土地を売ろうと計画している方の中には、仲介手数料を節約したいと考える方もいるでしょう。
もし土地を個人で売買できれば、不動産会社に仲介手数料を支払う必要はなくなります。
しかし、個人売買はコストの削減になるというメリットと同時に、さまざまなデメリットも発生することになります。
今回は土地の個人売買について、メリットやデメリット、または流れなどについて、くわしくお話ししていきましょう。
土地の個人売買は仲介手数料がかからない
土地を売却しようと考えた時、まず不動産会社に相談しようと考える方は多いでしょう。
不動産会社は土地の買い手を見つけてくれて、手続きもすべて行ってくれるため、こちらは手間がかからずスムーズに土地の売買をすることができます。
しかし、代わりに「仲介手数料」を支払わなければなりません。
仲介手数料とは「業務で発生する費用」とされており、「土地の売買価格×3%+6万円+消費税」という計算式で算出されます。
一般的に、400万円以上の取引額の場合に発生するものです。
これにならうと、1,000万円の土地を売却した場合の仲介手数料は、36万円+消費税です。
また、3,000万円の土地を売却すると、207万円+消費税という大きな出費が発生します。
そのため、仲介手数料を避けたいと考える方は多いでしょう。
土地を個人売買すれば、この仲介手数料は発生しません。
経費節約のために、個人で土地の売買を行う方も中にはいらっしゃるのです。
土地の個人売買のメリット
土地を個人売買すると、不動産会社への仲介手数料の支払いはなくなります。
また、ほかにもさまざまなメリットが考えられます。
以下でご紹介しましょう。
●自分の希望を通せる
土地の価格や販売条件などを、すべて自分で決めることができます。
ただ、土地の価格設定は、適正価格から離れすぎるといつまでたっても売れないため、注意しましょう。
ちなみに、仲介業者が入ると、当然ですが不動産価値を見て公正に査定を行うこととなります。
●買い手に消費税が発生しない
土地の個人売買は非課税の対象となるため、消費税が発生しません。
これを強みにして、契約までつなげることもできるでしょう。
ただ、仲介業者が販売した場合も、土地に対してのみは消費税はつかないため、「土地付き物件」の場合は、消費税がかからない点が個人売買のセールスポイントとなるでしょう。
土地の個人売買はデメリットもある
土地の個人売買はメリットだけでなく、デメリットも存在します。
以下で、考えられるさまざまなデメリットをまとめてご紹介していきましょう。
●土地の買い手を自分で探す手間がかかる
親戚や知り合いに土地を売る場合は問題ありませんが、まだ買い手が見つかっていない場合は、自分で土地をアピールして買い手を探さなければなりません。
不動産の情報サイト(有料)を利用したり、新聞への折り込み(1枚3円程度)やポスティングも検討する必要が出てくるでしょう。
●契約書の作成を自分で行う
個人売買では、手続きをすべて自分で行う必要があるため、契約書や重要事項説明書は自分で作成しなければなりません。
上記はトラブルが起こった際に必要となる書類のため、土地の知識がある程度は必要となってくるでしょう。
●住宅ローンの審査が通りにくい
土地を一括払いで購入する場合は関係ありませんが、住宅ローンを組んでの購入は注意が必要です。
というのも、土地の個人売買は「トラブルが多い傾向がある」「ローンの不正借入が多い」と銀行側が考えることが一般的で、買い手が融資が受けられないケースが多いのです。
もしローン審査に通らない場合は、宅地建物取引主任者に重要事項説明書を作成してもらい、それを強みにして手続きを進めましょう。
土地の個人売買は売主に「瑕疵担保責任」が課されるので注意
続いて、土地を個人売買した際の注意点をご紹介していきましょう。
それは、土地を個人売買すると、売り主に「瑕疵担保責任」が10年間課せられるという内容です。
瑕疵担保責任とは、土地の売買成立後、土地の不具合などが見つかった場合、前の権利者が賠償を行うといった義務責任になります。
これが例えば、不動産会社に仲介してもらった場合は、3ヶ月~1年間(最大)が瑕疵担保責任の期間と決められているため、個人売買よりもかなり短いです。
さらに、実際に土地の不具合が見つかったとしても、仲介業者が保証対応してくれることが多いため、個人負担はほぼ心配いらないでしょう。
このように、仲介業者を通すことで、万が一の際の負担が激減するのです。
土地を売って10年後に「欠陥分の賠償を行ってほしい」と連絡がきたら困ってしまいますよね。
そうなることを避けたい方は、不動産会社に1度相談してみるのも良いでしょう。
土地の個人売買の流れが知りたい
ここでは、個人が土地の売買をする際の流れについてご紹介していきましょう。
【土地の個人売買の流れ】
①土地の相場確認
まず、売却予定の土地の相場を知ることから始めます。
国交省の土地総合情報システムというHPでは、実際に取引された土地の情報が閲覧できるため、近くの土地などを参考にすると良いでしょう。
②図面・資料を集める
土地の面積などが記載された図面などの資料を手元に用意しておきます。
③売却価格決定・広告を出す
土地の価格を決めたら、広告を出します。
サイトや新聞など、あらゆる手段で宣伝し、買い手は自分で見つけましょう。
④現地確認・問い合わせ対応
購入検討の方が現れたら、土地の現状確認の依頼が来ることになります。
「なぜ個人売買なのか」「瑕疵担保責任の意識はあるか」「境界確定は済んでいるか」など、どんな問い合わせにも答えられるように準備しておきましょう。
⑤価格交渉の対応
買い手が価格交渉をしてくることもあります。
個人売却では価格を決めるのは売主のため、よく考えて対応してください。
⑥書類の作成
売買契約書・重要事項説明書などの書類を自分で作成していきます。
法律で決められている書式は特にありませんが、「手付金の価格や受領日の明記」、「引き渡し日」などはトラブル回避のため記載しておきましょう。
⑦契約締結・決済
書類の作成が済んだら契約は完了です。
その後、決済日(お金が振り込まれる日)を設定します。
⑧引き渡し・その後のフォロー
決済されたと同時に「所有権移転登記」を行います。
のちに土地の不具合が起こったら、瑕疵担保責任の義務により、売り手のフォローが必要となります。
土地の個人売買で起こるトラブルとは?
土地を個人売買すると、思わぬトラブルに発展するケースがあります。
多いのは、土地の売買成立後の契約トラブルです。
たとえば、買い手が土地を購入後、「売り手の意向に反した土地の使い方をする」などがあげられます。
このような場合、契約時に交わした売買契約書にトラブル処理の記載が何もなければ、その土地は買い手のものなので、売り手側は口を出すことはできません。
個人売買では売買契約書の作成時に、このような細かいトラブルに関しては記載していないことが多いのです。
また、知り合いに土地を売る際も、口約束は避けるようにしてください。
「土地の価格は○○円だと約束した」などと揉めないように、きちんと契約書を交わし、土地の価格や決まり事を契約書に記載することで、トラブルを避けることができるでしょう。
土地は個人売買できるが手続きが大変
土地を個人売買することはできます。
しかし、買い手を探し、書類を作成し、アフターフォローも行うとなると、土地に対してかなりの知識が必要となります。
仲介手数料を惜しみたくなる気持ちも分かりますが、スムーズな手続きを求める方は、不動産会社に依頼することをおすすめします。
仲介業者を入れることで、売却後の土地に不具合があっても、保証対応してくれるため、万が一の時に安心できるでしょう。