定年後の年配者の方が就くイメージのあるマンション管理人ですが、最近では40~50代の働き盛りの方や、女性の管理人も目立ってきています。
マンション管理は楽な仕事と思われがちですが、本当のところはどうなのでしょうか。
また、仕事内容や給料も気になりますよね。
今回は、マンション管理人の仕事や給料について、詳しくご紹介していきます。
マンション管理人の仕事は意外と大変!?
マンションの管理人と聞くと、どんなイメージを持たれるでしょうか?
定年後などの年配の方で、管理室に座ってマンション住民の代わりの窓口になってくれている、給料は高くはないが、比較的楽な仕事だと思われている方も多いでしょう。
年配の方ができる仕事なのだから、重労働ではなく、忙しそうでもないので、そんなイメージを持たれるかもしれません。
しかし、先程もお話ししたように、最近では今までとは違い、ひと世代若い管理人や女性の管理人も増えてきています。
仕事内容としては、「マンション住民が安心して快適に生活できるよう環境を管理する」ということになります。
主な内容としては、次の通りです。
【受付業務】
マンションに住む方の要望や苦情の受付、訪問者の窓口として対応にあたります。
また、マンション全体の雑務を一手に行います。
具体的には、以下のようなことがあげられます。
・備品、共用スペース、カギなどの管理
・入退去届けの受付、駐車・駐輪場などの申し込み受付などの管理業務
・通知事項を掲示板や回覧板などで周知させるなど
【点検業務】
照明、エレベーター、消防設備、分電盤などを定期的に点検し、不備のないようにします。
【立会い業務】
設備の保守や点検などの際や修繕工事の立会い、また、ごみ収集時にも立会います。
マンション管理人の仕事はまだある!
前述した仕事の他にも、マンションの管理人の仕事はまだあります。
【報告連絡業務】
立会い業務を行った場合、必ず結果報告をしなければなりません。
マンションの住民や近隣の方からの苦情や要望など、管理しているマンションに関わることは、管理会社に報告する必要があります。
また、日常業務の記録も報告します。
【清掃業務】
ゴミ置き場、駐車場、エントランス、廊下、階段など、共用スペースの日常清掃をはじめとした清掃を行います。
定期的に高圧洗浄機などを用いた念入りな清掃、必要に応じて行うスポット清掃など、マンション住民が気持ちよく過ごせるようにするには清掃も重要な業務の一環です。
他にも、排水管、外壁、窓ガラス、エレベーターなど、毎日ではありませんが清掃をして、きれいに保つことが求められます。
また、マンション周辺の植え込みの掃除など、近所の方々にも不快感を与えないように気を配ることも大切です。
このように管理人の仕事は、目配り気配りが求められるので、思ったよりも大変そうですね。
大規模マンションであれば、入居者数も多いのでより大変になります。
では、そんな管理人の給料はどれくらいなのでしょうか。
マンション管理人の給料は高い?低い?
