アパートなどの賃貸住宅から退去するときに気になるのが、「敷金がいつ返金されるのか」ということではないでしょうか。
そもそも敷金とは何なのか、敷金の返金がどれほどの期間で行われるのかについて、当記事でご説明していきます。
また、敷金を返金してもらうための方法や、返金されやすくするための方法についてもご紹介していきます。
いつ返金されるか気になる!そもそも敷金とは何?
アパートなどの賃貸住宅では、退去する際に、部屋を入居時の状態に戻す「原状回復」の義務があります。
敷金は、部屋を退去する際に原状回復費用として充てられるためのお金で、一般的には入居する際に家賃の1~2ヶ月分を支払うことが多いです。
また、敷金は修繕費用として充てられたあと、残っていれば返金されることとなります。
ちなみに、「礼金」というものもありますが、礼金は大家さんに対して、「部屋を貸してくれることへのお礼」として支払うものです。
そのため、こちらは返金されることはありません。
金額は家賃1ヶ月分であることが多いですが、近年では礼金を払わなくて良い物件も増えてきています。
では、敷金はいつごろに返金がされるのでしょうか。
次項からご説明していきます。
敷金はいつごろ返金されるの?
原状回復の費用として使われる敷金ですが、実は法律で明確に「いつまでに返金する」とは決まっていません。
つまり、入居時に交わす賃貸借契約書の内容で決まってくるということです。
多くの場合、賃貸借契約書には以下のようなことが記載されています。
・退去後1ヶ月以内に返金する
・退去後1ヶ月以内に敷金精算金を通知し、2ヶ月以内に返金する
また、賃貸借契約書にこのように記載のない場合もあるでしょう。
このように記載がないと「敷金が返金されないのでは?」「大家さんの一歩的な都合による返金になるのでは?」と心配になってしまうこともありますよね。
しかし、あくまでも敷金は「貸主に預けているお金」ですので、基本的に返金されるものです。
賃貸借契約書に記載がない場合でも、約1~2ヶ月ほどで返金されるのが一般的です。
いつになっても敷金が返金されない場合どうしたら良い?
先ほどもお伝えしたように、敷金の返金は賃貸借契約書に記載がない場合でも、おおよそ1~2ヶ月ほどで返金がされます。
しかし、中にはいつまでたっても返金されない場合もあるでしょう。
このようなとき、まず行いたいのは、不動産会社や貸主に「返金がされていない」という連絡をすることです。
連絡がこない原因として、新しい住所や連絡先が間違っているために、不動産会社や貸主が連絡を取れずにいることも考えられます。
では、連絡を取ったにも関わらず、返金されない場合にはどうしたら良いのでしょう。
このような場合、2つの手段が取れます。
①内容証明郵便で敷金の返還請求を行う
②少額訴訟で敷金の返還請求を行う
上記のような手段を取る理由は、長期間返金をしない貸主・不動産会社は、故意であることが考えられるためです。
内容証明郵便は、郵便局がいつ、どのような内容で手紙を出したかを証明するものです。
これによって、手紙を出したことの証拠にもなり、借主側の真剣さが伝わります。
また、少額訴訟は、60万円以下の金銭の支払いを請求するものです。
家賃1~2ヶ月分の敷金の返還請求を行うときには、この方法が適切だと考えられており、一般的な裁判よりも簡易的なものとなります。
敷金の返金の要求はいつまでできる?
前項でご紹介したように、いつまでも敷金の返金がされない場合は、「内容証明郵便」や「少額訴訟」といった手段をとることができます。
しかし、すべての借主が上記のような知識があるとは限りません。
そのため、何もせずにそのまま放置している方も多いのではないでしょうか。
では、敷金の返金の請求はいつまで行うことができるのでしょうか。
結論から言うと、賃貸住宅を退去してから「5年以内」が目安になります。
この敷金を請求できる権利というのは、民法上では「債権」と言います。
この債権は、民法上では10年で消滅することになっています。
しかし、これは個人事業主には適応されません。
アパートなどの賃貸住宅の大家さんなどは、個人事業主としてみなされています。
個人事業主に対しては、10年ではなく5年と定められているのです。
敷金の返金をされやすくするためには?
ここまで、敷金の返金がいつされるのかについてお話ししてきましたが、敷金が全額返金されたというケースは少ないです。
どんなに部屋をきれいに使っていたとしても、細かな修繕に充てられたり、敷金償却・敷引きなどが賃貸借契約書に記載があった場合、これに基き、一定額が敷金から引かれていることがあるためです。
しかし、部屋の借主からしてみれば、退去時には敷金をできるだけ多く返金してもらいたいものでしょう。
そこで、敷金を返金されやすくするための方法を、以下でご紹介していきます。
【掃除はしっかりと行う】
退去が決まると、使っていた家具や家電を運び出し、部屋を空の状態にしますよね。
部屋が何もない状態になったら、きれいに掃除を行いましょう。
原状回復の義務で借主が修繕する箇所で多いのは、自分でつけてしまったキズや汚れです。
例えば、落書きをして汚した壁紙や、自分の不注意で発生させてしまったカビ、飲み物をこぼして放置した汚れなどのことを指します。
これらの汚れは、自分で掃除を行っておくことで、敷金から引かれる費用が少なくなる可能性があります。
【立会いには参加する】
部屋を退去する際には、部屋がどのような状態であるか、不動産会社の人と確認を行います。
この際、代理人をたてることもできますが、その部屋に住んでいた本人が参加することが望ましいでしょう。
その理由は、居住者本人でないと、部屋についていたキズや汚れが入居前のものなのか、自分でつけてしまったものなのかを説明できないためです。
説明が行えないと、不動産会社の言い分に従い、修繕費用が高くなってしまうことが考えられます。
敷金の返金にのトラブルに巻き込まれないために
前項でご説明したようなことに注意をしながら退去の立会いをすると、不動産会社や貸主から修繕費に関する見積もりが手元にくることになります。
原状回復で借主が負担をするのは、自分でつけてしまったキズや汚れについてです。
詳しいことは、国土交通省が「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」に記載されています。
これは、インターネットからいつでも閲覧することができます。
もし届いた見積書に違和感を感じたら、ガイドラインに沿ったものであるかの確認をしてみましょう。
しかし、注意点が1つあります。
この「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」は法律ではありません。
賃貸借契約書とガイドラインとで記載内容が異なっていた場合には、賃貸借契約書が優先されますので、その部分を忘れないようにしましょう。
また、まれに見積もりと退去時の立会いのときと内容が異なっていたり、精算額が異なっていることがあります。
このような場合には、敷金を返金してもらうためにも、遠慮せずに指摘をしましょう。
敷金を返金してもらうためにも部屋はきれいに使おう
敷金の返金は原状回復にどれくらい費用がかかるのかで決まってきます。
賃貸借契約書やガイドラインを確認しながら、自分が払うべきところとそうでないところが混同してないか確認をしてみましょう。
また、いつになっても敷金が返金されない場合には、不動産会社や貸主に一度連絡を取ってみましょう。