に神棚が置かれている光景が見られましたが、近年の住宅のスタイルでは見ることも減ってきました。
しかし、その土地と神様の結びつきを大切にしている方も多く、新築に神棚を設置することに悩んでいる方もいるのではないでしょうか。
この記事では、新築を建てるにあたり、神棚の必要性から設置方法まで詳しくお話していきます。
新築に神棚は必要?そもそも神棚の役割とは
近年、日本の住まいでは神棚の設置が少なくなりつつありますが、祈願や年始の際には多くの方が神社を参拝していることから、その信仰が未だに強く根付いていることが分かります。
そういった文化的な習慣もあり、新築を建てる際には神棚の設置に迷ってしまいがちです。
新築には神棚を置いたほうが良いのでしょうか?
そこで、神棚の必要性を考える前に、まずは神棚の役割や意味について見ていきましょう。
日本の古い住まいに見られる神棚は、神様を祀る「神様のおうち」で、新築を建てた際に神様を迎え入れるために設置されていました。
神棚には、その土地に根差した神社のお札を祀ることで、家内安全や商売繁栄を祈り、神様に感謝の気持ちを伝えます。
神棚が誕生したのは江戸時代と言われていますが、日本的文化を象徴する神棚は、現代でも大切な信仰として受け継がれています。
新築への設置はどうする?神棚の必要性とは
神棚の役割や意味については分かりましたが、新築を建てるにあたり、神棚の設置は必要なのでしょうか。
結論から言うと、神棚の設置はその人の自由で、設置するか否かは気持ち次第です。
と言うのも、昔と比べ、現代では生活スタイルや考え方も大きく変わり、宗教や信仰概念に対する意識もかなり自由になりました。
そのため、例えば毎日の暮らしで神様を身近に感じ、お祈りをしたい方は、神棚をつくってお招きすると良いでしょう。
一方で、特別に神様を信仰しているわけではなかったり、神棚の管理が面倒だと感じる場合は、神棚を設置する必要はありません。
新築に神棚がないからといって、運気が悪くなったりバチが当たるわけではありません。
つまり、自分が神棚を必要としているのであれば、神棚を設置することをおすすめします。
神棚のメリットとは?神棚の必要性は自分で決めよう
新築への神棚の設置は、自分の気持ち次第で、必ずしも必要なわけではないことが分かりました。
しかし、「神棚は必要ない」とバッサリ考えられる方は別ですが、神棚の設置に対してどうしようか悩んでいる方もいることでしょう。
そこでここでは、神棚を設置するメリットについて、3つに分けてお話していきます。
①パワースポットとしての空間
最近では、「ご利益が授かれる場所」という意味で、神社・お寺などのパワースポット巡りが人気になっていますが、神様が宿る神棚にも同じ意味合いがあります。
特にそういった神聖な空間を好む方にとっては、暮らしの中で神様との縁を感じることができ、その家だけのパワースポットをつくることができるでしょう。
②感謝する習慣がつく
身近に神様を感じることで、日頃の何気ない生活に感謝することができます。
また、自分の行いや姿勢を律する機会にもなります。
③インテリアとしての空間
シンプルでモダンな住まいが主流になっている現代では、元来大げさなデザインだった神棚も、和洋とらわれないインテリア性を重視したものが増えています。
部屋に設置しても違和感を覚えることなく、インテリアのアクセントとして活用することもできます。
以上のメリットは、人によっては少しオカルト的に聞こえるかもしれませんし、神棚設置の後押しになるかもしれません。
考え方は自由ですから、神棚の必要性は自分で決めるようにしましょう。
新築に神棚を設置したい!設置場所はどうする?
これまでの神棚の必要性を踏まえ、いざ新築に神棚を設置することになれば、注意したいのはその設置場所です。
まず、神棚の設置は家のどこでも良いというわけではありません。
基本的には、家族が集まる清浄なリビングなどの空間に、南、もしくは東向きに設置するのが吉とされています。
一方で、神棚の設置に向かない不浄とされる場所や、北・西向きの方位は、設置候補から外すと良いでしょう。
例えば、お札が汚れやすいキッチン、清浄とみなされないお風呂場やトイレは、神棚の設置には凶と考えられています。
また、神棚は天井から少し下の高さで、余裕を持って置ける場所に設置してください。
ちなみに、新築に仏壇を置く場合、仏壇と神棚が向かい合うような設置は避ける傾向があります。
これは地域にもよりますが、片方を拝んでいるときにお尻を向ける状態になるためです。
以上を参考に、神棚の設置場所を検討していきましょう。
神棚の設置に必要なものは?
では次に、新築に神棚を設置する際に必要となるものについてお話していきましょう。
まず、神様(お札)を祀るためには、それを納める「宮形(神棚)」がなくてはなりませんが、宮形の大きさにも様々なタイプがあります。
主に、お札3枚を重ねて納める「一社造り」と、お札3枚を横並びで納める「三社造り」があります。
また、用意するお札は以下の3つになります。
・天照大神(神宮大麻)のお札
・氏神のお札
・崇敬する神社のお札
ただし、必ずしも上記3枚を揃える必要はなく、いずれか1枚だけでも問題ありません。
納めるお札の枚数や、部屋のインテリアに応じて、宮形の大きさを選ぶと良いでしょう。
さらに、宮形、お札以外にも、神様を祀るための以下の「神具」が必要になります。
・榊立て(さかきたて):神棚の左右に飾る榊という木の枝
・水玉(水器):お供えする水を入れる道具
・皿(かわらけ):お供えする塩とお米を盛る小皿
上記以外にも様々な神具がありますが、榊立て・水玉・皿の3つは最低限揃えることをおすすめします。
宮形や神具の購入は、ネット通販でも可能ですが、ホームセンターでも取り扱っているので是非チェックしてみてください。
新築へ神棚を移動したい!その注意点は?
これまでに、新築の神棚の設置方法についてご説明してきました。
神棚の設置を検討している方の中には、現在の住まいにある神棚を、新築にそのまま引っ越しさせたいと考えている方もいることでしょう。
そこで最後に、神棚の引っ越し方法についてお話していきます。
まず、神棚や神霊の移動は、ご神体を遷す(うつす)ことから「遷座(せんざ)」と言われています。
神棚を遷座する際の一番のポイントは、引っ越しの最後に搬出し、最初に搬入することです。
引っ越し業者によっては、大ぶりな神棚の引っ越しを受け付けていないところもあるため、自分で引っ越しを行う必要があります。
そのため、事前に引っ越し業者に確認するのが良いでしょう。
また、神棚の遷座にはお祓いが必要なイメージがありますが、必ずしも必要なわけではありません。
自分で祝詞を奏上できるのであれば、極力、引っ越した後に行うのが良いでしょう。
神棚を置く場合は失礼のないように
新築への神棚の設置は、必ずしも必要であるとは限りません。
神棚を置かなかったからといって何かあるほど、神様は狭量ではないでしょう。
ご家庭で神棚が必要と考えているのであれば、今回の記事を参考に設置してください。
その場合は神棚の設置を正しく行い、新しい住まいに、気持ち良く神様をお迎えできるようにしましょう。