不動産をお持ちの方は、不動産を売却するタイミングが大切です。
土地や家屋、マンションなどの不動産は資産の一部となりますが、時代の流れに合わせて価値が変わってくるというのも特徴のひとつです。
また、専門の業者に頼らずに自身で個人売買をすることが、経費がかからずに済む方法となるので、売却額と実際に手にする金額が近くなります。
そこで、当記事では土地を売却する際の個人売買の流れについてご紹介していきます。
一般的な土地の売却の流れとは?
まずは、一般的な不動産会社を仲介に入れて土地を売却する時の流れをご紹介します。
それは、所有している土地がどれくらいの価値があるのか査定をすることから始まります。
この場合、不動産会社によって金額が変わってきますので、いくつか不動産会社に査定を依頼し、比較することが望ましいでしょう。
その時、査定額の根拠をしっかりと説明してもらうことが重要です。
そして、納得のいく査定額に出会えたら、その不動産会社と「媒介契約」を結びます。
媒介契約を結んだら、測量や境界について必要の有無を確認します。
それらの手続きに不備がなければ、売り出し価格を決めて販売が開始されます。
すると実際に購入希望者が土地を見学に来ますが、その際に売主は立ち会う必要がないことが多いです。
そういったことも含めて不動産会社が対応するのが一般的でしょう。
買主が決まったら売買契約となりますが、その際は、不動産会社の仲介人と売主と買主が集まった状態で契約を交わして売買成立となります。
土地の引き渡し日には、司法書士により法務局で所有権移転登記の申請がかけられ、その土地が売主から買主のものとなります。
不動産会社を仲介に入れての土地の売却には、このような流れを踏みます。
それでは、この一連の流れを個人売買で行うには、どのようなメリットとデメリットがあるでしょうか。
土地の個人売買のメリットとデメリット
まず、土地を個人売買することに法律上の問題はないため、誰でも行うことができます。
しかし、全てを自分で行わなければならないため、まずは参考にそのメリットとデメリットを見ていきましょう。
〇メリット
不動産会社を通して土地を売ると、仲介手数料が発生します。
しかし、個人売買であればそれがかからないため、利益が大きく上がることが期待できます。
●デメリット
土地を売るための宣伝広告も、自ら行わなければならないので、買主を探すのに苦労する可能性は高いです。
また、さまざまな必要書類を集めなくてはならないため、手間がかかります。
このようなメリット、デメリットを踏まえ、親戚や親子間での土地の売買では、不動産会社を通さずに個人的に済ませるといったケースが多いようです。
他にも、個人売買の場合は、瑕疵担保責任についてもしっかりと把握しておかなければなりません。
瑕疵担保責任については、のちの章で触れますので、まずは売却する際の流れとして必要書類から確認していきましょう。
土地を個人売買したい!必要な書類集めの流れとは?