マンション管理人の大半の方は、管理会社に雇われています。
管理人は、管理会社の社員になり、それぞれのマンションに派遣されて働いているのです。
したがって、管理人の給料は管理会社から支払われることになります。
マンション管理人の給料は、正社員で20~25万円、契約社員で18~20万円ほどと言われているので、年収は約250~300万円が相場です。
決して高い給料とは言えないので、正社員で勤務する方は少ないようです。
パート勤務の場合は、時給900~1,000円程度が相場になります。
金額だけを見ると確かにそれほど高給ではありませんが、仕事内容を考えるとそれほど悪い仕事ではないとも言えます。
基本的に管理人にはノルマがありません。
毎日決まったルーチンワークをこなし、自分のペースで仕事ができるので、精神的にはかなり負担が少ない仕事です。
大規模マンションでなければ、自分ひとりで仕事にあたるので、人間関係のわずらわしさもほとんどないでしょう。
また、残業などの時間外労働もありませんし、天候にも左右されません。
重い荷物をたくさん運んだり、立ちっぱなしで作業を行うこともありません。
こうして見てみると、仕事内容からすれば、この給料は悪くないのかもしれません。
マンション管理人の仕事の流れ
では、具体的なマンション管理人の仕事の流れを見ていきましょう。
8:00-出勤:着替えを済ませ、仕事の準備
8:10-ごみ置き場の整理:収集業者が収集しやすいようにごみを分別、整理する
8:30-ごみ置き場の掃除:臭いや汚れを落とす
9:00-マンション周辺のパトロール:異常がないかチェックする
9:30-共有スペースの掃除
11:00-スポット清掃と定期点検
12:00-昼休憩
このように午前中は、マンションの周辺の掃除やパトロールを行います。
午後は、業者の立会いや必要な報告業務を行ったり、電球の交換など設備に関する業務に時間を使います。
16:00-一日の業務報告
17:00-退勤:施錠の確認し帰宅
以上が、平均的な仕事の流れです。
ごみの分別や清掃など、体力が必要な仕事もありますが、それほどハードではなく、年配者や女性でもできるものです。
また、この合間に入居者や訪問者の対応などが入ってきますが、慣れてくれば手際良く仕事をこなすことができるようになるでしょう。
つまり、やり方次第では時間をゆったりと使うことができるということです。
そう考えると、多少給料は低くても、自分に合った働き方ができる仕事ではないでしょうか。
マンション管理人として給料アップを狙うには?
これまでお話ししてきたマンション管理人は、特に資格もいらず、経験も問われないので、誰でも就くことができる仕事です。
しかし、2001年度から新しい資格ができ、管理人の世界も徐々に変わってきました。
それは、「マンション管理士」という国家資格です。
この「マンション管理士」は、2001年に施行された「マンション管理適正化推進法」に基づき、マンションの良好な居住環境を維持するために、専門的な知識を持った管理士が助言や指導などを行うというものです。
受験資格に制限がないことから、施行された2001年度には9万6000人余りが受験しました。
その後も毎年3~5万人が受験していますが、合格率は7~8%台とかなり厳しい資格となっています。
具体的な仕事内容は、専門知識や法律に沿って、マンションに関するトラブルの処理、資産価値の維持、管理組合の指導などを行います。
老朽化したマンションが増加し、地震や設計偽装などの問題も起こっているので、これからの需要が期待されていますが、それにはもう少し時間が掛かりそうです。
厳しい試験をくぐり抜けたとは言え、「マンション管理士」はあくまでひとつの資格という扱いなので、給料相場は25~37万円ほどです。
この差は、勤務先によって大きく変わってくるためで、年収も330~550万円とかなり幅があります。
しかし、この先、需要が拡大する可能性もあるので、注目の資格と言えるでしょう。
他にもある!給料アップを狙えるマンション管理人
前述したようにマンション管理には、日常の業務にあたる「管理人」、専門の資格を持った「マンション管理士」がいます。
そして、もうひとつ「管理業務主任者」という職種があるのです。
この「管理業務主任者」は、通常、「フロントマン」などと呼ばれるマンション管理会社の担当者です。
マンション管理人の上司にあたる立場で、管理人を指導し、束ねるという役割を担っています。
「管理業務主任者」も国家資格です。
こちらも受験資格は特にないので、誰でも受験することができます。
しかし、宅建とほぼ同程度と言われる難易度で、合格率は約20%と「マンション管理士」ほどではありませんが、厳しい状況です。
年収は「マンション管理士」よりもやや低く、給料相場は23~33万円ほどで、年収約300~500万円と言われています。
これは、「管理業務主任者」といっても、実際は管理会社に所属する会社員なので、給料は一般的なサラリーマンとあまり変わらないのです。
しかし、「管理業務主任者」という職種は、管理会社に一定数の常駐が義務付けられているので、その存在価値を考えれば、有力な資格であることは間違いありません。
マンション管理人には3種類の職種がある
マンションの管理人は、マンションに住む人の快適な暮らしを守る大切な仕事をしています。
そして、ひとくちにマンションの管理といっても、「管理人」「マンション管理士」「管理業務主任者」と、大きく3つの職種があります。
特に「マンション管理士」と「管理業務主任者」は国家資格なので、持っていれば就職や転職もしやすく、独立する道も拓けるかもしれません。