それでは、個人売買する際の必要書類を以下に記します。
①まず、買主が「この土地に決めよう」と、契約を締結するために必要な書類です。
【土地の売主側が用意するもの】
・登記簿謄本(土地・建物両方を用意)
・固定資産税評価額証明書(土地・建物両方を用意)
・公図
・物件表示書類(価格、間取り図、諸設備等が記載されている書類)
②実際に、契約を結ぶために必要な書類です。
【土地の売主側が用意するもの】
・不動産売買契約書(無料テンプレートなどの使用可能)
・権利証(登記済証)
・不動産引渡確認証(無料テンプレートなどの使用可能)
・実印
・不動産物件内容表示書類
・印鑑証明証(発行から3ヶ月以内のもの)
・領収証
・本人確認書類(運転免許証など)
・登記簿謄本(土地・建物両方を用意)
・委任状(司法書士が用意)
・固定資産税評価額証明証(土地・建物両方を用意)
・住民票(登記簿上の住所と印鑑証明証の住所が異なる場合)
【土地の買主側が用意するもの】
・住民票(管轄の役所で取得)
・実印
・印鑑登録証明証(発行から3ヶ月以内のもの)
・委任状(司法書士が用意)
これらの書類が揃って、初めて契約を結ぶ流れになります。
売主側は、かなり多くの書類を集めることになるので不備のないように気を付けましょう。
土地売却の流れをスムーズに!買主に出会えるおすすめ宣伝方法
土地売買がスムーズに流れるためには、まず買主に出会えなくては始まりません。
個人売買するにあたって、身内のように最初から買主が決まっていれば問題ないですが、個人で買主を探すとなると、どのように見つけたらいいのかわからないでしょう。
そこで、買主を探す方法をご紹介します。
●不動産情報サイトへの登録
月額料金は5万円~15万円が相場となっており、売却が決まるまで掲載できますが、その分費用がかかります。
●新聞の折り込みチラシ
情報を流したいエリアの新聞販売店に問い合わせをします。
●不動産投資家へ情報を提供する
マイホームを建てる目的ではなく、土地の転売や活用で利益を出す投資家が土地を探しているというケースもあります。
●投資目的の太陽光発電用地を探している投資家へ情報を提供する
農地などの土地は田畑以外に使い道がないことが多い印象でしたが、昨今の太陽光発電パネル設置の普及とともにそれに利用されるケースが増えてきました。
個人売買に挑戦!土地売却に必要な手続きとは?
それでは、実際に土地を売却するまでの流れをご説明していきましょう。
①売却する土地の相場を調べる
②図面や資料を準備し、境界や土地の状態を確認しておく
③売却価格を決めて宣伝開始する
④現地確認や購入希望者の対応
⑤価格交渉などへの対応
⑥売買契約書や履歴事項証明書などの作成
⑦契約の締結と手付金の受け取り
⑧決済と引き渡し
このような流れになっています。
なお、⑦までは売主と買主のみのやり取りになりますが、⑧の決済では、司法書士同席のもとで所有権移転登記の手続きを済ませます。
この登記費用については、買主側の負担となります。
ここまでの手続きを済ませた後、土地の売却が完了となります。
もしも、この流れをすべて個人で行うことが不安である場合は、部分的に相談にのってくれる相談機関もあります。
費用はかかりますが、不動産鑑定士や弁護士に、報告書や契約書などの作成のみお願いすることができます。
これが個人売買で土地を売却するまでの流れです。
土地を売却する際に売主が気を付けるべき注意点
ここまで、土地を個人売買するための流れについて見てきました。
最後に、売主が気を付けるべき注意点をご説明します。
買主にとって、売主が個人の場合というのは、不安を感じてしまう心理があるようです。
それは、購入後に気づかなかった不具合が見つかってしまうようなケースがあるからです。
その場合は、売主が買主に負わなければならない責任があります。
それを瑕疵担保責任と言いますが、個人売買の場合、この責任問題でトラブルが起こるケースも少なくありません。
このように、個人売買で土地を売る際には、全ての責任を自分で負うことになるため、売却する土地に不具合がないかなどの確認をしっかりと事前に行う必要があります。
例えば一例として、土地に関して気を付けなければならないことと言えば、地中の埋設物です。
建物を解体した際の廃材やコンクリート、また古い井戸などがそのまま埋め戻しされているケースが稀にあります。
土地を売却する際には、地中に埋設物のない更地で引き渡すことが条件となっています。
また、その土地で以前に事故や火災などが発生している場合は、心理的瑕疵といって、重要事項に記載をする義務があります。
それらを伝えずに売却してしまい、のちに裁判に至っているケースもあります。
売主側は、しっかりと責任をもって売買するようにしましょう。
土地の個人売買は責任をもってしっかりと行おう
個人で土地を売買することは、法律上何も問題もありません。
しかし、土地を売却するにあたっての流れや、売買に必要な書類の作成など、かなり専門的な知識が必要であることがわかりました。
また、土地の購入は買主にとっては大きな買い物とも言えます。
事前にできる準備はしっかりと行い、責任をもって行いましょう。